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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

苗床

作者: リール

その巨大サソリは、食事を中断し、自身の前に立つ1人の女を確認した。


分厚い鎧を身にまとい、大型の鋼鉄のハンマーを手にしている女だ。こいつの考えていることは分からないが、ずいぶんと自信に満ち溢れた表情を浮かべている。


サソリは、自身の尻尾の先端と両方のハサミを女に突き付け、威嚇のポーズを取った。この女は敵だ。自分を殺して食糧にでもするつもりだろう。所詮人間も常に何かを食っていないと生きていけない動物なのだ。


女は何かを喋り、サソリに向かって疾走した。


そしてあっという間にサソリに接近し、手にしたハンマーを力強く振り下ろす。


この時の女は、ハンマーがサソリの外殻を打ち砕き、余裕の勝利をおさめることが出来るとでも思っていたのだろう。この女は日頃から鍛練を積んでいて、誰よりも屈強で力強い肉体を備えていると自負しているのだから。


力自慢の自分が放つ一撃。これを耐えられるはずがない。そう信じ混んでいたに違いない。


だが、ハンマーの一撃を受けたサソリは、死亡することはおろか平然と威嚇のポーズをとり続けていた。


その代わりに、ハンマーが急激に錆びてしまい、その場にボロボロと崩れ落ちたのだ。


女は目を見開き、その場で固まってしまった。何が起きたのか理解出来ていない様子だ。


女は知らないようだが、このサソリの体には常に猛毒が分泌されている。これに少しでも触れた鉄製の物体は瞬く間に錆びてしまうのだ。


女は意識を取り戻すと、サソリに再度接近し、今度は右足で踏みつけてきた。


破壊出来るとでも思ったのか。このサソリの外殻は極めて固く、鍛えてようがそうでなかろうが、人間ごときの力では破壊することは不可能だ。


サソリはしびれを切らせ、女の足に毒針を突き刺した。


すると、女は甲高い悲鳴をあげて仰向けに転倒し動かなくなった。


このサソリの毒は即効性で、注入された瞬間全身に回り、指一本動かせなくなるほどの麻痺と激痛をもたらす。


そのショックで死ぬことはまれにあるが、この毒自体には致死性はない。ただ動けなくなるだけだ。


全ての生物にとって死は救済なのだ。エサ、もしくは外敵に救済を与えるなど不条理なことである。


それに、死体よりも生きた個体のほうが新鮮なのだ。


サソリはうつ伏せになって苦しむ女に近づくと、片方のハサミを見開いた女の左目に入れた。


そして、その目玉に付いている謎の管をぶちぶちと力任せに引きちぎり、口に運んだ。


生きた人間の目玉は入手が困難だが、栄養が豊富で柔らかい上に可食部が多い。


エサが少ない生息地で生活をするサソリにとってはありがたい栄養だ。


ついで、もう片方の目玉も食べ尽くすと、女の鎧を破壊し、衣服を破り、その下半身の穴に自身の尻尾をねじ込んだ。


毒を注入された時点で、いや、このサソリに戦いを挑んだ時点で既に敗北が決まっていたことを理解し、逃げればよかったのだ。


自分は所詮人間だということを理解しなかった。身のほどをわきまえずにサソリに挑んだことが間違いだったのだ。


サソリは、その尻尾の先端から生命の種を注ぎ込む。


すると、女の腹が途端に膨れ上がり、同時に腹部がボコボコと蠢き始めた。


しばらくはその動きが続いたが、やがて、女の下半身の穴から、粘液にまみれた多数のサソリの幼体が飛び出してきた。


サソリって本当にかっこいいですよね。あのフォルム大好きです

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