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9.赤い月の夜にアルが来てくれました

日本は寒くなってきました。 ハザマハーラは基本 常春です

 夜 窓から月を見上げると 本当に赤かった

 赤い満月 オレンジぽい赤 不思議な空と月だ

 昨日の銀に輝く月と同じ月なのか?

 それとも違う月なのか?

 故郷とは違う世界にいるのだと実感する


 それから 今日の学校の事を考える

 自分の行っている学校なのに

 詳しい事はトロワに聞いてほしいと言ったり

 居心地がよさそうには見えなかった

 でも 

 ツバイも他の子供たちもアルを嫌がっている

 様には見えなかった

 むしろアルの方が勝手に壁を作っているようだった


 それでも アルが学校へ行ったのは 僕が喜ぶと思ったからだろうなあ


 アルは 僕だから でなくても人の事を考えられるように見えるのに

 なんで壁が?

 。。。違うなあ 人の事を考えすぎちゃうから 自分から壁を作って

 いるんだ 何故かなあ?


 ちっちゃい子とは仲良くやっていたから 何か 壁が出来るような事が

 あったのかな?

 アルの事 もっと知りたいな


 ***


 アルの事を考えながら 月を見ていたら アルが僕の部屋に来てくれた

 赤い月が不思議だと言ったら 不思議がっていることを不思議がられた

 当たり前って 人や場所や時代。。。。によって違うんだよな


「それよりさあ ヒデ 牧草地で 超能力見たいって言ってただろ?

 見せてやろうかと思って来たんだ 喜べ!」

 突然言われて驚いた!

「え!! うん 喜ぶ 喜ぶ  ありがとう 誰か頼んでくれたの?」

「いやいや この部屋で オレサマが見せてやるから 窓閉めて こっち来て」


 アルが窓遠い机の上に何かをおいて呼ぶから 窓を閉めて 机の方に行くと

 はい!っと ロウソクを渡された


「これ 横にして持って 灯が付いたら ここに立てるんだぜ」

 アルはロウソク立てを僕の方に押しやって ロウソクの先を両手で包むようにする


 え?アルが超能力者なの?

 ごく普通のオトコノコってアルが?

 驚きながら言う通りに ロウソクを斜めにして アルの手の中を見つめる


 アルが両手に集中しているのが分かる 


 アルの手は 僕の手よりもちょっと大きくて ちょっとゴツゴツしている

 木登りしたり 鉄棒したり この年頃の少年にはありがちな手 

 だけど 他にも手のひらに 大小さまざまな傷がついている

 なんの傷なんだろうか?


 

 ボっと小さな音がして ロウソクの先に火が灯った


「わあ~!!!すごい すごく きれいな火」

 思わず 歓声を上げてしまったけれど 同時に気が付いた

 あの アルの手の傷は 火傷(やけど)だ 

 大小さまざまな火傷は もう跡になっているけれど

 この火を生み出すためにした アルの努力のアト だ

 そう思うと

 このアルの灯が 美しくて 尊くて 

 アルがどれだけの痛みをもってこの火を生み出したのかと

 思うと 僕の胸まで チリチリと傷んで

 色々な感情が混じって 涙が沸き上がってきた


 でも 今泣くのは アル失礼な気がして 

 口の両端を無理やり 引き上げた

 でも それもアルに嘘をついているような気もして。。。


 素直に この火に見とれること を選択した




「俺がつけた火は 一度ついたらこのロウソクの上にいる限り消えない 

 あ 消そうとして水でも ぶっかけられたら消えちゃうけどね」


 アルが自慢げに言う


「ヒデさあ あの広場に 灯ろうがあったの気づいてた?」


 今日 通った広場に灯ろう なんてあっただろうか?

 思い当たらなくて 首をかしげる



「広場に灯ろうがあってさ そこから必要な火を取れるようにしてるんだ

 生活に火って必要だろ?月無の夜なら明かりとして必要だし

 月が明るくても煮炊きに火は必要だろ

 大体の家では火を絶やさないようにしたり

 自分で火をおこしたり 俺みたいな能力者が火をつけたりもできるんだけど

 あの灯ろうから火をもらっていく家もあるんだ だから あの灯ろうの火を絶やさないのは 

 (おさ)の家の役目 俺が火を扱えるようになってからは俺の役目になってる」


 アルの努力はしっかり報われている 集落の人たちの役に立っている

 そう アル自身に言われて 嬉しくなる 

人から必要にされる喜びは ある意味宝だと僕自身もよく知っているから

 アルがその宝物 を持っていることが嬉しくなる


 安易に アルの痛みだけに同情するのは間違いだったと 今度は安堵の

 涙が沸き上がって来る 


 泣きすぎ注意報。。。




他にも書いてみてます 見ていただければ嬉しいです

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