33話 突然の森の異変、逃げる私たち
「どえいん!!」
『リン! それにセラフィアも、何故ここへ来た!?』
「どえいん、にげる!!」
『何だ? どういうことだ?』
「にげてからはなしゅ!! いまはにげる!!」
『ドウェイン、今はリンの言う通りに!』
『……分かった。攻撃をする予定は?』
「あり、よ!」
『分かった! セレフィアは私の背中に。リン、ルーファス、ぽこはお前と共にダウルに乗れ。ダウル良いか!?』
『ああ!』
『分かった!!』
『それからお前は私と共に、いつでも攻撃できるようにしておけ』
『分かったわ!』
すぐにママがダウルから降りて、ドウェインの方へ。それからドウェインの指示に従って、ぽこ父がルーファスとぽこちゃんを連れて、私とダウルの方へ来ると、すぐに私の後ろへ乗り、ぽこママは別のグリフォンに乗ったよ。
『よし、どちらへ飛べば良い? ……暴走している魔獣たちを避けた方が良いか?』
「いいえ、あの魔獣たちと同じ方へ!」
『分かった! 全員、あの暴走している魔獣たちと同じ方へ飛ぶぞ!!』
ドウェインの掛け声とともに、一気に暗い空へと舞い上がったみんな。そして私たちが滞在している街から、離れるように飛び始める。私はすぐに下を見たよ。
暗いとはいっても、月明かりがあるおかげで森の様子はなんとなく分かるし。それに、私たちの下を走っている魔獣たちが魔法を使っているのか、所々で光が弾け、そのたびに森の中が照らされ、かなりの数の魔獣たちが走っているのが確認できたよ。
そして森を走る魔獣たちの後ろを、宿から見た黒い霧のような物が追っていた。
「やっぱり、にげてる」
『あれぇ、みんなどたばた』
『どうちたじょ?』
『セレフィア、これは一体どう言うことだ。何故リンを連れてきた? リン、話は後と言ったが、何が起こっている!?』
「ドウェインあなたには、森を逃げている魔獣たちを追っている、黒い霧のような物が見える?」
『黒い霧のようなものだと?』
「ええ」
ドウェインが後ろを振り返り、目を細めて確認をする。ドウェインは暗くても、周りをよく見ることができるんだ。
『……いや、何も見えないな。お前たちはどうだ?』
すぐにぽこ両親と、他のグリフォンたちに聞くドウェイン。
『……いえ、私には見えないわ』
『俺にも見えないな』
『お前たちにも見えないか』
『ということは、ダウル。お前も見えないか』
『ああ。それとリンが聞いたという声も、オレは聞こえなかった。が、おそらく話の内容と今の状況から、下を走っている魔獣の誰かが言った可能性がある』
『どういうことだ?』
私は宿であったことを話したよ。『全員、森の奥へ走れ!!』や『子供たちは先に逃したな!?』とか『……よし! そのまま全員走るんだ!!』という声が、いきなり聞こえたこと。それで声を確かめようとしたら、森の方で黒い霧のような物がウヨウヨしていたこと。
あのあと私は、すぐにそのことをママたちに伝えたんだ。そしたらちょうどそのタイミングで、宿に隣接している魔獣小屋にいたダウルが、窓のほうへ飛んできて、森の魔獣たちが騒いでいるって知らせに来たの。
あっ、ラウルはパパと契約しているグリフォンだよ。テイムっていう、魔獣と契約する魔法があって、この魔法を使える人は、魔獣と家族や相棒になるときに契約を結ぶんだって。そうするといろいろと良いことがあるみたい。そのあたりは、まだちゃんと聞いていないけどね。
まぁ、今はそれは一旦置いておいて。私が言ったこととダウルの報告に、パパとママはすぐに動いたんだ。
ドウェインたちがいる森で、何かが起きている。ドウェインたちのことだから、おそらく非常事態でもしっかり対応できるだろう。だけど、もしものこともあるかもしれない。だから早く伝えなければってね。
それに対し、私は自分も行くって言ったんだ。だってパパたちは、私が聞いた声も黒い霧も、ダウルの言った、魔獣が騒いでいることも分からなかったし。ダウルは魔獣が騒いでいるのは分かったけど、私が聞いた声と黒い霧は分からなかったからね。
もちろん最初は、物凄い勢いで反対されたよ。だけどその話しをしているうちに、黒い霧は濃くなっていったし、声もまだまだ聞こえていてね。
何より宿で話している時間があるのなら、早くドウェインたちの所へ行った方が良いって、私はパパたちにできる限り訴えたの。
それで、何とか一緒に行くことを許してもらって、ダウルに乗ってママとここまできたんだよ。ちなみにママが来たのは、家族の中でママが1番強いからだって。
ママは今、動きやすい冒険者の人が着るような洋服に着替えているし、それから剣を2本、両脇に差しているよ。
『なるほど。変な感じはするが、それがリンの言う黒い霧のような物か』
「どえいん、わかる?」
『得体の知れない、なにかまとわりつくような気配が、魔獣たちが暴れる少し前にしたのだ。が、確かめても何もなくてな。今はそれが、こちらに向かってきている感覚がある』
『なんだ、異変を感じていたのか。何故言わなかった』
『確証がなかったのだ。気配も最初はここまで強くなかったしな。もしかするとこれは、私のように力のある者でなければ、気づくことができんかもしれん。まぁ、私もリンのようにしっかりと見えているわけではないが』
「あの逃げている魔獣たちは、どうして分かったのかしら」
『おそらくあの魔獣たちの中に、私のように力のある者がいて、皆を逃したのだろう。リンが聞いた声は、その者の声の可能性がある。が、どうして声が聞こえたのかは分からん。……とりあえず、そうだな』
ドウェインが下を見たよ。




