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22集中力の反対は…散漫力?

二人の間にカンテラをおいて ベンチに座る

さっきまでは 真っ暗とは思わなかったのに あっという間に真っ暗だ

「暗いね~」

「月無だからなあ」


こんなに暗い夜なんて始めてだ

カンテラの灯が届かないところは 真っ暗だ

下の方の集落は 沢山の火が灯っている 僕たちの様に

庭で焚火をしているのか ちょっと大きな火もあれば

小さな火が動いているのも見える


集落から離れたところにポツンと明るく光っているのは

広場の灯ろうだろう


「小さな光がたくさん見えるね」

「ああ 月の代わりに今日はどの家でもカンテラ使ってるぜ」


「ねえ アル あのカンテラのいくつかはアルが作った火なんだよね 

 その灯で夜を過ごせているんだね」

「おお 俺ってすごいだろ?」

「うん すごいすごい! 月無だからアルの灯ろうの灯もいつもより

 明るく見えるね」


しばらく黙って集落の灯を見ていると アルが言った


「けっこう 面白いな 外歩いてるっぽい灯もあるな」

「え?ホント 今 広場のアルの灯ばっかり見てたから気が付かなかった」

「あ 集中ってやつだな?」

「そうそう 一つの灯だけみつめていると どんどん周りが見えなくなるよ」


意識して 広場の灯を見てみると本当に他の灯がどんどん消えていく 他の灯がなくなったのか?

っと ゆっくり瞬きをすると 他の灯が戻ってきて 集落中に点々と小さな火が灯っているのが

見えてくる


「ねえ アル 集中だけじゃなくて 広く世界を広げてね 知ることを面倒くさいって思っちゃ

 だめだよ  僕はアルの火が大好きだけど 沢山の光が散らばっているのも好きだよ」


「ん」


アルは まっすぐ顏を集落に向けたまま 返事をして

少ししてから言った

「俺 月無の夜は 時々ここに来るんだ

 こうやって 俺の灯が散らばっているのを見ると

 安心するんだ」


泣いているような 震える声で続ける


「俺 ずいぶん小さいころ 

 もう 俺の眼って()()()()()()って

 分かって 

 もし()()()()()()()()って

 小さいながら不安になって 

 

 やっと火が扱えるようになったら嬉しくて

 喜んでくれる 父さんと母さんの顔みて 安心した

 大丈夫 俺はちゃんと役に立てる

 俺は ここに居ていいんだって思ったんだ」


僕は ベンチに置いた二つのカンテラをそっと下におろして

アルと肩をぶつけるように 少し寄りかかるように座りなおした

アルの肩が震えている


「ねえ アル 僕はアルが火が使えなくても好きだよ 

 こんな短い時間しか一緒に居ない僕でさ好きなんだから

 きっと レイさんやフィーさん トロワだって 同じだよ

 火が出せなくても 僕よりもずっと アルの事好きだと思うよ」


だから 不安に思うことなんてないんだよ


風が吹いて 紅葉の葉が揺れて ザワザワと音が出た

振り向いた僕は 闇の深さに恐怖を感じて ビクリと震えた

アルがそれを感じて 僕の肩を一度ぎゅっと抱いてから

地面からカンテラを持ち上げた ちょっと笑って


「帰るか?」

と声をかけてくれたから 頷く

手をつなぐ?っと片手を出してくれたけど両手がふさがれるのは

怖いから首を振ると そうか と頷く

こんな時の 頼りになるお兄さんみたいなアルも好きだ




何度も通った道のはずだけれど 

カンテラの光が届かないところは暗闇で

何があるかわからない

すり足で そっと歩く

へっぴり腰 というのはこれか? また新たな体験だ


「ハトはこんな世界に住んでいるのかな?」

ふと思いついて言うと


「ハトは凄いな」

アルがしみじみと言った 

僕は その意味を考えてから言う


「うん こんな世界に一人で住みながら

 自由になりたいって戦ってる」


「俺は戦わないで ただ不機嫌でいるばっかりだ」

「アルの戦わない優しさも僕は好きだよ」

「俺 なんでいつも不機嫌なんだろう?」

「悲しいんだよね アルは…アルも泣いていいんだよ」

「ヒデみたいにか」

「そう 僕みたいに」


二人で笑ってから また 黙った

ハトの話になったから 気になっていたことを聞いてみる


「ねえ アル ハトって能力 有るの?」

「ハトは 予言かな? けっこう当たるってトロワは言ってたな 雨が降るとかいう時は

 早めに帰るから雨に降られないとか 牧場の仕事にも役に立ってるってさ」


「ふーん 凄いなあ ハトの眼は未来が見えるんだね」


凄いなあ 未来予知能力!SFみたいだ 僕の未来も当ててほしい…

「使者さんが来るんでしょ? さようなら」

っと言われたことを思い出した 

あれは 僕の未来?

「ハトにさよなら って言われた」

ポツリと僕の口から洩れた言葉にアルが言った

「ああ 聞いてた」


「ハトの予言って当たるんだよね?」

「トロワは()()()()って言ってた」

「そうか」

「俺は 今回は外れると思う」

「うん そうだね」

「外れるさ」

「うん」




流れ星を見つけるには夜空全体を見るのがコツだそうです 「しぶんぎざ流星群」が新年早々に見られるそうですが 寒そうですね

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