貴方を婿には迎えません!~第三王女は悪役令息を裁きたい~
「ジルベルト・ランポーネ、よく聞いて。私、フランチェスカ・ラフルッタは、貴方との婚約破棄を望んでいます」
貴族学園の礼拝堂に、張り詰めた私の声が響き渡った。
証人となってもらうために連れてきたクラスメイト三人も固唾を飲んで、国と私の未来を決める大舞台を見守っている。
女王はジルベルトを気に入っているようだけれど、それでも第三王女の夫になんかさせられない。
常に微笑みをたたえて崩さず、心の内を決して見せないこの男は得体がしれないから。
心を奮い立たせて睨みつけると、ジルベルトは薄い唇を引き上げて、胸元からハンカチーフを取り出した。
「おやおや。婚約破棄のお申し出とは、なんということでしょう。僕はこんなにもフランチェスカ様を想っているのに、悲しいです」
さめざめと泣く真似をするジルベルトに眉を寄せる。
私を小馬鹿にしたような態度も、中身を伴わない愛の言葉も、まったくもって白々しい。
金の髪をかき上げてため息を一つこぼし、再びジルベルトに視線を送る。
いくら目を凝らしてみても、いつもと同様に欠片も心が読めなくて焦りが募った。
私はどうやら人よりカンが優れているらしく、相手の感情や考え……とりわけ悪意や嘘を敏感に察知することができた。
生まれつきなのか、はたまた王女という立場がそうさせたのかはわからないけれど、不思議なカンのおかげで危機を免れたことも少なくないし、一度カンに背いた結果、毒入り紅茶を口にして死にかけるという痛手を負ったこともある。
だけど……なぜかジルベルトの心の内だけは読み取ることができなかった。
第三王女の婚約者という、国や私にとって非常に重要な相手なのに、だ。
ぎりと歯噛みして睨みつけるけれど、ジルベルトは「フランチェスカ様。そのように見つめられては、照れてしまいます」なんて、くすくす笑うだけ。
この男の本音がどこにあるのか、さっぱりわからない。
羨望や妬み、親愛や嫉みなど、立場上様々な視線を向けられることには慣れていたけれど、ジルベルトの視線は他とどこか違っているようで。
柔らかいのに鋭いような、冷たいのに燃えているような不思議な視線は、私の心の奥底を覗こうとしているように見えて、苦手だった。
とはいえ、逃げ続けていてはきっと、ジルベルトの思うつぼ。
不信感が拭えないまま彼を王族に加えるわけにはいかないと、私は学園の礼拝堂で勝負を仕掛けることにしたのだ。
「ジルベルト、貴方はこれを知っているかしら」
制服のポケットから、小さな赤い石の付いた指輪を取り出す。
「なんと、指輪ですか。婚約中でも、プロポーズをしていただけるので?」
これがどういう代物なのかわかっていながら、笑みを崩さないままこてんと首をかしげるジルベルトに苛立ちが募る。
「これは我がラフルッタ女王家の宝『真実の指輪』。赤い石の指輪をつけた者の心の内を、青い石の指輪をつけた王族が十分間だけ、読み取ることができるのです」
ジルベルトの企みを知り、彼を断罪するためにお母様から指輪をお借りした。
王族なら誰でも一生に一度だけ使える魔法の指輪。使い時はよく考えるように言われていたけれど、私にとっての一世一代の大勝負はきっといま。
正攻法で問い詰めたところで、ジルベルトは絶対に尻尾を見せないだろうし、狡猾で野心家な男を父に持つ彼の企みを見抜くにはこれしか方法がないから。
「マテオ、指輪をジルベルトに」
大柄なクラスメイト、マテオに赤い石の指輪を手渡す。
「おや、残念です。フランチェスカ様が僕の指輪をつけてくださるのではないのですね。貴女様のは僕がおつけしましょうか? 結婚式のようで、ロマンチックですし」
「結構です。自分でつけられますから」
吐き捨てるように言いながら、ちらとジルベルトに視線を送った。
不吉と言われる生まれながらの真っ白な髪に、薄氷にも似た水色の瞳。
