14話 私の特別な力……って誰だ! 大切な話の時にナンパしてるのは!?
『ルーファス』
『なぁに?』
『お前はいつも、くるや他の子魔獣たちの声がどう聞こえる?』
『ん? どう? いま、くるちゃんは、とってもよろこんでるよ。やったー、あってるって、たぶん?』
『そうではない。そう思うではなくて、聞こえるままだ。父はグワグワと聞こえるが、お前はどうだ?』
『あっ! ほんとのこえ!? えっとねぇ、くるちゃんは、ぐわっぐわだよ!!』
グワグワ? グワッグワッ? それはアヒルなんじゃ? グリフォンの鳴き声ってグワグワとかグワッグワなの? あ~、じゃなくて。え、何? 鳴き声って鳴き声?
『そうだな。リン、私たちには赤ん坊の声は、ただの鳴き声にしか聞こえないのだ』
ドウェインの話によると、魔獣は大きくなれば、ある程度力がある魔獣なら誰でも話せるようになるらしい。
ただ、草ばかり食べている魔獣たち、草食の魔獣たちは力が弱い者が多く、大人へ成長しても話せずに、鳴き声で意思疎通をはかっている者たちが多いって。
そしてそれ以外に話せないのが、生まれたばかりの魔獣たちで、いくら強い魔獣の赤ちゃんであったとしても、等しく全員話せないみたい。まぁ、特別な赤ちゃんを除いてはね。
ハッキリとした理由は分からないんだけど、一応こうなんじゃないかっていうのはあるらしい。
この世界の生き物はみんな、誰であっても魔法を使うための『魔力』というものを持っていて、私も転生してくる前にバカ神から貰っていたんだ。
そしてその魔力量によって、どれくらい強い魔法が使えるかが決まるらしく。でも、まぁ、最低でもみんな、中くらいの魔法までは使えるようになるみたい。
と、それは一旦置いておいて。その魔力がね、赤ちゃんの頃は安定していないらしいの。ドウェインたちは魔力の流れを見ることができるんだけど、赤ちゃんの魔力って、増えたり減ったり、ふわふわになったり、急に硬くなったりするんだって。
そしてその安定しない魔力には、赤ちゃんの体力が関係していると言われていてるの。
ほら、生まれたばかりの赤ちゃんは体力があまりないし、呼吸をしたり、体を動かしたり、成長するためのエネルギーにたくさん使っちゃうでしょう? だからその分、魔力を安定させる方までエネルギーが回らないんじゃないかって。
でも、成長とともに体力やエネルギー量が増えていくと、少しずつ魔力が安定していって、だいたい1年から2年くらいで、完全に魔力が落ち着くらしいんだ。
そうして魔力が安定し始めると少しずつ、赤ちゃん魔獣たちは話ができるようになってくるんだって。
と、こんな感じで、理由はハッキリしないけれど、おそらくそのせいで、ドウェインたちはまだ赤ちゃんたちの言葉を理解できず、ただの鳴き声にしか聞こえないんだ。
じゃあ、私は? ドウェインによると、赤ちゃんの言葉をはっきり聞き取れる人や魔獣なんて、ほとんどいないらしい。
だけど、私が声を聞いたという報告と、私がルーファスと一緒に赤ちゃん魔獣たちと話している様子を見て、私が確かに彼らと会話していると分かって、そして確信したのが『ベイビービースト・レゾナンス』だったんだ。
その力の説明は、小さき者たちの心、そして言葉を知ることができる。ほら、今の私にぴったり当てはまるでしょう?
『こんな珍しい能力を持つ者はいないからな。だからこそ、それは神が授けたお前だけの特別な力だろう。前に会った、言葉を理解できる者たちは、皆神の愛し子でな。それもあって、リンはこに能力を神から授かったのだと思った。ただ、毎回力の名称が変わるんでな。すぐには分からないのだ』
「なんでかえるのか、だめかみいった?」
『その時の気分だと』
気分かよ!! あっ、でもそれならルーファスは? ズレていたけどかなり話せていたよね? それでも鳴き声なの?
『ルーファスは赤ん坊たちの感情を読み解く力に長けていてな。おそらくこの森の中で1番だろう。だからあのように、話すことができている』
へぇ、ルーファス凄いね。それって私の能力なんかより、ずっと凄いじゃん。だって神から力を与えられたわけじゃないんだよ? それなのに分かるって、よほど赤ちゃんたちの様子をしっかり見て、鳴き声を聞いているんだろうね。
私は思わずルーファスに拍手したよ。
『それでだな、話の続きだが、この力を持っていた愛し子たちは皆、魔獣が大好きな者たちでな、この能力を知った時は、とても喜んでいたのだが、リンはどうだ? 一応あいつは愛子のことを考えて、それぞれの神の愛子にあった力を……』
『あっ!! きょは、あのかわいおにぇうしゃんもいりゅ!! おいりゃのほ、きちぇ!! いっしょにごはんたべてほちいじょ!!』
……ん?
『愛し子に必要だと思う力を与えていると、前にバカ神が話しをしていたのだ、だからもし……』
『あっ!! きょは、かわいおにぇしゃんもいりゅ!! おいりゃのほ、きちぇ!! いっしょにごはんたべてほちいじょ!!』
……んん?
『……りん、どうした? 私の話しを聞いているか?』
『あっ!! ちゅめがきりゃきりゃ、きりぇいにゃおにぇしゃん!! おいりゃとあしょんでだじょ!!』
……おい。
『リン?』
『あっ!! うちりょしゅがたがぷっくりで、かわいおにぇしゃ、おいりゃのほ……!!』
『リ……』
「ちょっとまちゅ!!」
バッと勢いよく片手をあげて、ドウェインの話しを止めた私。そんな私の様子に、少し驚いている感じのドウェイン。
誰だ! 大切な話しをしている最中に、ナンパしているのは!?




