5.白い月の光に手を差し伸べてみました
部屋の窓から 明るい月の光が差し込んでいた
窓を押し開けると 銀色の満月!
僕は 長い事 月を見たことがなかった
夜出かける事はなかったし ベッドの近くは本棚だったから 足元の
窓から風は入っても 月光が差し込むのを見たことは無かった
「月を見たい」と誰かに頼んだことも無かった
月の光が触れるように思って 窓から両手を伸ばしてみる
伸ばした指先に月の光が当たって 影ができる
なんて綺麗なんだろう っと思う間もなく 涙が流れる
ノックの音に 涙を拭いて 返事をするとアルが入ってきた
泣いているのが分からないように あまり アルの方は見ないようにして
月が感動的に明るいから見とれている というと 呑気な声で
「今日の月は 普通だぞ 昨日なんて 二つ月だったから
もっと明るかったぜ」
っと驚くようなコトを言うから ビックリして振り返ってしまった
「え? 二つ? 月が?」
「ヒデの故郷は違うのか? 二つ月が出たら あとは 白 赤 青 黄 の月が一つずつ
でる んで月がない夜が来る これで一周だから 次の夜は 二つ月 使者は二つ月の
翌日に来ることが多いから 二つ目の月からの使者という人もいるぜ」
僕の故郷とハザマハーラは似ていると言っていてけど 月の色が違っても 数が違っても
生活様式に違いはないんだろう
でも でも でも カラフルな月が出るの?
それって 色が変わって見えるだけ? それとも 違う星なのか?
故郷でも こんなに混乱したことってあっただろうか?
驚く僕にアルが 告げた
「白 赤 青 黄 の月の翌日は 学校な! だから明日は学校行くぜ
大丈夫 俺が一緒に行くからさ 友達だろ!」
アルが 友達って言ってくれた
まだ ちょっとしか 半日くらいしかたってないのに 友達って言ってくれた
嬉しい ブルっと震えて 涙が出た 嬉しい
「うれし泣きだよな? 学校楽しみだな」
なんて言うから 慌てて告げる
「うん うれし泣きだよ 学校も楽しみだけどアルが友達って言ってくれたのが嬉しい」
アルは変な顔をしていたのはやっぱり 僕のコトちょっと変だって思ったんだろうか?
泣きすぎる男子 なんて どこの世界でもちょっと受け入れられにくいかな?
涙って自由に止められたらいいのに そうはいかないものらしい
涙が止まったころ なにやら重いものが入った袋を僕に渡しながらアルが説明してくれる
「午前中はチビ達が勝手にやってるのを俺らが見てやって
午後は先生が来て俺らに教えてくれるんだけど
ヒデ チビ達に何か教えられる? 何が得意なんだ?
字とか 計算とか?」
「言葉とか字とか 計算は僕の故郷と一緒かな?
歴史は好きで詳しいけど 僕の故郷の歴史だからダメだよね
使者は故郷とあまり変わらない環境って言ってた気がするけど
月が二つ出るとか 色のついた月とか言われたら心配になってきた」
その部屋にあった本やノートをアルが見せてくれる
小説っぽいものや 数の本 何かを書写したノートをパラパラと見てみると字は故郷と同じだし
計算も10進法だし 問題ない ただ ゼロの観念が強い気がする
さっきのアルも
「二つ月が出たら」で 親指を出して
「あとは 白 赤 青 黄 の月」といいながら 親指と人差し指で2 中指足して3
薬指足して4 全部開いて5 と開いて 最後に
「月がない夜」で グーと手を握り締めた これが ゼロだ と数えていた 本当は
「月がない夜」が最初でゼロなのかもしれないな
僕も指を折って数えてみるけれど 小指だけ折る 4 なんて難しいなあ
アルは普通にやっているから 慣れかな?
まあ 普通の計算なら得意だ ソロバンは子供のころから30年 はじき続けたのだから
***
翌日は 昨日に負けないくらいの上天気だった 太陽はいつでも一つなのかな?
トロワは 畑の向うの牛飼いの家の友達と行くからと先に行ってしまった
昨日の紅葉の木のあたりに立って アルが集落を説明してくれる
「あれが 昨日の広場だろ その左手の尖塔があるのが 月の家 広場の向う側にある
大きい家が学校 学校の向うには水田がある そいで 振り返ってみ
この牧草地はもうちょっとしたら牛が放牧される」
振り返ると 牧草地と森が見えた あの森の方から僕は来たんだっけ?
