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地図と拳

翌朝、起きるとユアとササリアがもう既に起きていた。


2人はディスプレイの前で何事かを話し合っている。


「おはよ~」


少し寝ぼけた頭で2人に挨拶する。


「ソウシロウさん、おはようございます」


「おはようございます」


ササリアとユアは総士郎に挨拶を返す。


「何やってるんだ?」


総士郎はそう言いながらディスプレイを覗き込む。


ディスプレイには少し歪な感じの円と楕円が多数、またそれらを繋ぐ多くの線が映っている。


「ユアさんにこの地下迷宮ダンジョンの地図を見せて頂いていたんです。私の持っている地図は最短距離で次の階に進む部分以外は描かれていない場所が多いので」


「ここで見られるのは地下4階の半分程までですが、完全な地図を見られますから」


ササリアとユアが答えてくれた。


「えっと、ソウシロウさん、紙を持っていませんか?地図を書き写したいんですが、私は紙を持って来ていなくて」


ササリアが少し遠慮がちに言う。


「あるぞ、大きいのと小さいのがあるけどどっちにする?」


総士郎はそう言いながら絨毯の上のリュックサックの口を開く。


「大きな紙があるならそちらでお願いします」


「わかった」


そう言って、A4サイズ程のサイズの羊皮紙を4枚と羽ペン、インク壺の入った小さな革袋、それからクリップボード代わりの木の板をリュックサックから取り出す。


小さな革袋の中身を確認する。


インク壺はコルクの蓋でしっかりと栓をしてある。そのため、インク漏れはしていないようだった。


「はい。4階までらしいからとりあえず紙4枚とペンとインクと板。インクはこぼさないように気を付けてな」


木の板の上に紙、ペン、インクを乗せてササリアに渡した。


「ありがとうございます」


道具一式を受け取ったササリアは早速、地図を書き写す準備を始めた。




「ユアの方は準備はいいのか?朝飯を食べたらここを発つことになるけど」


総士郎は首の後ろからケーブルを離したユアに聞いた。


「はい。マテリアもほんの少しですが回収できました。残念ながら、消されていたログと通信記録の復旧はできませんでしたが」


「そうか。それで、このまま下の階に進む方針でいいのか?5階、9階でも記録が消されている可能性もあると思うが」


少し聞きにくいことだがこれからのことを決めるために聞かなければならないことを聞く。


「そうですね。その可能性はあります。でも、リモートが切られているので、もしかしたら記録が残っている可能性もあります。それに、どちらにしてもマテリアの回収は行わなければいけないので下の階に進む方向でお願いします」


「わかった。予定通り下へ進むことにしよう」


ユアの答えを聞き、総士郎は予定通り地下迷宮をこのまま進むことを再度確認した。




「ハーッ!」


ササリアのバックラーによる体当たりを受けたアイアン・スケルトンは体制を崩し後退する。


「せいっ!」


「やっ!」


そこに右からリナが斬りかかり、左からユアが槍を突き入れる。


リナのマンボウソードは盾での守りが崩れたアイアン・スケルトンの両足を根本から切断する。


そして、ユアの槍もアイアン・スケルトンの喉の部分を正確に貫いた。


地下2階の祝福の泉の次の部屋にいるアイアン・スケルトン2体は、1体は総士郎の魔法で、もう1体はササリア、リナ、ユアによる連携攻撃により僅かな時間で鉄の素材へと変わった。


「当たったんだけど、銃はほとんど効果がなかったみたいだ」


セスタは残念そうに言う。


セスタの使う銃はアイアン・スケルトンの盾を貫き、胴に当たったようだがあまり効果はなかったようだった。


「銃がスケルトンとか無生物系統には効きにくいのはセオリーだからなぁ」


総士郎は生前の地球でプレイした辛口RPGゲームを思い出していた。


「そうなのか?元々穴だらけだからかなぁ?」


セスタはそう言いながら銃身の掃除を始めた。


「ソウシロウ。絨毯をもっとこっちに持ってきてください。スケルトンの残骸を絨毯に積みますから」


「わかった」


ユアに呼ばれ、総士郎は絨毯を引き連れてスケルトンの残骸のところまで移動する。


「このメンバーだとアイアン・スケルトン2体程度では相手にならないわね」


リナがスケルトンの残骸を絨毯に乗せながら言う。


「ユアも動きが良くなったような気がするわ。私と同じタイミングで槍を突き入れてこられるなんて」


リナは続けた。


「ありがとうございます。祝福の泉で少しですが体調を回復させることができましたので、これからはお役に立てると思います」


ここまで魔物との戦闘では活躍できてなかったユアがリナに言う。


「それはありがたいわね。この先は魔物も少し強くなるし期待してるわ」


そう言ってリナは拳をリナの方に向けた。


そこにユアは軽く拳をぶつける。


かっこいい。


男なら憧れる友情を確認する行為、フィスト・バンプだ。


「俺も、俺も」


総士郎も拳を突き出す。


「しょうがないわね」


「しょうがないですね」


リナとユアはやれやれという感じでゆるーく、総士郎の拳に拳を合わせた。


・・・


「なんか雑じゃない?」


総士郎は不満そうに言う。


「なにをしているんですか?」


「なにしてんだ?」


そこにスケルトンの残骸を持ったササリアとセスタもやってきた。


「ササリア」


リナはササリアの方に拳を軽く突き出す。


「はい、リナさん」


その拳にササリアは自分の拳を軽くぶつける。


「セスタさん」


それを見たユアはセスタの方に拳を突き出す。


「はいよ」


セスタもユアと拳を軽くぶつける。


・・・


「ササリア、セスタ」


総士郎も拳を突き出す。


「はい、ソウシロウさん」


「はいよ」


ササリアとセスタはコツンッと総士郎の拳に拳を合わせた。


「ササリアとセスタはいい子だなぁ」


総士郎はしみじみ言う。


「もう、冗談じゃない」


出されたままの拳にリナが強めに拳を合わせる。


「ソウシロウはけっこう細かいこと気にするんですね」


ユアも少し強めに拳を当てた。


「ああ、そういうことですね。はい、セスタさん」


「ほい」


ササリアとセスタでも拳を軽くぶつけ合う。


その後、暫くの間、5人で拳をぶつけ合うのだった。



ブックマーク、♥、コメント、感想をおねがいします。

いや、ホント、マジでお願いしますm(_ _)m

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