30話 やっぱりだったパパたち、そして2人は?
『それじゃあ、また明日』
「ああ、少し早めに朝食をとるから、そうしたら……」
『お前たちの気配が街からを出たら、すぐに行こう。それか誰かが一声鳴いてくれても良い。が、そうだな、それでは他の者たちの邪魔になるか』
「そうだな。起きている者たちもいるが、まだ街は静かな頃だからな。それじゃあすまないが、私たちの気配が街から出たことに気づいたら来てくれ」
『分かった』
『むねん……』
『にぇんじょ……』
にぇんじょ、じゃなくて無念ね。無念なんて言葉、どこで覚えたんだか。というか、この世界にも無念って言葉があったんだね。
『まだ、だいじぃぶなはずだった』
『だったじょ』
『大丈夫なわけあるか。あんなにメチャクチャにして』
『そうよ。今は大人しく森にいなさい』
『人の生活に慣れれば、というか向こうへ着けば、ダメとは言われん。だろう?』
「まぁ、そうだな。私たちのところには魔獣が多いからな。魔獣たち用にいろいろと準備はしてあるし、他よりは自由に過ごせるはずだ。壊されることはいつものことだしなl
『聞いたか? 向こうへ行けは自由にリンと過ごせる。だから今は大人しく我慢しろ』
『むねん……』
『にぇんじょ……』
『それじゃあ、リン。また明日』
『ゆっくり過ごしてね、なんて言っても、リンもいろいろあって、気分が高まっているでしょうから、そう簡単にゆっくりできないかもしれないわね。でもなるべくゆっくり体を休めなさい』
『そうそう。まぁ、寝られなくても、明日ドウェインの背で寝ていけば良いさ』
「あい、まちゃあちた!! るーふぁしゅ、ぽこちゃ、あちたね!』
『……むねん』
『……にぇんじょ』
私がみんなに挨拶をすると、一気に空へ舞い上がったドウェインと他のグリフォンたち。そうしてその場から確認できるほど近くの森へと向かって、みんなで飛んで行ったよ。
「それじゃあ、私たちは一旦着替えをして、それから食事をしよう」
「食事は部屋へ持ってきてもらえるから、他を気にせずゆっくり食べられるわよ。そうだわ、嫌いなものはあるかしら?」
そう聞かれて思わず悩んでしまった。この世界にきてから、ずっと森にいたからなぁ。みんな美味しいご飯を私に食べさせてくれたけど、人のご飯となると。バカ神は私でも全然問題なく食べられると言っていたけどね。
「いちゅも、もりのまじゅが、おいちいごはんくれまちた。でも、ほかわからないでしゅ」
「母上」
「あ、あら、そうよね。ごめんなさいね、私ったら。それなら今日のご飯は、いろいろ用意してもらいましょう。そして食べられるものだけ食べれば良いわ。量のことは気にしないでね。この人も、セオドリックもアルフレッドも、かなり食べるのよ。だから残ることはないから心配しないで」
「君が1番食べると思うが?」
「あなた、何か言った?」
「い、いや、何でもない。さぁ、みんな中へ入ろう。それとリン。私たちは家族になったんだ。すぐには難しいかもしれないが、畏まらずに……と難しい言葉は分からんか。……そうだな、ドウェインたちみたいに、普通に話してくれて良いのだからな」
「あ、あい!」
そうは言ってもね。私しも家族になったんだから、普通に話しても良いんじゃ? って思っているんだよ。だけどやっぱり、すぐに普通に話すのは……。パパたちは本当の侯爵家の人々だったし……。
まず最初に、ルーファスとぽこちゃんと一緒に宿で過ごすことについてだけど。なしになりました。
執事のイグナードさんが宿に確認しに行ってくれて、宿の人は大丈夫ですよって言ってくれたの。だからそのことを聞いたルーファスとぽこちゃんは、飛び跳ねて大喜びしたんだ。
だけどドウェインとぽこ両親は、どうにも心配だってことで、様子を見て大丈夫そうだったらルーファスとぽこちゃんをそのまま宿に残し、自分たちは森へ行くと決めてね。だから最初は全員で街へ入ったんだ。
それでね、街に入るときに分かったこと。やっぱりパパたちは、ライトノベルや漫画に出てくるみたいな、すごく身分の高い侯爵家の人々だったんだ。
街を囲っている外壁には大きな門が3つあり、2つは一般の人たち用で、1つが貴族専用の門で、それぞれ別れて並ぶの。一般の人たちと貴族の人たちが並ぶと、いろいろと問題があるらしく、だから別けられているんだって。
ということで、私たちはそのまま貴族専用の門へ。そこで通行確認をしている騎士たちと、パパたちの話しを聞いていたら、まぁ、うん。どう考えても騎士たちの対応がね。
それでお兄ちゃんにチラッと聞いてみたんだよ。ドウェインが偉い人って言ってたの、パパは偉い人? ってね。
3歳児がいきなり侯爵家なのとか、身分はとか、聞いたらおかしいでしょう? だからなるべく3歳児ぽくね。そうしたら、返ってきた答えは、
「そうだなぁ、リンに教えるとなると……。うちはね侯爵家っていて、えらいお家の中で上から2番目に偉いかな」
って。うん、間違いなくとても偉い人たちでした。
と、なるとだよ? 今までそんな偉い人たちとはまったく関わりのなかった私が、そう簡単に慣れられるかって言われたら……ね。せっかく私を家族として迎え入れてくれたんだから、頑張って慣れるつもりではいるけど、もう少しだけ待ってもらいたい。
と、こうして家族のことを知って、何とも言えない気持ちになりながら、私たちが最初の行ったのは、冒険者ギルトだったよ。
ただ、ルーファスとぽこちゃんの心配は、門を潜った時から始まっていたんだ。