感情の読めない美しい顔に、他人をおちょくり惑わすような言動と態度。
カンが全く働かないことも含め、この男の全てが危険に思えてくる。
ジルベルトが指輪をつけたのを見計らって、私も青い石の指輪をはめた。
「これから始まるのは、貴方の心の内をあばく裁判です。真実の指輪の前では、うさんくさい笑顔もはぐらかしも十分間無力になり、貴方の考えが私にだけ筒抜けになる。自白して悔い改めるならいまのうちですが、いかが?」
謎めいた人物ではあったけれど、良き学友であり、賢くて気づかい屋に見えた、美しいジルベルト。
心が読めないと気づくまでは彼に惹かれていたこともあり、こぶしを握りしめて震える声で自白を促した。
もしも何かを企んでいるとして、ここで罪を認めてくれれば、罰を軽くするようお母様に進言することもできる。
『お願い話して』と心の中で願うけれど、ジルベルトは私の心を踏みにじるように、うすら笑いを浮かべて指輪を撫でた。
「自白? なんの罪を悔い改めればよいのでしょう。幼い頃、父の花瓶を割った罪を弟になすりつけたことでしょうか」
……あぁ、もうダメ。ジルベルトには何を言ってもムダなのね。
怒りと絶望が腹の底からふつふつと湧き上がってくる。
「貴方、あとで後悔するわよ」
「さぁ、どうでしょうか」
冷静な態度を貫くジルベルトを睨みつけ、呪文を復唱するように促した。
「ジルベルト・ランポーネ、復唱を。大地の精霊に誓う。我が心すべて、主に捧げると」
「ええ、仰せのままに。大地の精霊に誓う。我が心すべて、主に捧げると」
ジルベルトが呪文を唱え終わると同時に、キンと甲高い音が指輪から溢れ、礼拝堂にまばゆいほどの光が満ちる。
クラスメイトたちはざわめいていたけれど、私とジルベルトは距離を保って向かい合ったまま、互いを見つめていた。
「フランチェスカ様、いかがですか?」
クラスメイトのソニアがおそるおそる尋ねてくる。
「まだ、わからない……」
不安な心を抑えながら、ジルベルトの顔を見やる。
覚悟を決めてきたはずなのに、私を見下す声や、国の乗っ取りを画策する言葉が聞こえてきたら、と胸がざわついた。
(ああ、まったく。王女様は本当に詰めが甘いですね)
「――っ!」
甘みのある柔らかくて低い声が頭の中から聞こえてくる。
ジルベルトの声だ。
でも、彼の口元は動いていないし、クラスメイトも皆動きを見せていない。
指輪の能力が発動して、私だけにしか声が聞こえていないんだわ。
だけど、詰めが甘い、って何……?
(僕と婚約破棄をする気なら、礼拝堂なんて閉ざされた場所を選んではいけないし、このメンバーを揃えるのも大間違い。マテオやアントニー、ソニアのような穏健派ではなく、もっと僕を妬み嫌う者たちで周りを固め、徹底的に追いつめるべきだ)
心の声にど正論を突きつけられて、ぐぅと喉の奥を鳴らすことしかできない。
まったく、人の気も知らないでこの男は。
全部、貴方を思いやってのことじゃないの!
誰が好き好んで、淡い恋心を抱いていた相手を断罪したいものですか!
次はどんなふうに私を嘲ってくるのかと思いきや、今度はくすくすと楽しそうに笑う声が聞こえた。
(まぁ、そんな甘ちゃんなところがフランは可愛いんですけどね。不安げな顔も、震えるまつげも愛らしい。また、いじわるをしたくなってしまいます)
「――っ!? か、かかかかわいいですって! それに愛称呼びを許した覚えはないわ!」
思いもよらぬ言葉に、どくんと心臓が跳ねて、一気に顔が熱くなったのを感じる。
聞き捨てならずに慌てて声をあげたのだけれど、クラスメイトたちはわけがわからないといった様子で、ジルベルトも目を丸くしてまばたきを繰り返していた。
「これは驚きました。指輪の能力はおとぎ話のたぐいかと思いきや、本当だったのですね」
ジルベルトのセリフにまた心臓が激しく波打ち、いたたまれなくなってうつむいた。
『指輪は本当』って何!
