あいつのアレがデカすぎる
あいつのアレはとてつもなくデカい。
見るつもりがなくてもつい見てしまう。
自然に目が向いてしまう。
大きいからだ。主張が激しいからだ。
あいつのことを知ったのは中学の入学式だった。
その頃から他に類を見ない大きさだった。
あいつは昔から「肩が凝る」が口癖だった。
大学生になった今でもそれは変わっていない。
あいつは人気者だった。
成績優秀スポーツ万能。女子からも男子からも慕われ、憧れの対象になっていた。
あいつのソレを見た奴は全員が全員「デカい」と声を漏らす。
それもそのはずだ。
唯一無二のあいつのソレは、オレたちが今まで見てきたものとは比べ物にならないほどの大きさなのだから。
当然、そんなあいつを妬む者もいた。
あいつのアレについての悪口を本人の前で言ったり、机に落書きをしたり、靴を隠したり、餅を隠したりした奴もいた。
それでもあいつは負けなかった。
そんな奴らの事など気にするものかと開き直り、仲間を信じ、オレたちを頼ってくれた。
当然オレは妬んだりはしていないが、あることを考えることがたまにあった。
「あいつと結婚できる奴が羨ましい」
何年後に誰とするのか、はたまたしないのかは分からないが、もしそんな奴がいるのなら嫉妬してしまう。
結婚相手。
つまり、あいつのアレを好きにできる奴。
羨ましすぎるだろ。
あいつのアレはとてつもなくデカいんだ。
そうだな、軽くオレの30倍はあるだろうな⋯⋯。
まぁ、測ったことなんてないけど。
あいつの親は政治家なんだそうだ。
だからあんなにデカいんだとさ。
一方オレの親は給料が普通より少ないんだ。
まぁ、貧乏なんだ。
だから初めてあいつのアレを見た時は驚いたよ。目ん玉が飛び出るかと思ったもん。
デカいなんてもんじゃないんだよ。
もはや一個人のデカさじゃない、そんなレベルなんだよ。
そういや初めてあいつのアレを見た時の話をしてなかったな。
中二から急に仲良くなってな、夏休みに一緒に銭湯に行ったんだ。
いや、まぁそれより前から大きいってのは分かってたんだがな。
初めて見たあいつのアレは、もうとんでもないデカさだったよ。
浴場に入ると、まず悲鳴が起こった。
「大蛇だ! 大蛇がいるぞ!」
当然銭湯に大蛇がいるわけがない。
そう、その客はあいつのアレを大蛇と勘違いしたんだ。
それから5分くらい、浴場はまさに阿鼻叫喚の光景だった。
パニックになったジジイやおっさん、若造が浴場内を走り回ったんだ
「蛇に食われる! 助けてぇ!」
出口に人が集中し、もみくちゃになった。
風呂場の熱気も相まって、次々に人が倒れていった。
自分のせいでパニックになったと思ったあいつはひどく動揺したが、あいつのアレがジジイを6人丸呑みしたことでその場は収まった。
あいつは湯船に浸かりながら言っていた。
「某はドライアイであるからに、湯殿だけが烏有之郷じゃんぼし」
そう、あいつはアレが大きいからか、すぐに乾いてしまうんだ。
あいつはアレも大きかった。
そのせいで会う人会う人に「七福神にいそうだね」と言われるのだそうだ。
アレがデカい奴は金が貯まるとか言うが、実際にそうなのかもしれないな。
また、あいつはアレも大きかった。
ある日、紅茶を飲みながら窓の外の小鳥を見ていたら自分も飛んでみたくなり、念じたら生えてきたそうなのだ。
そうだな、大きさで言ったらだいたい飛行機と同じくらいだと思う。
ちなみに、ここだけの話なんだが、あいつのアレはめちゃくちゃ太いらしい。極太なんてもんじゃなく、間違いなく人類最太なんだそうだ。
普通、ほとんどの人のそれは一部を除いて極細で、久留米ラーメンより細いそうなのだ。
ただ、全部繋げると地球2周半くらいになるそうだ。人間ってすごい。
しかし、あいつのアレは1本しかない。心臓からものすごくぶっといのが1本のびており、尻に繋がっているそうなのだ。
心臓に血液を返すことが出来ないので、あいつはいつも尻から真っ赤な洪水を垂れ流している。
ここまで付き合ってくれた人は分かると思うが、あいつは普通の人間じゃない。
すべてにおいて普通のスケールじゃないんだ。
おっぱいもデカいし家もデカいし偉い人とのパイプも太いし血管も太いし餅が好物だし羽もデカいしいつもカレー臭いし水虫だし虫歯だしあんなクソでかい家なのにユニットバスだし風呂では肘から洗う派だしきのこ派だしなんなんだよあいつマジで。
でもさ、あいつのアレだけは特に理解出来ねぇわ。
あいつのうんこ、線香の匂いすんだよ。
なんでうんこの匂い知ってるんだって?
そりゃダチなんだからそんくらい知ってるだろ。毎回分。