閑話 月無の夜に悩むフィーさん
月無の夜は とにかく暗いのでさっさと寝るに限るのですが
今晩のフィーさんは 焚火のおきを見つめながら いろいろと
考えているようです
今日は 学校で 糸紡ぎや織物を教える日だから
家から荷物を背負って家を出た
紅葉の木の見えるところまで来ると 向うから 牧場のハルが走って来て
「学校へ行くんですよね 持ちますよ」
っと ハルが包をそのまま 背中に背負うように持ってくれた
「重いでしょ?悪いわね」
というと ハルは笑って
「ハトに比べたら 軽いですよ 暴れないし」
と言うので 驚いて
「ハトが暴れるの?」
と聞くと
「学校行きだしてから なんでも自分でって言いだして
背負った方が安全だし 早いのに 面倒なんですよね」
っと 愚痴をこぼすように言った
「そういえば ハルは今日は学校は行かないの?」
「ああ 月無だから牧場の仕事したくて
トロワが連れて行ってくれるって言うから
学校へハトは連れて行ってもらったけれど
帰りは迎えに行くんですよ
また 自分で とか言わないといいんですけどね」
「まあ ハルは偉いわね ハトだってわかってくれるといいのにね」
「ホントですよ まあ ちょっとした反抗期って言うんですかね」
っと ため息交じりに言うのが ちょっと面白い
でも ハルの気持ちもわかる
うちの アルやトロワだって なかなか素直には動いてくれないから…
小さく ため息をつく
*****
ハルとハトの兄弟げんかには驚いた
ハルはとてもハトの事を大切にして ケガをしないように 失敗しないように
やってあげてりうのに
ハトったら 自分からケガをしてもいいような事を言ってハルを困らせている
あれでは ハルが怒るのも無理はない
そう思っていたのに アルは
「過保護ってハトが嫌がってたんだ」
トロワは
「自由になりたいハトの邪魔をする権利はハルにはない
自由と過保護は反対語なんだと思うわ」
と言う
旅人のヒデは その言葉に頷いていた
私は父や母によく言われていた
「お前もレイも子供に甘すぎる
特にアルには もっと厳しくしないとダメだ」
その時は
「子供は守るもの アルはハンデがあるのだから
助けて当たり前よ」
と流していたけれど
本人がそれを望んでいないとしたら?
それに もう子供でもないのかもしれないわね
子供が成長するのは早いわね
****
学校で アルが荷物を持っているのを見かけた
私が持つわ っと言いかけて トロワに「過保護だと思うわ」と
言われたのを思い出してやめる
見回すと アルよりも小さい子も道具を運んだり 組み立てたりしている
私は過保護なのかしら?
*****
食事の時に 初めてスピンドルを見たというヒデから
「眠り姫」という ヒデの故郷のお話を聞いた
よくわからない不思議なお話だったけれど
ヒデの故郷のお話だから そういうものかしら?
レイもよくわからなかったみたいだけど
レイとヒデの故郷はきっと違うのね?
アルとトロワは
「危険を遠ざけたら もっと危険になる」
という教訓話だという
そうなのかしら?
そうかもしれないわね
私も王様と同じで きっとスピンドルを隠すもの
過保護 と 経験 と 自由 かあ。。。。
そうね
子供たちが 眠り姫にならないように
私も もう王様から 変わらなければならないのかしら?
月無の夜 考える時間は沢山あるわ
母の胸中




