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島での生活

 大会の閉幕から間もなく、俺達は転移魔法によってアヴァロス島群へと移動した。島々は開催都市マラブリーの近海に位置しており、本戦出場が決まった時点で、移住はほぼ既定路線。彼女たちはそれぞれ、生活や立場を整理したうえで大会に臨んでおり、準備はすでに整っているらしい。


 島での新生活は、まずルゥナの正体告白から始まった。かつてセレネア・ルディエールと名乗っていた彼女が、若返りの魔法でこの舞台に立っていたことを知り、皆は驚きつつも、シンジが認めているならと受け入れた。むしろ、若返りや魔力維持の技術に興味津々という様子だった。


 続いて行われたのは、改めての自己紹介や部屋割り決め、同棲期間の過ごし方についての会議。初夜の順番やデートの割り振り、シンジとの距離感など、話し合いが難航した点も多かったが、基本的に全員がシンジファーストであることを前提に動いていた。最終的にはセレネアがまとめ役を務め、全体が円滑に進んでいった。


 なお、ルゥナの正体は配信によって全世界に知れ渡ったが、すでに大会は終了しており、シンジが了承している以上、結果が覆ることはなかった。


 3カ月の同棲期間の最初の2ヶ月は、全員での生活に充てられた。

 セレネアによる、シンジのための魔法授業、リコリナ主導のトマト限定お料理教室、マリアによる、万が一のための護衛フォーメーションの訓練など、日常の中に自然な交流を織り交ぜたイベントが随時行われ、配信も盛り上がりを見せた。


 そして最後の1ヶ月は、1日1人ずつの個別デート期間。海辺で遊んだり、部屋でのんびり過ごしたり、料理やスポーツを共にしたりと内容は多種多様。告白魔法の再演や、ちょっとエッチなマッサージなど、各人の個性が色濃く反映された内容となった。これもまた配信で大人気を博した。最後に行われる有料配信の初夜イベントでは、従来1回きりだったものが今回は10回行われたこともあり、とんでもない金額が動いたという。


 初夜の順番はくじ引きで決められた。最初の相手はアイリカで、お互いまったくうまくできなかったが、途中から笑い合って、なんだかんだで楽しく終えることができた。

 次はアレクシアーナ。なんとなく経験があるような落ち着きで、というか一通り勉強していたようで、一から十まで丁寧に導いてもらった。

 その次はサティーナ。ここで徹底的に一晩中指導される。なんでも男性がいなくても研究だけはしていたらしく、前戯から腰の使い方、行為後の後処理とピロートークまで、すべて網羅されていた。

 ヴィスの番では、彼女が緊張しすぎて、入れた直後に気絶するアクシデントがあり、全裸のまま慌ててみんなを呼んだ。

 それ以降は指導の成果も出て、ちゃんと全員とうまくできた。


 イベントをすべて終えた後は、配信の束縛からも解放され、比較的自由な日常が始まった。もちろん子づくりは最優先事項だが、それ以外は仕事や趣味に打ち込むこともできた。金銭面での不安はなく、島に多く住むアイたちとの交流を通じて、個々のスキルが活かされている。


 リコリナは料理教室を開き、マリアは武術訓練を、サティーナは整体や性技の指導を通して、ほかの嫁やアイたちに技術を伝えていた。

 シアやシャーレンは家庭的な一面があり、住んでいる屋敷の掃除をアイたちと一緒にこなしたり、編み物や刺繍を楽しんでいた。

 アイリカは黙々と皆の生活風景を描き、完成した絵を専用の画廊に飾っていく。

 ミレーユは作曲活動を続けながら、アイドルとしての活動も続行中。

 ヴィスとセレネアは気が合うようで、暇さえあれば一緒に魔法や魔導具の研究に没頭していた。


 カティナは懺悔室を開き、「懺悔するとあの暴力的な胸で抱きしめられて、よしよししてもらえる」との噂で人気が出た。だが、人はそう何度も懺悔することがないため、1カ月ほどで誰も来なくなってしまう。

 少しだけ寂しそうな顔をしていた彼女に、サティーナがそっと囁いた。


「整体なら体も使って癒せるよ。途中で悩みも聞いてあげられるしね」


 そんなわけで、いまではカティナは“癒しの整体師”として、日々頑張っている。

 悪魔のささやきにより、天使が爆誕したのだ。

 シンジも夜に何度も施術してもらったが、全身を使いながら、優しく悩みを聞いてもらえる整体は最高だった。



 言い忘れてたけど――アイたちは、もう全員、素顔を見せてくれている。


 予想してた通り、どこか“お嬢様っぽさ”をまとった子が多い。でも、よく見るとそれぞれに個性があって、意外とバラバラなんだよな。上品さに包まれてるけど、その中にちゃんと自分らしさがあるというか。その違いに気づくたびに、なんだか嬉しくなって、つい顔が綻んでしまう。


