17話 この世界へきて2週間、充実した日々を過ごしています。……たぶん?
『おねえちゃ、いっちょあしょぼ』
「ごめんね、まだおせわのじかんなんだ」
『あしょべにゃい?』
「おしぇわおわったら、あしょぼね」
『リン! こっちに来てくれるか!?』
「あい!!」
私はすぐに、私を呼んだグリフォンの方へ移動。
『この卵のなんだが、何か言っているか? 寒いとか暑いとか。藁を変えたばかりんなんだ』
「分かっちゃ! きいちぇみる!! あたらしいわら、ど? まだしゃむい? しょれともあちゅい?」
『ちょど!!』
「しょか!! ちょどだっちぇ」
『そうか、なら少しの間、このままにしておこう。後でまた様子を見に来ると伝えてくれ』
「あい。あにね、またあとでくるっちぇ」
『あい!!』
『リン、こっちにも来てくれるかしら!』
「あい!!」
またまたすぐに移動。
「どちまちたか?」
『この子がこの葉っぱを嫌がって。中をふわふわにしてあげようと思ったのだけど、他の葉っぱの方が良いのかしら?』
「分かっちゃ!! ねぇ、このふわふわのはっぱはだめ? べちゅのはっぱがい?」
『うん! しょれね、ちょっちょ、ちくちくしゅりゅの。だかりゃ、しりょいりょはっぱがいいの』
「あのね、しろいろのはっぱがいいっちぇ」
『そうなのね、分かったわ。すぐに変えるから、もう少し待っていて。リン、教えてくれてありがとう』
「うん!」
『リン!! 次はこっち頼む!!』
「あ~い!!」
ふう、今日も忙しい。でも赤ちゃん魔獣と、まだ卵の中にいる赤ちゃんが、より良く生活するためだもん。私にできることなら、なんでもやってあげなくちゃ。すぐにまた移動する私。
私がこの世界へ来て、グリフォンの巣で暮らし始めてから2週間が経ったよ。そして今の私の生活は……かなり充実している。
まず最初に、私はこの育み場での、お世話係に任命されたんだ。それはドウェインが、私の能力と、私の気持ちを考えてくれたから。
少し前、ほら、あのナンパな赤ちゃん魔獣に退場してもらってから、ドウェインが私にこんな話しをしてきたんだ。それは、もしかしたら私が魔獣を好きなんじゃないか、って話でね。
神の愛し子がバカ神から貰う力はいろいろで、神の愛し子によってそれぞれ違うって話しは聞いたでしょう? それでね、今までに何人か、神の愛し子に会ったとこのあるドウェインだけど、魔獣関係の力を与えられた神の愛し子は、全員魔獣が大好きだったんだって。
大好きというか、それを超えてあまりの好き加減に周りが引くほど、みんな魔獣が大好きだったとか?
そういうことがあって、赤ちゃんの言葉を聞くことができる私も、魔獣が大好きなんじゃないかと思ったみたい。
だから私はすぐに答えたよね、もちろん大好きです!! って。
地球では動物が大好きで、動物園に就職したくらいだし。異世界に行くのならと、まず最初に私の大好きな魔獣たちが暮らす世界って、バカ神にお願いして。転生した後は、魔獣たちと一緒に、スローライフを楽しむ予定でいたからね。
魔獣の楽園を作ろうと思っていたんだよ。さすがに魔獣たち全員とは言えないけど、それでも魔獣たちが幸せに暮らせるような場所を作ろうってさ。まぁ、バカ神のせいで予定が狂ったけどね。
そうしたら、私の返事を聞いtたドウェインが、もし私さえ良ければ、赤ちゃん魔獣と卵の世話をしてみないかって言ってきたの。
魔獣の赤ちゃんたちも、最初の私の様子には警戒していたけれど、その後は私を嫌っている感じはしないし。
それからこれは、あの時初めて知らされたんだけど。私がここへ連れてきてもらってからすぐ、他の子魔獣たちが私と遊びたがっていて、仕方がなかったんだって。
ただ、私はここへ来たばかりだったからね。ドウェインや他の大人魔獣たちが止めてくれていたらしいんだ。
だから私が魔獣が大好きなら、赤ちゃんや子魔獣たちと、好きなだけ遊んでくれて良いって。それで、そのついでで良いから、お世話を少し手伝ってくれないかってことだったの。
赤ちゃんたちの言葉が分かるのは私だけ。だから赤ちゃんたちの言葉を、みんなに伝えてあげれば、世話が捗るだろうって。
もちろんそれは、私がここにいる間だけでいい。ここから別の場所へ移ることになっても、世話のために引き止めるようなことはしないから安心してくれ。だから、どうだろう、頼めないだろうか。
これが、ドウェインからの提案だったんだ。
そんなことを頼まれた私がどうしたか? ええ、もちろんその場で了解しましたとも。というかね、嬉しすぎてドウェインに詰め寄りすぎて引かれたよ。
もうさぁ、本当に素晴らしい提案で、ずっとここにいても良いくらい。だって地球で夢半ばでできなくなったお世話ができるんだよ? まぁ、動物と魔獣で、相手は違うけど。
でも、私の大好きな魔獣のお世話ができるんだ。しかもみんなと遊び放題。こんな話し断るはずないでしょう?
こうして次の日から、私の赤ちゃん魔獣たちと卵のお世話が始まったんだ。
そうそう、話しが終わる頃に、新しい声が聞こえてきてね。それが卵の中の、まだ生まれていない赤ちゃん魔獣の声で、卵の声も問題なく聞くことができるってしっかり分かったから、卵のお世話もすることになったんだ。
お世話以外はみんなと遊んだり、お世話するにあたっての勉強をしたり、他にもいろいろなことをしながら過ごしているよ。
勉強はね、動物の事は分かっていても、魔獣のことはまだほとんど分からないでしょう? だからお世話する時に、やって良いこと悪いこと、使って良い素材についてや食べ物について。
他にもいろいろな場面を想定して、その時々でどう動けば良いか、まずは簡単なことから教えてもらうことにしたの。
じゃないと赤ちゃん魔獣たちや卵を、傷つけちゃうかもしれないからね。他の子魔獣たちのためにも必要なことだし。
まぁ、こんな感じで、時々ちょっとした失敗もあるけれど、それでも今のところ大きな問題は何も起きず、2週間経ってお世話にも慣れてきたところだよ。
『リン! こっちに来てくれ!!』
「あい!!」
『きりぇいにゃ、おにぇしゃ~ん! こっちきちぇ!』
……ただし、ひとつだけ例外を除いては。