ジルベルトは、本気で私を可愛いとか愛らしいとか思っていたということ!?
裏切られるかもしれないと思って来たのに、予想外の攻撃をくらってしまい、頭を抱えて目をつぶった。
(フラン、耳まで赤くして。いま、どんな顔をしているのでしょう。どうにかして、こちらを見てくれないですかね)
「見ません! 絶対に見ませんし、愛称呼びはおやめなさい!」
「べつに声には出していないのですから、いいではないですか」
二人だけの秘密の会話のようで、なかなか楽しいものですね、なんて、ジルベルトは心の声でにこやかに話しかけてくる。
断罪の最中だというのに、脳天気な声にあきれてしまって言葉も出ない。
ああもう、完全に向こうのペースに持っていかれている。ここらで主導権を取り戻さないと。
指輪の効力は長くないのだから。
「ジルベルト、おしゃべりを楽しむ時間はないから、単刀直入に聞くわ。貴方は私を王太女にさせたがっているようじゃない。以前尋ねた時は、はぐらかしてきたけれど、真意は? まさか自分が王配になり、国を操ろうと思っている……とか、ないわよね?」
私の問いにジルベルトは目を見開いて、立ちつくしている。
静寂があたりを包み、自分の唾液を飲み込む音がやけに大きく聞こえた。
「王配になり国を操る、ですか……ふふ。あはははは!」
お腹を抱えて笑い出したジルベルトに私もクラスメイトたちもあっけにとられて、ぽかんと口を開けた。
「王配の座なんて面倒事が増えるだけですし、これっぽっちも興味はありませんよ。僕は父のような野心家じゃありませんから、いまの地位で十分満足しています」
「え……」
心の声が聞こえない。
つまりは、本音ということ?
(おや。先日も、興味があるのは地位ではなくフランチェスカ様のほうだと、僕はお伝えしたはずなんですけどね)
心の声と、どこか熱のこもった瞳に、びくりと身体が跳ねる。
「そ、そんなのまさか本気だとは思わないでしょう!? それに、王配の座に興味が無いのなら、なぜ私を王太女にと推すの、矛盾しているわ!」
こくこくとクラスメイトたちが頷く。
マテオもアントニーもソニアも、ジルベルトの能力をかっていたけれど、不穏な噂がネックになって彼を信じ切ることができずにいたのだ。
「矛盾していませんよ。国の未来を考えたら、フランチェスカ様が女王を継ぐのが最良の選択。皆もそう思いません?」
クラスメイトたちはジルベルトの問いかけにうっと言葉を詰まらせ、視線をそらした。
一方のジルベルトは追い打ちをかけるように、話し続ける。
「第一王女のマリー殿下は肺のご病気で床に伏すこともしばしば。第二王女のボニー殿下は性と金に奔放でいらっしゃる。第四王女のチェルシー殿下は平穏を愛しすぎて人を裁けず全てを許し、非情になれない。さぁ、国を継ぐのに最も適しているお方はどなたでしょう」
心の声が少しも聞こえてこないということは、つまりはこれも真実。
どういうこと? ジルベルトは一つも嘘をついていないし、国や私を騙そうなんて思っていなかったということなの?
