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16 黄色い月の夜にレイさんと話をしました

黄色い月が出ている


故郷の絵本でみたような まん丸の黄色い月

ウサギは見えないけれど

かぐや姫が住んでいそう

月に帰るかぐや姫って 

どんな気持ちだったんだろう?


記憶をひっくり返したのは僕自身

小さい 小さい 希望や祈りや望みが叶わないことに怒って

いる姿はアルに重なる

でも僕は 仕方がないと心の一番下に押し込んでいた

ハザマハーラに来て

感情が溢れて その心を整理するためにここで 道草を

使者は提案したのだろう

(提案というか 決定事項だったけどさ)


道草しながら アルと会って 友達になって

願いが叶って 記憶や気持ちが整理できた


僕は旅を続けるべきなんだろうな

ずっと 道草していたいけど

ハーラへ行かないとね


アルは もう大丈夫

自分で気が付いたようだから

自分の方から世界に近づいていけると思う


アルを不安にさせている問題はまだあるけど

アルにはどうしようもないから

どうしたらいいかなあ

僕に時間はどのくらいあるんだろう?

あと一日? 

それとも十日?


使者が去る前に会っておけばよかったなあ

無口すぎるでしょ あの使者

ホントに俺の父さんみたいだよ


父さん…かあ

アルの父さん レイさんと話をしてみよう

同じ旅人どうし 分かってくれる……っと信じて


****


「レイさん レイさんは旅人としてハザマハーラに来たって本当ですか?」

アルの部屋へ行く前に レイさんに声をかける


「どうしてそれを? まあ 隠してはいないけれど アルに聞いたな?」

少し驚きながらも 明るく答えてくれた


「旅人だったレイさんなら 分かってくれると思って話をしたいんですけど」

まじめな顔で言うと テラスに誘ってくれた


 テラスにある椅子に並んで座る 月に照らされた広場にアルの火が見える


「旅人は ほかの世界ではもう命が尽きた人ですよね」

レイさんが頷く


「僕は 故郷で足りなかった何かを補うために 旅人はここに来るのでは無いかとおもっています」


レイさんがちょっと困ったような顔で言う

「悪いが ヒデ それは 本当に俺にはわからないんだ

 俺は故郷のことは ほとんど思い出せないし 旅先の事も覚えていない 覚えていないからこそ ここに戻れたんだと思う」


そうか 旅人といっても それぞれ違うんだな と僕は思い

レイさんへの伝え方を考え直す


「故郷での僕は あなたよりも長く生きて死にましたが その間 僕の体は とても使いにくい不便な身体でしたよ アル以上にね 」

 

「アルの眼については 申し訳なく思っている」

少し 怒ったような でも 抑えた声で言う


「僕は謝られたくなかった」

レイさんが驚いたように僕を見る


「謝られるほど 僕もアルもひどい事を親にされたんですか?

 謝られるほどに 僕はかわいそうな子なんですか?

 謝らせないためには 僕はどうしたらよかったんですか?」

自分でも思いがけない言葉が口から飛び出した 



何も言わないレイさんに言う

「もう アルに謝らないでください」

アルのすばらしさをキチンと見つめて 認めたら 謝る必要

なんてないでしょ?



生意気だと思われただろうか?

それとも

実は自分より()()()ヒデの言うことだと

受け入れてくれただろうか?



「ねえ レイさん

 もしも 明日 アルそっくりの でも両目がある少年を使者が連れてきて 

 取り替えてあげよう  と言ったら取り替えますか?


 しかも その子は火ももちろん作れます

 アルの様に 時間がかけることなく パンと手たたけば火が出せて

 あなた方がひけめに感じるような障碍がない少年です


 どうしますか?」


考えることなくレイさんは言った

「私は 私も妻も アルがアルだから愛しているんだ


 片目がなくても 私たちにとっては綺麗な顔だ!

 少し ぶっきらぼうだけど 優しい子だ 私たちを責めたことも無い


 あの子の火は 私たちと一緒に努力して生み出せるようになったんだ

 少し時間はかかるかもしれない でも 明るくて 綺麗で 暖かい

 アルにしか作れない火なんだ


 いや…火なんて作れなくたっていいんだ

 アルがアルでいれば それでいい

 

 アル以外はいらない アルが必要なんだ!!!」


最後の言葉と重なるように 

頭上で ガラリと窓を開ける音がした


この真上はアルの部屋だ 

アルが火を確認しようと窓を開けたのだろう


この言葉が聞こえていればいいのに と思うけれど 

それは無理だろう


「アルに その言葉を伝えてあげてください

 お願いします」


そうしたら アルはどんなに安心するだろう そう思いながら

僕はレイさんに頭を下げた



***

そのまま アルの部屋へ行った

思った通り アルは部屋の窓から外を見ていた


「黄色い月の夜は何をするの?」

アルに言効くと

「仕事とか 勉強? 明日は月無で夜あまり動けないから 今日やっちゃおうって夜かな」


そう教えてくれたから 予定通り ソロバンの特訓をすることにした

眉を寄せて ソロバンをはじくアルに心の中で


「ねえ アル 君の両親はさ 君以外はいらないってさ  今の君が好きだってさ よかったねアル」


っと伝えた





ちょこちょこ 投稿済みの話も手直ししています

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