 ……とはいえ、島にはアイたちが1000人近く暮らしている。さすがに全員の名前を覚えるのは無理だろうな……って、正直ちょっとビビってた。でも、みんなメイド服に名札をつけてくれてて、その気遣いだけでかなり救われた。ああ、なんてありがたいんだって、素で思った。


 島に来た最初の日、車を運転してくれたのはレイ。初めてトマトパスタをふるまってくれたのはアリア。バスケットコートを整備してくれたのはミラとクレア。それから、日課として提出していた“保存用の処理”を担当してくれてたのがフェリオーネ――みんな、名前と顔が少しずつ結びついてきた。


 アイたちは基本的に何でもこなせる“万能型”って感じだけど、それでもやっぱり得意分野ってのがあって。料理が好きな子、機械いじりが得意な子、植物の世話が好きな子……そういうのが、日常のいろんな場面に自然に活かされてる。単なるサポート役っていうより、本当に「この島を一緒に回してくれてる仲間たち」って感じがして、気が引き締まる。


 おかげで、俺たちの生活は驚くほど快適だ。やるべきことや細かい雑務は、言わずとも先回りして片付いてて、困ることがほとんどない。


 ……ただ、完璧に自由ってわけじゃない。島の外への移動は基本的に制限されてて、買い物も定期的に来る商人にリストを渡して注文する形式だ。

 両親や家族に関しては、申請すればマラブリーへの移住も可能らしいし、生活もちゃんと保障される。でも、気軽に会えるわけじゃない。


 それでも――俺がお願いして、できる限りこの島に来てもらって、彼女たちの両親にちゃんと挨拶をした。

 再会のとき、彼女たちは家族と抱きしめ合い、笑いながら涙を流していた。その温かいやり取りを目の前で見ていると、こっちまで胸がいっぱいになって、俺も気づけば、しょっちゅう泣いていた。

 その後は、みんなで屋敷を歩いてまわり、庭や町を案内しながら、俺たちの日常のことをいろいろ話した。暮らしぶりや、この島での時間の流れ、彼女たちがどんなふうに過ごしているか――彼女たちも少し照れながら、みんなのことや、俺との関係をぽつぽつと話してくれた。


 別れ際、「子どもができたら、絶対また来てください」って、俺からお願いもした。

 そのときは、もっといろんな話ができる気がする。きっと、みんなで笑って迎えられるような、そんな未来にしたいと、心から思ってる。



******



 それから2年が経った。


 あれから、日々いろんなハプニングや小さな事件が起きながらも、笑顔の絶えない日々が続いている。たまに小言で怒られることもあるが、それすらも、関係がうまくいっている証のように感じる。嫁たちも子どもも本当に可愛い。


 そう、嫁たちは全員しっかり妊娠し、無事に子どもを産んでいるのだ。

 最初は慣れない育児に四苦八苦していたが、10人全員で交代制の導入やアイたちの協力、常駐する助産婦・小児専門の医師・栄養士といった専門家たちの指導もあり、子育てのサポート体制は万全。おかげで今では皆、少しずつ育児にも慣れ、落ち着いた日常を取り戻しつつある。ちなみに、いまのところ男の子は生まれていない。


 島で生まれた女の子は、英才教育を受けながら育てられる予定で、将来的には自由な進路を選べるようになっている。島を出て一般社会で暮らすもよし、この島で過ごすもよし、あるいは他の島で“アイ”として生きるもよし。ただし、推奨されているのは他の島でアイとして過ごす道だ。なぜなら、流転者との間に生まれた子どもは、男児が生まれる可能性が高いという仮説があるからだ。

 にも関らず、将来の自由が認められているのは、流転者への配慮と、もう一つ、アイ達が出産した子については、妊娠が判明した時点で異動が決まり、次世代のアイとして育てられることになっているためだ。こうした仕組みについては、アイたち自身も納得しており、自分の役割を理解したうえで、誇りを持っていると言っていた。


 そして今、俺は、そんなアイ達と、日々めちゃくちゃにやりまくってる最中だ。


 当初は、約束通り、嫁も皆無事に出産して、生活も落ち着いてきたので、アイ達とも一人ずつ丁寧に関係を深めていこうと思っていた。だが、アイ達から「それでは非効率です。もっととっかえひっかえ、やりまくってください」と真顔で提案され、どうせならということで、セレネアとサティーナが主導になって“性力を維持・増強する魔法”が開発されることに。

 その結果、魔力がある限り萎えることのない、絶倫仕様にされた俺は、今では週に3回ほどのペースで、30人前後のアイ達と深く繋がる生活を送るようになった。文字通りのハーレム生活だ。 最初は戸惑いもあったが、アイたちのほうがむしろ前向きで、「そのために志願しているのです」と笑顔で言ってくれる。いまではお互いに楽しみながら、健全(?)な関係を築けている。