「だけど、我が国の王位継承権は、第一王女か第二王女にしかないわ。王族の伝統は簡単には変えられない」
第三王女以下の者が国を継いだことは、建国以来一度もない。
けれど、お母様が第三王女の私を後継者候補として検討しているのは知っていた。
信頼していた侍女が私の紅茶に毒を盛ってきたことで、自分が後継争いに巻き込まれつつあると知ったんだ。
「フランチェスカ様。伝統を変えなければ、この国は次の代で沈みますよ。不在がちな女王は邪険に扱われ、奔放な女王には臣下がついてこないでしょう。僕は……そんな未来は、耐えられない」
ジルベルトの沈痛な面持ちに、ぎゅっと心が締めつけられる。
貴方は、こんなにも国を思ってくれていたのね。
それなのに疑ってしまったなんて……
「ジルベルト、貴方……」
(まぁ、本当はそんなのどうでもいいんですが。国が乗っ取られようと、財政難で破綻しようと、知ったことではありませんし)
けろりとした声に顔を上げると、ジルベルトはまだ悲痛な表情を続けている。
おそらく、心の声を読まれているのをすっかり忘れて演技を続けているのだろう。
ねぇ、ジルベルト。貴方、性格悪すぎじゃない?
あきれてため息を一つこぼしていると、(だけど)と心の声が聞こえてくる。
ジルベルトに視線を送ると、柔らかく目を細めて私を見つめていた。
(祖国が衰退したら、フランはきっと悲しむから。僕はただ、フランとフランの大切なものを守りたいだけ)
「……っ」
いつもとは違う瞳と、普段は絶対に聞けない心の内に、きゅっと胸が甘く締めつけられた。
「ねぇ、フランチェスカ様。人望ある貴方様と、交渉事が得意な僕とが国を継げば、この国の安寧は守れると思いませんか。どうです、悪い話じゃないでしょう?」
口元はにやついていたものの、目元は真剣そのもので。
本気で私を説得しようとしているのが手に取るようにわかった。
「本気の話で、本音なのね」
呟くように言うと、ジルベルトはすっと柔らかく目を細める。
「『嘘が怖い。裏切られるのが怖い』と話してくださったあの日から、僕は貴方様には嘘をついていませんよ。確かに僕は、人をからかったり、振り回したりするのが大好きで、はぐらかすのだって常套手段。ですが、誓って貴女様を裏切ったり貶めたり、お体を害するようなことはいたしません。だから……」
(僕を信じて。どうか貴女の一番近くにいることをお許しください)
真剣な声にどくんと鼓動が跳ねて、まともに顔を見られなくなる。
「どうしてそこまでして……」
か細い声で尋ねると、ジルベルトはどう答えたものかとばかりに悩む様子を見せてきた。
「それは……」
(心優しく、高潔なフランチェスカ様を誰よりも愛しているからです)
火がついたように顔が熱くなり、じんわりと瞳が潤んでいくのが自分でもわかる。
一方のクラスメイトとジルベルトは、落ち着きをなくした私を、不思議そうな目で見つめている。
指輪の効果など忘れてしまっていたようで、ジルベルトは首をかしげていたけれど、突然「……ッ!」と、声にならない声をあげ、慌てたように自身の口元を押さえた。
(……このような形で伝えるつもりはなかったのに)
ジルベルトの顔がラズベリーのように真っ赤に染まり、視線が重なったとたん、そらされた。
いつも余裕しゃくしゃくなジルベルトのこんな顔、初めて見た……
胸が高鳴り、熱く煮えた血が全身を駆け巡る。
そして、ようやくジルベルトの心だけが読めなかった理由がわかった。
彼は嘘を言わないし、私に危害を加えようともしない。さらには利用しようとも思っていない。
彼には嘘と悪意がないから、カンが働かなかったのね。
「ジルベルト、断罪はもうやめる……これも、もういらないわ」
指輪を外して床に落とすと、きらきらとした光の粒になって消えた。
きっと、またお母様の宝物庫に戻ったのだ。
