序幕ープロローグー
舞台端、そこに黒子がひとり正座している。
ドン、と太鼓を叩く。
姉のお付きをかっさらい 抜け道探して逃避行
元服前の黒髪狐 火の玉蝶々(ちょうちょ)に守護された
追っ手は術師 相手は動けぬ 舞うは黒子の影たちよ
影分身 後見の術に小太刀の秘技
あやしの林の木の根が死んで
現れたるは 自由への道
口づけ交わす ご両人 行き先不安はどこへやら
黒子が一礼すると、当たっていたスポットライトが消える。
「ねぇ、ねぇっ」
スポットライトが再び黒子を照らす。
子供の声。
「何のお話?」
答える黒子。
「竹千代丸と、つくしの話でさぁな」
「あのお話?ねぇ、今終わったの?」
「終わりといやぁ、終わりだし、始まりといやぁ、始まりさ」
「お願いっ。お願い、お願いっ。お話聞かせて~」
「ほう、ほう、ほう」
黒子が片胡坐をかく。
「この語り部、そなら、あっ、語ってやろおぉじゃあ、ねぇか」
黒子が太鼓を叩く。
さぁ、さぁ、はじまり、はじまりぃ~
ドン。
ドン。
ドン。
ドン。
黒子へのスポットライトが消える。
ドン、ドン、ドン、ドン。
ドン、ドン、ドン、ドン。
ドン、ドン、ドン、ドン。
ドン、ドン、ドン、ドン。
ドン、ドン、ドン、ドン。
ドン、ドン、ドン、ドン。
ドン、ドン、ドン、ドン、ドン。
ド、ドン。
太鼓の音と共に、ゆっくりと幕が開く。