6話 ポイント制
時間かかって申し訳ないです!戦闘シーンが増えてきます。楽しんでいただけると幸いです。
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どうやら晴男は剣士ではなく、魔法使いらしい。俺はてっきり最初は皆剣士なのかと思っていた。晴男曰く、装備していたのは初めからこの杖で、剣など一本も持っていなかったらしい。
初期装備に見えるは見えるのだが、なんとなく持っている杖は強そうだ。ひょっとするとモンスターを倒した戦利品かな?と思い、杖の名前を聞いてみた。
「その杖、なんて名前なの?」
「これか?これはな、サニーメイスってんだ」
思いの他初期装備みたいな名前だった。そんな事を考えている俺をよそに、晴男は続ける。
「ウェポンmodが多くて成長させ甲斐があるからさ、モンスタードロップの片手剣もあるんだけど、使う気にはなれなくて。この片手剣、いる?」
俺にとってなかなか良いお誘いだったが、それよりも俺はウェポンもっどというのが気になったので、聞かずにはいられなかった。
「あのさ、そのウェポンもっどってなんなんだ?」
「え、知らないのか?」
驚いた様子を見せつつも、晴男は続ける。
「そんな所にも差異があるのか。俺は最初におじいさんから聞いたんだけどな。で、ウェポンmodってのは、剣がどれだけ成長するかを示すんだ。modはモディファイの略で、《派生》って意味だ」
そこで晴男は一呼吸おくと、少し早口に続ける。
「で、剣を使ってると、剣、まぁ、俺の場合杖なんだけど、レベルが上がるんだ。レベルが上がると、ソードポイントってのが手に入って、それを使って剣技を覚えられるんだ」
分からない語句が出てきたので慌てて俺は聞く。
「待て待て、ソードポイントってなんなんだ?」
「あぁ、それも知らないのか。ソードポイントってのはな、自分のレベルでいうスキルポイントみたいなもんだよ」
「なるほど、それで剣技とやらを習得すると」
「そゆこと。ちなみに俺は、メイスレベルが4で、自分のレベルが5だぜ。杖技もみっつよっつ覚えてるぞ」
「マジで!?いいなぁ、俺まだ両方レベル1だよ」
「じゃあさ、俺がサポートするから一緒にレベル上げしない?」
「ホントに!?いいの?俺なんかについてくれて」
「いいさ、俺も優香ゆうかを救いたいしな」
「え、魔王にさらわれたのって、優香なの?あの、二年生いっぱいで転校するっていう2組の?」
「ホントに何も知らないんだなぁ。じいさんの話、ちゃんと聞いてたのか?」
「嫌々聞いてたのは確かだけど、しっかり聞いてたよ。でも、本当に優香の話はしてなかったよ。晴男は2組だし、2組の特権なんじゃないの?」
「あぁ、そうなのかも。姫が在籍してたクラスだから特別に、って事なのかもな」
そこで俺は、暗い話を切り上げる為に違う話を出した。
「ところで、晴男が持ってるスキルで一番強いのはなんなんだ?」
いきなりの話題切り替えに戸惑った様子を見せた晴男だったが、しっかりと俺の話に乗ってくれた。こういう所が、有名人たる所以だろう。
「サニーサイドアップっていう、大火力魔法だ。ここら辺のモンスターなら、一撃で消し炭に出来るぜ」
「目玉焼きの焼き方で、そんなのなかったっけ?」
「あぁ、あったなぁ。あんまりどんなのか覚えてないけど」
「俺も、言っておいてどんなのか覚えてないけどな」
クスッと笑う。2人の間に緩んだ空気が流れた。すると晴男が気づいたように言う。
「ここでずっと話してても進まないし、いこうぜ」
「了解!」
▪︎▪︎▪︎
「のわぁぁぁぁぁぁぁ!!」
俺は、変な匂いを撒き散らすスライムみたいなモンスターと戦っていた。コイツがもう、臭いのなんの。近付くと地獄を見る。
「おーい。逃げ回ってばっかりだと倒せないぞー」
「そんな事いったってぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
そんな事をしていると、スライムが毒ガス攻撃の予備動作を見せたので、毒づきながら斬りかかる。
「くそっ...!」
すると、いつものバチャッ!という音と違うザクッ!という心地よい音がして、たった一撃でスライムのバーを削り切った。
「おぉ! 一撃でスライムの核を破壊するなんてやるなぁ!」
「いや、もう、無我夢中で。偶然だよ」
すると、シャラン、という音がして、目の前に経験値の加算を知らせる画面が現れる。
《ソードレベルが2になりました。》
ということらしい。さっき自分のレベルが3になっていたので、このレベルアップは妥当なものだろう。
「せっかくソードポイントが入ったんだし、何か剣技を習得してみなよ。」
と晴男がいうので、画面を開いて何を習得するか選ぶ事にした。
俺の剣は《ノーマルソード》というのだが、ノーマルなだけあって、習得できる技は木の枝のように広がっており、無数にあった。
俺はそこの中から、なんとなく気に入った《片手直剣流 初段スキル 霧雨》というスキルを習得した。
特に効果も見ていなかったが、語感が好きだと思って選んだ。次はこの技を使ってモンスターを倒そう。俺は自らの胸が高鳴るのを感じた。
最後まで読んでくださりありがとうございます!次回も乞うご期待!