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25二つ月の夜



月無の時は 出来るだけ簡単に食べられるものをというので

野営っぽい料理になるけれど

二つ月の夜は 月の明かりを目いっぱい浴びながら ちょっと豪華に

食事を楽しむ というのがアルの家のやり方らしい


僕もアルもトロワも 料理や食器を運ぶのを手伝う


トロワが食器を運びながら僕に小声で言う

「この前の二つ月の時は 母さん 兄ちゃんに手伝わせなかったのよ

 ハトのケンカみて ちょっと反省したのかな?」

ハトのケンカもそうだけど トロワの爆弾発言じゃないの?と思って

「トロワが フィーさんが過保護だって 言ったからじゃないの?」

と言ったら 私そんなこと言ったっけ?って顔をしていた


忘れちゃったの?凄いね トロワ


会話の中心は 相変わらずトロワで 今日は泉の話をしていた

アルが 暑くなったら行こうって言っていた泉かな?



食事が終わって 月を眺める

故郷から見たような 白くて銀に輝く満月と 

それに少し重なるようにして 水色の月が出ている


図鑑で見たことがある 月と地球のようだと思う

宇宙から見たら 地球も輝いて見えるのだろうか


昨日暗かったこともあってか 今 夜なの? これ月明りだけなの?って疑いたくなる


でも 広場のアルの灯は見えた事が誇らしい


「こんなに月が明るいとは思った以上です 

 でも こんなに明るい中でも アルの灯はここからでも付いているのが分かりますね」

っと言って アルの顔を見たら

不機嫌な顔になっていた あ~反抗期モードかな


「昨日の月無の晩は 広場だけでなくて他でもアルの灯が優しく灯っていました

 アルは ここに()()()()()()()()人ですね  そんなアルを育ててくれて 僕と出会わせてくれて ありがとうございます」

っと レイさんと フィーさんに頭を下げる と なぜか アルも頭を下げている


そうだね アルだってご両親に感謝しなくちゃね


「アルが火を作る練習は誰としたのですか?

 簡単にできる事ではないんですよね? 」

以前 レイさんとの会話で知っているけれど あの言葉を引き出したいと思い

素知らぬ顔で言ってみた


と。。。アルが

「俺 水とってくる トロワとヒデも欲しいだろ?」

っと 家の中に入ってしまった 

あー もう アルったら

でも アルが居ないときに聞きたい事があったっけ


「アルの手って傷だらけですよね?」

「そうなの あの子ったら 止めても止めても やりがたって…」

っと フィーさんが言いかけたのをトロワがチラリと見たので 

フィーさんが口をつぐみ


トロワが話し始めた

「私の一番古い記憶はね おぶわれて 母さんの背中から見た記憶なの

 月無の夜なのだと思うの 暗い台所にいたら

 突然 兄ちゃんが火だるまになったの

 兄ちゃんの悲鳴と 母さんの悲鳴があがって

 同時に父さんが兄ちゃんを台所の泉に突っ込んだのよ

 

 多分 一瞬の出来事だし 実際は火だるまって事は

 なかった思うのよね

 最初からそんな火が出せるような才能豊かな兄ちゃんではないから」


最後はちょっと 茶化して言うトロワに レイさんとフィーさんが驚いた

目を向ける


「お前そんなことを覚えているのか?」

っと言う レイさんに頷いて トロワが続ける


「その後も 何回も兄ちゃんは火傷して 父さんに桶に突っ込まれていたけど

 兄ちゃんが悲鳴を上げたり泣いたりしたのは 母さんの背中から見たあの時だけ

 だから 余計に覚えているのかもしれない

 まあ あんまり火傷するから 母さんが耐えられなくなって

 火を作るのは 一日一回って約束になったのよ

 それだって 父さんと母さんの監視のもとで 

 横には 馬が水を飲むときの大きな桶を用意してさ


 その一回の火を兄ちゃん専用の小さなカンテラに灯して 

 灯ろうの火はカンテラ から 取るのよ

 火が作れるのに カンテラからって… ねえ?」

母さん過保護でしょ?っと言いたげにトロワが苦笑して

僕を見るけど 僕はフィーさんの気持ちが分かる

僕も過保護なのかな?


頷かない僕に ちょっとトロワが嬉しそうに笑って

続ける

「その一日一回だって

 失敗して 火柱になったのを見たこともあるわ

 父さんが慌てて兄ちゃんを水につけて 

 母さんが悲鳴を上げて泣いているのに

 兄ちゃんは 泣かなかったの

 私は泣いていたのに

 いつだって 泣いたところ 見たことないの

 実はね 私の自慢の兄なのよ」


最後はやっぱり トロワらしく冗談めいて言っていたけど

本心だろうな


レイさんが言う

「能力って言っても 自然に出来るようになるわけでは無いんだよ

 アルの場合は 突然の大きな力だったから 制御の為に練習が必要だった

 小さなきっかけしかないような能力の場合は その力が大きくなるように

 鍛えなくてはならない 水の流れが読めるなら 静かな夜に川につかり

 続けたりして 能力を育てて 

 その能力で ハザマハーラを守ってくれたり 豊かにしてくれるんだよ」


そこに ガラスが触れ合う音がして アルが水を持って戻って来た


たっぷり水の入った水差しを取って レイさんが言った

「この水は 先祖が能力で掘り出した水だから わが家の自慢の先祖と水だよ」

そして

コップをテーブルに並べているアルに目を向けると


「もちろん アルも自慢の息子です」

と言って 左手をアルの首に回して 少々乱暴に抱きしめた


もちろん アルは避けようとしたけれど間に合わずなすがままにされていた

あけましておめでとうございます


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