牛もいるのか?見てみたいと 背伸びまでしたけれど 牛は見えなかったからちょっと
ガッカリしたけれど 学校へ行けるなんて嬉しいな
「なんか 、、懐かしい、、、、僕 小学校は歩いて行ったんだよなあ 途中で転校したけど
ん?ああ そうだっけなあ」
転校したのは それまで住んでいた田舎からもっと町の方へ引っ越したから
引っ越したのは 僕が病院へ行きやすいため と 両親が商売を始めたから
商売を始めたのも 僕の為。。。 記憶がつながって沸き上がってきた
もし僕が居なかったら 家族は呑気に田舎で暮らしていたのかな?
ちょっと悲しい気分になって うつむいた僕にアルが どうした?って顔を
する
考えてもしょうがないなあっと首を振り 笑顔を作る
昨日 アルに引っ張られて登ってきた丘を下りながら アルが学校の事を
教えてくれる
学校は 広場の向うの赤い屋根の建物
銀の月の翌日から黄色の月の翌日までの自由登校 年に数回は試験があるらしい
5歳から9歳までの子は午前中だけ来て 先生と上級生に教わる
10歳から15歳までの子供は午前中は教える側 午後は先生が来てくれる
内容は いわゆる 読み 書き 計算 が主
「俺より トロワの方がよく学校へ行っているから 分からないことがあったら
トロワに聞くといいぜ 俺は兄さんに家で勉強教わることが多かったから。。。
あ、でも トロワは楽しいって言ったから 大丈夫 」
「うん アル ありがとう 嬉しいし とっても楽しみだよ」
アルは 学校が好きじゃないらしい それでも 今日 行こうと言ってくれたのは
多分 僕の為だと思う ありがとうっと素直に伝える
学校に着くと 黒板にアルが 僕とアルの名前を書く
もうすでに…40人位の名前が書いてあって …下の方に書いてある字は 小さい子なんだろうなんて書いてあるのかよくわからないけれど とにかく自分の名前はかける子たちなんだと感心する
アルが言っていたように それぞれ好きな事をやっているようで
トロワが何人かとあつまって 本を読んでいるのが見えた
そこへ小さい子が混ざって一緒に本の読み方を教わっている
石板に絵や字を書いている子供たちもいる
縫物?をしている子供たちと先生なのかお婆さんがいる
計算尺とソロバンで計算をしている集団を見つけた
計算尺の使い方は少しならった事があるけれど
思い出せるかな?
覗き込むと 一人が振り返って 僕にちょっと頭を下げアルに話しかけた
アルと同じくらいの背の高さの少年 頭は短く刈り込んでスポーツ少年って雰囲気だ
「アル この人 旅人?」
「そう ヒデ 今 俺んちにいる」
「そっか ヒデ 俺 ツバイ お前 この計算尺とかソロバンとか分かるのか?
どっちも 旅人が持ち込んだものだって言われているんだけど ?」
「わかりますよ ソロバンの方が僕 得意です」
「じゃあ ちょっと教えてよ」
ツバイという少年は 人見知りしないタイプらしく そのまま僕を輪のなかに招き入れた
ソロバンは かなり前に来た旅人が残していった文化(?)で 使える旅人が来るごとに
教えてくれたり 自作してくれたりして 今ではここに無くてはならないものになって
いるらしい
かなり前 というのは本当らしく ガッチリした五玉のソロバンもいくつかあった
懐かしいなあ っとパチパチとはじくと その音までも懐かしい
大丈夫 このくらいでは泣かないよっとアルに伝えようとして
アルが居ないことに気が付いた
キョロキョロすると
「兄ちゃんなら さっき外に出て行ったよ」
っと トロワが教えてくれたから ツバイたちに断って外にでる
「アル~? アル~?」
大きな声で呼んでみる おお 僕こんなに大きな声でたんだ!っと
イチイチ五月蠅いよ 僕の心の声!
「こっち こっち~」
とアルのする方へ行くと 鉄棒にぶら下がったアルが居た
「気が付いたら いないんだもんなあ ビックリしたけど 外に出たってトロワが教えてくれらから」
ちょっと 息を切らして アルのところにつくけれど アルはまだ鉄棒につるさがったままだ
「アル さっきからずーっと ぶら下がったままだよね? すごいなあ~!」
アルが 勢いをつけて一回転して着地する
グライダーって言ったっけ? たまに運動神経がいい 学校で一番足が速い男子がやってるのを遠くから見たことがあるけれど こんなに近くで見たのは初めてだ
「すごい すごい すごい!! アルすごい!!!」
しかも アルは僕の友達なんだよ
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