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15青い月の夜にいろいろ考えました

がんばれヒデ

アルの心に届かせなくちゃ!と思いながら続ける


「僕も 同じだったよ 

 杖を突いている姿を見られるのも

 手を差し出されるのも 煩わしかった

 あっちへ行けって思った 

 いたわってもらうのが嫌だった 

 嫌な子だったよね

 手を差し伸べてくれた人を傷つけたと思う


 自由な身体になったから 相手の気持ちが分かる

 あれは優しさであって哀れみではなかった

 もちろん さげすみなんかじゃないんだって 

 僕の方が勝手な解釈をしていたんだなあって

 今 あの時の僕に会えたら しかってやりたいよ

 自分勝手な解釈 ひとりよがりで人を傷つけるなって」



少し早口になったけれど 通じただろうか?

通じなかったら 僕までアルの壁に跳ね返されてしまう

言わなければ 良かったんだろうか

もう 友達って言ってくれなくなるのかな

でも もうちょっと がんばれ 僕 

アルの火 僕とアルを助けて


「ねえ アル 僕は長い間 家の中でだけ暮らしていた

 だって歩けないんだよ  アインくらいからもうちょと

 大きくなったころには 一人で立っていることが出来な

 かったんだからね 誰かが来てくれないと人に会うこと

 さえないって事なんだよ そんな狭い世界にいるのに

 せっかく差し出された手を拒んだりして 自分の思いで

 世界をもっと狭くしてしまった事を今とても後悔してい 

 るんだ

 君は 自分の思いで世界を狭める事はしないでほしい 

 こんな素敵な 世界に住んでいることに気が付いてほしい 

 自分の幸せに気付いてほしい」


故郷での自分に少し悲しくなって涙が出る でも 

その悲しい自分がアルの糧になってほしいと願いを

込める


アルが一人でいるのが楽しいなら 壁の中にいるのを

望んでいて 幸せなら それはそれでいいと思う

でも 僕といて楽しいと思ってくれているなら

それは 人と居たいってことでしょ?


僕は人に近づくことが難しかったけれど

アルはできるんだよ

手を伸ばせばいいんだよ


アル アル 僕には君を助けられないの?


涙が出てきた 自分の力の無さに どうしようもなくて

泣くしかない自分が情けなくて 誤魔化すように


「なんだか 眠くなっちゃった 泣きすぎたかなあ」

っと できるだけ 呑気に聞こえるように言って

アルの部屋を出た

ケンカにはならなかったのか それとも 

僕の手は届かな過ぎて ケンカ()()ならなかったのか


部屋に戻る

右目を閉じて その上から右手で覆う

少しでもアルの気持ちを分かりたくて

寄り添いたくて…

左目だけで月光で照らされる部屋の中を見回す


月の光は 今の僕にはちょっと冷たすぎるから

昨日と同じように 月の光を避けて布団を敷く

せっかく 月の奇麗な夜なのに勿体無いね




”腑に落ちる”とか”目から鱗が落ちる”という

言い方が実際に分かる瞬間がある

それは 勉強でもあるし 生活でもある

ストンっと ポロっと理解して 世界が変わる

あの逆上がりみたいにね

助けてくれたのはアインだったけどあのくらいの

力で アルの心をグルンとまわして

眼から鱗を振り落として 違う考えを腑に落として

やりたい

僕では力不足かなあ

ふう っと溜息をついて ちょっと悲しくなって

泣き寝入り…何年振りだ?…してしまった



****



朝 ぼーっとした雰囲気のアルと顏を合わす

寝不足気味の僕を見て 

アルが何か言いたげだったから


「ちょっと 月に見とれて寝不足」

と言っておいた 泣き寝入りなんて言えないよ



トロワは昨日と同じように先に行ってしまった


なんとなく気まずくて 黙ったまま坂道を下りる

広場で灯ろうを確認したアルが 僕の方を向いて

「俺 世界を広げる」

と言った


すごく嬉しい 僕の心が言葉がちゃんと届いた

うわ 嬉しくて涙がでそう

言葉がでなくて 黙ったまま学校へ向かう


相変わらず 鉄棒の所にはチビ達が群がっているけど

今日は教室で過ごす

アルは いい意味でも集中力があるからソロバンを

まじめにやったら凄く上達すると思うんだ

ここでもソロバンはよく使われているみたいだから

きっと役に立つと思うんだ


「アル ソロバンは誰が一番早いの?」

っと聞いたら ちょっと考えて

「うーん 誰がソロバンできるのかなあ…

 あっ これもそうか 俺の世界が狭いからわからないんだ」

っと後半は独り言のように呟いた



ふたりでソロバンをやっていると 同級生の二人が声をかけてきた

「私たちにも教えてくれますか」

「もちろん どのくらい分かりますか?」

「初めてです」

「じゃあ このサイズが使いやすいですね…」

ソロバンを選びながらチラリとアルの方を見ると

アルは黒板の方を見ていた

この二人の名前を確認しているのかな?

さっそく 学校の友達のことを知ろうとしている

さっそく 世界を深めようとしている

流石 僕のアルだ

嬉しい 嬉しい 嬉しい ドキドキする


得意な事は多い方がいい

アルの能力は素晴らしいし 人の役に立つけれど

()()()()()できない

でも ソロバンなら人に教えることで

アルの世界を広げることに通じる


僕は30年 ソロバンをはじいてきたんだから

アルさん も ()()()()()()()()

お持ちのようだし 短期集中特訓!!

頑張りましょうか


弟たちにも教えたっけなあ。。。。っと 

思い出したのは 楽しい思い出だった

評価いただけると嬉しいです

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