35話 効いたドウェインの攻撃?
『おい! そこの!!』
『何だ、お前は。……先ほどから上を飛んでいた者たちの仲間か?』
『ああ、ちょっとこの森に泊まらせてもらっていたんだが。それは今は良いんだよ。今すぐそいつを連れて逃げろ、追いつかれるぞ!』
『追いつかれる? どういうことだ?』
『お前、何かに追われているってのは分かっているんだろう? 俺は分からんがな。ちょっとうちに見えるやつがいてな。それがお前たちに追いつきそうなんだとよ。だから今すぐに、その子供を連れて逃げろ』
『お前の言うことなど』
『急なことで信じられないのは分かるが、俺たちのところの森を治めている奴が、お前たちを守るために、そのおかしな気配とやらを止めようとしている』
『……後ろのあれか?』
『ああ、まぁ、どうなるかは分からんがな。なにしろ、その変な気配をしっかりと見ることができているのは、別のやつだからな』
『しっかり? どう言うことだ?』
『逃げながら説明してやる。今はとりあえず、その子供を連れて逃げろ。それにお前が止まったままだから、他の連中も止まりかけてるぞ』
『……分かった。いいか、しっかりオレの背に乗っているのだぞ』
『……うん』
『大丈夫、後は任せろ。その子供も落ちそうになったら支えてやるさ』
『……よし、走るぞ』
『ドウェイン、リン、こっちは大丈夫だ。あとは頼んだぞ』
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『動き出したな』
ぽこパパとサイーホは、短い言葉を交わしたあと、黒い霧がさらに迫ってしまったけれど。サイーホが自分の背中にラブラを乗せ走り始め、そのすぐ後を、ぽこパパが走って行った。
ふぅ、良かった。これであっちは、とりあえず大丈夫かな。さぁ、今度はこっちに集中しなくちゃ。
私は向き直り、しっかりと黒い霧を見る。黒い霧を近くで見て、そして感じたこと。見た目はやっぱり霧って感じかな。ただ、感覚がね。
遠くでは感じなかったのに、近づいたらこう、体にまとわりつこうとしているっていうか、取り込もうとしているっていうか。
元々良い物じゃないと思っていたけれど、それが確信に変わったよ。これは絶対に追いつかれちゃいけない。早くどうにかしないと。
『リン、今どの辺だ!!』
「おおきな、いわのとこ!!」
『分かった! 霧と言っていたが、もし本当の霧でないとしても、見た目が同じなら、風魔法で散らせる可能性があるな。これから風魔法を使う! 全員しっかり掴まっていろ!』
「リン! 頭を下げて、動いてはダメよ!」
「あい!!」
『いくぞ!!』
その言葉と共に、ドウェインが翼をバッ!! と大きく広げた。次の瞬間、ビューという軽い音ではなく、ゴォォォッ!! という音が鳴り、激しい風が黒い霧へと向かって吹きつけた。
あまりにも強よい風に、私たちの方にも風が吹いてきて、けっこう体が揺れたよ。うん、しっかり掴まっていて良かった。
そんな強い風が吹く中、私はママに言われた通り頭を下げていたんだけど、少しだけズリズリと体を動かし、黒い霧を確認する。
だって黒い霧を消すために、ドウェインが攻撃してくれたんだから、消えたとか、完全に消えなくても薄くなったとか、ちゃんと確認しなくちゃ。見えるのは私だけなんだからね。
1番良いのは、これだけの強い風攻撃なんだから、完璧に消えてくれてるのが良いんだけど。
「リン! あまり動いてはダメよ!」
「あい! でも、かくにんしゅる!!」
お願い、消えてて!! ようやく黒い霧が見える所までずれて前を見る。
するとその黒い霧は、かなりの範囲に広がりながら、波のように魔獣たちを追ってきていたんだけど、真ん中の黒い霧部分が消えていたんだ。
でも、確かめているうちに両脇から、また黒い霧が真ん中に広がってきちゃって、一面に広がっちゃったの。
そして消えるドウェインの風。
『リン、黒い霧はどうだ?』
「どえいん、いま、あのへんにこげき?」
私は黒い霧が消えていた場所をドウェインに伝える。
『ああ、そうだ。あの辺一体を攻撃した』
やっぱり! じゃあドウェインの攻撃は効いているって事じゃ?
「どれいん、こげきちたところ、くろいきりきえちゃ。でもしゅぐにまわりから、くろいきりあちゅまって、またもとどり!」
『なるほど、だが私の攻撃は効いたという事だな。ならばこのままここで攻撃をしよう。黒い霧の速さは!? もう少し下がった方がいいか?』
「う~ん、うん!」
『う~んとは?』
さっきよりも黒い霧の進むスピードが、遅くなった気がするんだよね。もしかしたらドウェインが攻撃したからかも?
それを伝えると、すぐに動いたドウェインは、下がりもせず攻撃もせずに、一旦全員で上へ上がるように指示したよ、
『リン、黒い霧の範囲を教えてくれ』
「はんい」
『ああ、どの辺からどの辺まで黒い霧が出ている?』
「ええちょ……、あしょこのおおきなきから、むこうのぎじゃぎじゃのきくらい!」
大体距離にすると500mくらいかな。
『なるほど。そうなると私だけでは無理だな。……ダウルを入れて、全部で7くらいでいけるだろう。今から他のグリフォンたちを呼んで、先ほどより少し下がった場所へ行く。そして一斉に黒い霧を攻撃し、消そうと思う』
『それが良いだろうな。少しだけ消しても、リンが見た感じだと、また元に戻ってしまうだろうからな』
『よし、ではさっさとやってしまおう。グギャアァァァ!!』
ドウェインが大きな声で鳴いたよ。




