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3.ミリスの正体

本編の第三話。

今回も3000字程度です。

「わーん、おにぃちゃん、ミリスねぇちゃんが………

………ミリスねぇちゃんが……………………」

「ポラリス君!?

すいません、ランス君を起こしてしまってごめんなさい………」


……………何事だ。

人が気持ち良く寝ていたというところに何事だ。

しかも俺の部屋まで来て。

見た感じ、緊急事態ということでもなさそうだが……。


「………お前ら、どうした?」

「いえ、何も………」

「おにぃちゃん、聞いて!」


ポラリスが何か言いたそうだ。

確か、ミリスが何だとかだっけ?


「ミリスねぇちゃんが、今日くらいで街を出るんだって」

「……いえ、ランス君、まだ決まったことでもないですし…………」


何だ、そんなことか。


「別に、居るなら居ればいいし、出たいなら出てもらって構わない

ただ、あの時みたいになる可能性があるなら、俺としては残ってほしい

別に迷惑だとかを考えるな、俺は許すからな」

「…………は、はい……」


そうだ、別にミリスが出ていく必要はない。

ポラリスが許せばの話にはなるが、俺としては歓迎する。


「………え、おねぇちゃんは残るの?」

「………できれば…………………そうしたいですね…」

「やったぁ」


分かりやすく喜ぶ可愛い弟を見ると、つくづく癒やされていると感じる。

ミリスだって頬を赤らめてるしな。


「じゃあ、おねぇちゃん

今日も一緒だね」

「ポラリス君、今日もですね!」


何やら、もうすっかり仲良く、姉弟みたいになってるな。

まぁその方が、俺にとってもミリスにとっても良いだろうしな。


「よし、じゃあ俺は朝飯を食うから、この部屋から出ていってくれないか?」

「はぁい、おにぃちゃん」


こんな事があれば腹は減る。

朝飯は食堂で済まそうか………。

じゃあ追い出す意味もないか。

自分で作ろう………。


「……………あの、ランス君」

「ん?

どうした?」

「話があるのですが………」


話とは何だろう。

どうせ、昨日はありがとうございました的な何かだろう?

だったら、別に今じゃなくてもいい気が……。


「分かった、話してくれ」

「…………いえ、この場にはポラリス君もいますので……

ポラリス君を隔離してもらうことはできますか?」


そこまで深い話なのか?


「分かった………

ポラリス、部屋に戻ってくれ」

「はぁい、おにぃちゃん」


ポラリスはノコノコと、ゆっくりと自分の部屋へと戻っていく。


………………ポラリスがこの部屋から出ていったので。


「………よし、ミリス

話ってなんだ?」

「……………ランス君、私、実は………………………」


実は?


「………魔女でして……………」


……………………ほう。


「あの、何か思うところもあるでしょう?

魔女は嫌でしょう?

なので早く私はここから出ていった方が良いかと……」


綺麗な紫髪の少女。

そしてこいつは旅をしていた。

そして自ら魔女であると告白した。

そう考えると、ミリスが魔女である可能性は限りなく100%に近い。


…………しかし、だからといって、魔女だからといって、嫌に思ったりはしない。

さっきまで思っていたことと考えは変わらない。


「………別に、お前が魔女だからといって、嫌に思ったり扱い方を変えたりとかはしない

思うことも一切ない

ミリスはミリスだ

だから追い出すこともしない

ここにいても良いぞ?」

「……………え……………………あ、あり………がとう……ございます………」


意外だったのだろうか。

俺の返答が意外だったのだろうか。

しかし、言っていることは俺の思っていることと同じだ。

気持ちは伝えたはず。

それでミリスがどうするかは自由だが。


「…………しかし、迷惑なのでは?」


………………はぁ。

ため息が出る。


「別にお前は何もしてないだろ?

それを嫌ったりするわけないじゃん」


その通りだ。

ミリスは俺たちに何もしていない。

むしろ弟と遊んでくれている。

迷惑どころか有益だ。


「………でも、ここに住まわせてもらっているのも迷惑なので、ここを出て、責任を……」

「何の責任だよ……

お前はポラリスと遊んでくれてたし、俺にとってはむしろありがたい存在なんだ

だからかそ言う、ここにいろ

お前はずっとポラリスと遊んでろ

出ていく方が迷惑だ」


偉そうな言い回しになってしまったが、それはそれでミリスに響いたのでは?


「では、お言葉に甘えて……………」

「最初からそうしていいんだぜ?

こういうところでは俺に思いっきり頼ってくれ

これくらいでしか助けられないからな」

「はい、頼ります……」


素直でよろしい。

俺に遠慮しようという考えが不要だからな。

いざという時、頼ってくれればある程度のことは解決するつもりだ。


「…………よし、ポラリスを呼んでいいか?

俺は朝飯を食堂にて食らいに行くが、この部屋は使ってもらって良い

ミリスにも一人の時間が必要だろうし、この部屋を使いたいならそう使ってくれ

ただ、ポラリスがこの部屋を荒らさないようには注意を払ってくれ

頼んだぞ?」

「分かりました、ランス君」


ミリスはいつもになく笑顔だ。

何か特別なことでもあったのだろうか……。

ひとまず、一件落着ということで。


「じゃあ、ミリス、俺は行ってくる

そう言ってもすぐ帰ってくるかもだから、そのあたりは理解しておいてくれ

それじゃ」

「分かりました…」


俺は部屋を出た。







――――――


食堂で朝飯を食らい、今すぐにでも部屋に戻ろうし時、ふとこんなことを思いついた。

「ミリスの服がない」と。


今、おそらくあいつは、俺の男用の服やズボンを着用しているだろう。

また、俺の下着も着ている可能性が………………………………いや、それはない。

しかし、女用の服がないのは事実だ。

なので買いに行こうと考え、今は街の服屋にいる。


そこにて、ミリスのための服を選んでいるのだが……。


「…………難しいな…」


なんて難しいのだ。

ミリスに合う服とは何だ。

女心を知らない俺にとっては未知の領域だ。

雑に選んでも良いのだろうか……。


………まず、ミリスのサイズに合う服、そこから選ぼう。

……えっと…………………………これか。


俺は黒色の、至ってシンプルな柄をした服を手に取った。


次にズボン。

多分、色を統一させたらダサいだろうし、変に考えすぎてもダサいだろう。

だから……………………………………これとかどうだ。


俺は濃い青色のズボンを手に取った。


これなら、色も被ってないしいいかも………………いやダサいな………。


合わせて見てみると、少しダサい。

おそらくこの原因はズボンだ。

濃い青ではなく、目立つ色にすれば良いだろう。


………………どれだ…………………えっと……………………これとかどうだ。


俺は真っ白で柄のないズボンを手に取った。


合わせて見てみると…………まぁ大丈夫だろう。

ダサくは……………ない。

よし、これでいいだろう。


俺はこの2つを買うことにしたら、



―――


無事、買い物が終わったわけだが、これでミリスはいいのだろうか。

まぁ別にダサくは……ないし、文句はないと思う、おそらく。


…………しかし、女心ってのは深いな。

俺には分からないし、それが何なのかすら理解しようと思わない。


…………やべ、下着買い忘れたんだけど……。

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また、感想も書いていただけると嬉しいです。

今後ともよろしくお願いします。

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