「ねぇ、ジルベルト。私、心を開いていた侍女に毒を盛られてから、ずっと他人を信じられなかった。自分のカンばかり信じて、貴方をちゃんと見ようともせず、ろくに話もしないまま疑っていた。また裏切られるのが怖かったの」
ジルベルトは顔を上げて真っ直ぐに私を見つめてくる。
不吉と言われる白い髪は雪のように穢れなく輝いて、薄氷のような水色の瞳は澱みなく、澄みわたっていた。
こんなの少し目を凝らせば、すぐに気づけたはずなのに。
濁っていたのは貴方の心じゃなく、私の目のほうだったのね。
「聞いて、ジルベルト。私、また人を……貴方を信じたい。貴方を疑い、婚約破棄まで突きつけたのに、虫のいい話だとわかっているけれど、婚約破棄をなかったことにしていただけないかしら」
仲直りの握手のつもりで右手を差し出すと、ジルベルトはふっと優しく笑った
「なかったことも何も、貴女様は最初から婚約破棄を命じてはいませんでしたよ。それに、貴女様の両肩には国民の命がのしかかっているのですから、懸念は解消しておくべきというのも理解しております。まぁ、破棄を命じられたところで甘んじて受け入れる気はありませんが」
ジルベルトは私の手を取り、握ってくる。
「これからもよろしくね」と微笑むと、ジルベルトは、にいっと妖しく笑い、握手していた私の手を左手に持ち替えた。
「ええ、もちろんです。けれど、綿密に立てていた告白の計画を台無しにされたお詫びはしていただきます。ああ、安心していいですよ、マテオたちはさっき払ったので」
「え?」
状況を理解しようとする間にジルベルトは左手を彼の腰の後ろに回していく。
それと同時に繋がれた私の右手がゆっくり引かれて、私は一歩前に出ることになってしまい、右手はそのままジルベルトの背中へと誘導された。
一気に近づいた距離に困惑しているうち、頬に手を添えられて唇を重ねられた。
「いま、僕が考えていること、わかります? あの指輪、外さなければよかったですね」
熱に浮かされたような瞳と囁くようなかすれ声に、ぞくぞくと甘く身体が震える。
「私ね、貴方の心がずっとわからなかったけれど、いまならわかる。きっと貴方は私と同じことを思っているから」
きゅっと彼の上着の後ろ身頃を掴んで背伸びをし、耳元で「愛している。そうでしょ?」と囁くと、ジルベルトは私を掻き抱き、息つく間もなくキスの雨を降らせてきたのだった。
それから、半年後。私は王太女と呼ばれるようになり、学園で私の隣にはいつもジルベルトがいた。
相変わらず彼の心は読めないし、何を考えているのかわかりにくいし、いつも私をおちょくってくるけれど、誰よりも信頼できる相手は不思議とそんなジルベルトだった。
「卒業おめでとうございます、フラン」
「ジルもね。おめでとう」
貴族学園の中庭に降り立つと、風が吹いて嵐のように花びらがぶわりと舞う。
「ねぇ、フラン。いま僕が何を考えているかわかります?」
いたずらっぽい顔でジルベルトが尋ねてくる。
「無事卒業できてよかった、かしら」
「いいえ、違います」
「これからも政治の勉強を頑張ろう、とか」
「そんな当たり前のことを、わざわざ卒業の日に思いません」
ふぅとあきれたようにため息をついたジルベルトは、大きく一歩踏み出してきて、耳元に唇を寄せてきた。
「やっと貴女の夫になれる、です。もう我慢も遠慮もしませんよ? お引越しの日が待ち遠しいです」
「――っ!」
ジルベルトは私の頬を愛おしそうにひと撫でしたあと左手をとり、薬指の指輪にキスを落としてくる。
動揺する私に「フラン、愛しています」と、微笑んだ。
毎度私を惑わし、心臓が壊れるほど甘い言葉を放ってくるジルベルトに、こう思う。
ただでさえ愛を囁かれ続けているのに、これ以上聞こえてくるなんて身が持たない。ジルベルトの心はずっと読めないままでいいわ、と。
『貴方を婿には迎えません!~第三王女は悪役令息を裁きたい~』を最後までお読みくださりありがとうございました!
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