18 既視感…このシーン見たことがあります
「よーし 休憩しようぜ ヒデ 外行こうぜ」
っと アルに誘われて外に出る
チビ達が群がってきて 手を引っ張るようにして鉄棒に連れていかれる
僕より大きいアルと 僕よりだいぶ小さいチビ達
チビ達が黒っぽい服を着ているから 黒い塊を連れているようにも
連れていかれているようにも見えて 面白くてクスクス笑うと
「ヒデはよく笑うね」
「ヒデはいつも笑う」
「ヒデ 笑うから好き」
「ヒデ かわいい」
チビ達がやっぱり笑いながら言う
そうかあ 僕 泣いてばっかりいたけれど よく笑うようになったんだね
嬉しいな って泣きたくなった …矛盾するね
そんな僕を見て アルも楽しそうに微笑む
「アル あれやって グルンっての」
「なに 見たい!」
せがまれたアルが高鉄棒に飛びついて グルングルンっと大きく回って 回転して下りる
おお!!っとチビ達と一緒に拍手して歓声をあげる
「やりたい!」
「教えて!」
っと 無謀な事を言いだす勇気のある もしくは 無謀なチビもいる
小さい子ってホントに面白いし 可愛いなあ
アルがチビを抱き上げて鉄棒に吊り下げる
この前 あっと言う間に落ちた僕が抱きとめようと近づくけれど チビ達は僕と違ってすぐに落ちたりはしない
凄いなあ~
ふと トロワとハトが居るのに気が付く
いつもは 教室で本を読んでいるけれど
今日は鉄棒をしたいハトにトロワが一緒に来たのかな?
ハトは鉄棒を握って 地面を一生懸命に蹴るけれど身体が上がらない
分るよ 僕と一緒だね
「アル! トロワとハトが…」
っと僕が声をかけるのと同時に 二人に気が付いてアルが声をかけた
「ハト、逆上がりできないの?」
「兄ちゃん そいう言い方は無いでしょ!」
っと トロワのとがった声がアルに向かう
アルは 確認しようと話しかけただけなのにね
アルが トロワの声に びくっと驚いてから
左手を顎先にあてて何かを思い出すような仕草をしながら言う
「ごめん ごめん できないなら教えてやろうと思っただけだって」
「兄ちゃん 言い方が悪いよ」
っと アルがトロワに再び叱られて もういちど「ごめん」と呟いている
ハトがアルがいるのを確かめるように アルの顔を見上げながら言う
「逆上がり私もしたいの」
アルがハトの手を取って 鉄棒を握らせて 言葉をかける
ハトが頷いて 鉄棒を握って 地面を蹴って… 落ちる前にアルがグルンとハトを回した
驚いた顔をしたハトを アルが抱えて鉄棒から下す
僕が落ちたときの反省をよく生かしていますね こんなところも実は凄いんですよアルは
黙ったまま目を見開いて 頬っぺたに両手をあてているハト
そのハトの顔を 左手で前髪を上げたアルが覗き込んで 何かを言っている
アルは 人の表情を確認したい時に 左側の前髪を掻き揚げる
今はハトが目が悪いのを承知しているから 自分の顔も確認させたくての事だろう
その後も ハトとアルは逆上がりの練習をしていたけれど
お昼の鐘が聞こえて チビ達もお迎えに連れられて
「さよなら」
「またえてね」
「バイバイ」
っと手を振りながら帰っていく
まだ 鉄棒にしがみついているハトにアルが
「もうちょっと 力がついたら一人でできるようになるから 沢山食べて
沢山運動しな 出来るようになるまで俺がおしえてやるからな」
っと約束している
「母さん! ハル!!」
っと トワレが言って手を振る方を見ると フィーさんと僕たちより少し大きい少年がこちらに向かって来ていた
「あ あれが ハトの兄ちゃんのハル …で 母さんは何しに来たんだ?
今日は先生の日か?」
アルが俺に言う
うん ハルの情報はありがとう でも フィーさんの事は僕に聞かれても知らないよ
多分 先生の日 なんだろうね トワレは驚いてないもの
まだ 鉄棒を離れないハトにハルが咎めるような声をかける
「ハト 帰るよ そんなことしていると危ないよ 鉄棒で両手がふさがるでしょ!」
ハトがそれを聞いて怒ったように言う
「だいじょうぶ」
「ほら!頭ぶつけるよ!!」
「いま ぶつければ つぎはぶつけなくなる」
「またぶつけるかもしれないでしょ」
「いいの ぶつけるからできるようになるの! 」
「失敗ばっかりしているくせに!」
ハルが無理やり ハトを鉄棒から引きはがそうとすると
ハトがさけんだ
「ハルのばか わたしのじゆうをとらないで」
「ハト 分かったから 僕を困らせるな!」
怒鳴るハルをフィーさんがだきかかえて引き離し 落ち着かせるように離れたところに連れて行った
兄弟げんかに 気まずい雰囲気がたちこめる
アルは茫然として いるし
トロワはしょうがないなあっという顔でハルとフィーさんの方を見ている
僕は 杖を探すハトに 少し考えてから杖を拾って「ハト」と声をかけて渡す
「ヒデ?」
と確認して 杖を受け取り もう一方の手で僕の手を握る
そして
「ありがとう ヒデ 使者さんが来るんでしょ? さようならだね」
と言って微笑んだ
「え?」
っと聞き返そうとした時
「ハト ごめん 悪かった」
っとハルがやってきて ハトの頭を軽くなでて 手をつなぐ
「わたしも ごめんなさい」
と ハトも言って頭を下げる
そして ハルは空いている方の手をハトは杖を握った手を僕たちに向かって振ると行ってしまった
もう仲直りできたってことかな?っと僕は安心した
寒いですね ご自愛ください