 今また、1人のアイと結ばれた。

 最後の子、ヴィオレッタを満たした後、ベッドに横になる。すかさず、両側から見カミーラとノアがぴったりと寄り添い、左から「お疲れさまでした」と挑発するように囁かれ、右からは「すぐキレイにしますね」と言われ、合図を出している。拒否する理由もないので、身を委ねていると、魔導板で今日の成果を報告していたセシリアが、こちらに歩み寄ってきた。


「シンジ様、新たな流転者が保護されたようです」


 回ってきた情報によれば、第5回告魔フェスの準備が水面下で進んでいるらしい。今度はルールも少し変わって、流転者の意向で柔軟に選択肢が取れるようになるのだとか。


 ――あのとき、ルールを無視して全員を嫁にすると宣言した自分が、今や笑い話のように思い出される。懐かしい。今度ヴィスに言って、もう一度みんなで記憶を見返してみようか。


 それにしても、新たな流転者か……どんな人物なんだろう。俺はいまだに、他の男性と会ったことがない。画像では何度か見たことがあるが、どれも自分より年上っぽかった。


 なぜ会えないのか。その理由を尋ねたことがある。どうやら、告魔フェス以前は流転者たちを一か所にまとめていたらしい。だが、その結果、さまざまな争いが起きた。女性同士の争いもあれば、男性同士の対立もあったという。だからこそ、リスク分散のために、告魔フェスの開催と同時に男性は島ごとに分けられ、基本的には会わせない方針になったらしい。


 特に必要性を感じていなかったので、これまで気にしたこともなかったが――


 そのとき、ふと思い出す。会わなければならない相手がいることを。

 全裸で投げ出され、不安でいっぱいだったあの瞬間。見知らぬ異世界の光景の中で、颯爽と現れて助けてくれた、無表情な監視者のアイ。


 そうだ、あの子に、お礼を言えていなかった。


 そうと決まれば、さっそく相談だ。転移してくれたアイも一緒に呼ぼう。できれば、皆のいるところでお礼を伝えたい。そういうの、きっと喜んでくれる気がする。


 そんなことを考えていると、アナスタシアが、ずぅーっとぺろぺろと丁寧に綺麗にしている。どう見てもわざとやっているが、アイ達は誰も止めない。もはやいちいち突っ込む気も起きない。いや、別の意味では突っ込むことになるのだが。


 横でにっこりしながら待機していた子たちが、「もう終わりなんですか?」と目で訴えてくる。全身を拭かれながら、すでに次の段取りが進んでいた。


「よし、もう一周いくか」と立ち上がると、周囲がぱっと華やぐ。


 この島に来たばかりの頃は、すべてが夢のように感じられた。だが今では、その夢が現実となり、日常の一部になっている。そして、何気ない日々の中に、特別な日というのは確かに存在するのだ。


 ……さて、明日は久しぶりの嫁たちと11Pだ。気合、入れていこう。シンジは今日も、家族とアイたち、そしてこの世界の未来のために、全力で愛し合っている。

 10人は多かった。正直、6人目あたりから考えるのがしんどかった。


 原因は、シンジの安全と大会の公平性を確保するために設けた“魔法舞台システム”。

 この仕組みによって、シンジの身体に直接干渉する魔法は禁止され、彼は一切喋れず、告白魔法の時間中は女の子たちも言葉を使えない――という構造になってしまった。

 最初の4〜5人を書いていた段階では特に不満もなかったけれど、気づけば引き返せない地点に来ていた。


 「じゃあ減らせば?」とも思ったけど、世界人口と、それを取り巻く設定がそれを許してくれなかった。

 というか、10人ですら本当は少なすぎる。当初は20人構想だったし、世界人口だって最初は今の3倍くらいで書いていた。

 いろいろ無理やりこじつけて、予選で大幅に人数を削り落として、やっとの10人。だから選定基準は結構ガバガバだと思う。というか、この時点で“みんなにチャンスがある”という告魔フェスの前提はすでに崩れてた。


 演武システムを変えることも考えたけれど、“魔法で愛を伝える”という告白魔法の本質は変えたくなかった。なぜなら、この話のメインは、まさにそこだからだ。


 女の子たちが、自分の“愛”を魔法という形で放つ。――正直、それだけがやりたくて書き始めた。

 けど、これも告白魔法のコンセプトと大会の公平性という縛りのせいで、表現にいろいろ制限がかかってしまい、いまいちうまくできなかったと思う。自分で作った設定に殺されていくぅ!


 まあ、強引なところは多々あったけど、書きたいことは概ね書けたのでヨシ!

 それと……エロのラインがよくわからん。まぁ、警告来たらそのとき考えよう。


 まだまだ全てがへたっぴだけど、いい勉強になった。

 そんじゃーね。読んでくれてありがと。

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