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「つくし」


 立ち止まり、振り向くつくし。


「舞いの練習がしたいから、このたくと椅子はかたしておいておくれね」


 つくしが片手を払う。

 フリルのついた着物の袖が揺れる。


 立ち上がる竹千代丸。


 するとテーブルと椅子は、奈落ならくを使って地面に吸い込まれるように姿を消してゆく。


「ほほほ。いつ見ても楽しい術じゃの」


「感無量でございます」


「まだ怒っているのか?我はお前のために舞うのじゃ」


「いかな意味です?」


「我が幼き頃、我の舞を見て、お前は褒めてくれた。だから我は舞っている」


「は・・・」


「その頃から我はお前をいておる。お前に気に入られるために教養をつけたのだ。今度見せる舞は、お前のためにと決めてある。我が自分で考えている舞じゃ。見てくれると嬉しい」


「嬉しいのはつくしですっ」


 つくしは袖を目元へとやる。


「これ、まだ泣くのは早い。舞を見てからにしろ。しかしまだ練習中だ。まだ見るな」


御意ぎょい


「そろそろ喋り方を変えてはもらえぬか?」


「まだ家臣癖が抜けませぬ」


職業病しょくぎょうびょうか」


「いずれ竹千代丸様に喜んでいただけるよう、つとめますれば」


「うん。それでいい。あまり急いてもいけないね。ゆっくりでいい」


「わたくしめ・・・いえ、わたくしは、竹千代丸様のそういう所が好きなのです」


「そういう所って?」


「ああ、お気づきでなかったのですね」


「どういう所だ?」


「一生かけてゆっくりと、ご説明したいですわ」


「ほーーうっ。楽しみだ」


「では、見回りに行ってまいります」


 退場するつくし。

 それを見送る竹千代丸。


「なんぞ、ななめな機嫌が戻ったようじゃが、なして戻ったのか意味不明じゃ・・・女とはかように謎多き生き物。ふむ。手本てほんに書いてあった通りじゃ」


 竹千代丸は舞台の正面を向く。

 袖に入れておいた緑色のおおぎを広げる。


「さて、舞の練習じゃ」 


 ポン、とつづみの音。

 ポロロン、とことの音。

 べベン、と三味線しゃみせん


 その三種が、いっぺんに鳴り、竹千代丸は片足で床を一拍いっぱく叩く。


 曲が始まり、竹千代丸は華麗に舞う。


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