表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
42/47

銃とデモンストレーション

翌日の昼前、街を囲む城塞の外、2日前に銃のデモンストレーションをしたのと同じ場所に、今度はリカード、カインの警備隊の中隊長にリナの部下のリリアナ、それにロウダンが来ていた。


それ以外にはササリア、リナ、ユアに総士郎、そして、少し離れた位置にセスタが立っている。


そして、何事が始まるのかとこちらを見ている野次馬が少しいた。


「ある程度は聞いていると思うが、今日は私が開発中の新しい武器の性能を見てもらいたいと思う」


総士郎は改まった場なので一人称は「私」で説明を始めた。


「ここに警備隊でも使っている盾を2枚用意してある。その上に、この的を置いて、あそこにいるセスタに撃ち抜いてもらう。新しい武器、銃の威力をその目で見てくれ」


総士郎はそう言って警備隊が主に訓練で使う鉄製の盾が2枚重ねられた上に1メートル四方の木の板の的を置いた。


木の板には前と同じように3重に円が書かれている。


「セスタ!やってくれ!」


総士郎は的から離れると、的から30メートル程のところにいるセスタに声を掛ける。


セスタはゆっくりと的に狙いをつける。


引き金を引く。


パンッ


炸裂音


的の1番内側の円の中央よりやや右に穴があく。


「このように遠距離から目標に穴をあけるのがこの新しい武器、銃の特徴だ」


総士郎は木の的をどかし、その下に置いてあった鉄製の盾を見せた。


重ねられていた鉄製の盾の両方に直径2センチ程の穴があいていた。


「おおっ」


リカードが野太い声で驚きを示した。


カインやリリアナも驚いているようだ。


「次の位置に移動してくれ!」


その様子に満足しながらセスタに50メートルの位置に移動するように指示をだした。


この距離が弓、投槍、魔法でのだいたいの最大射程距離になる。


セスタは小走りで移動する。


その間に総士郎は的と鉄製の盾を元の位置にセットした。


「次!撃ってくれ!」


総士郎は的から離れ合図する。


パンッ


今度は的の1番内側の円のちょうど上に穴があく。


木の的をどかすと鉄製の盾には穴が増えていた。


50メートルの距離からの射撃だが、銃の弾は2枚の盾を貫通している。


「銃は、この距離でも盾を2枚貫通できる威力を持っている」


穴の増えた盾を見えやすいように掲げた。


「最後の位置に移動してくれ!」


総士郎はセスタに声を掛けた。


100メートルの距離にセスタに移動してもらい、その間に盾と的をセットする。


弓、投槍、魔法では射程距離の外となる距離だ。


総士郎は的から離れる。


「撃ってくれ!」


総士郎はそう言って手を上げた。


遠くに聞こえる炸裂音


それとともに的に新たな穴があく。


的の中央から2番目の円の少し内側に穴はあいていた。


セスタはこの日の午前中に練習しただけでかなりの射撃の腕を身に着けたようだ。


そして、銃の弾は2枚の盾を貫通している。


火薬の配合と製法、量を調整したために前に試した時より威力が増しているのだ。


銃の性能は威力だけなら総士郎が目指している性能にかなり近づいていた。


「このように、これだけの距離があっても盾2枚を貫通するだけの力がある。これを完成させて量産し、ワイバーンや魔物の討伐に使ってもらおうと思っている。ぜひ、警備隊には協力して欲しい」


そう言って総士郎は頭を下げた。




「すごいですね。銃というのは」


警備隊やロウダン、見物人に一通り説明を終え、一息ついているとユアが話しかけてきた。


リナ、リカード、カインの中隊長は少し離れた場所で集まって話をしている。


セスタもロウダンと何事かを話しているようだ。


「火薬は知っていましたが、それを鉛弾を打ち出すのに使うとは」


ユアは火薬は知っていたが銃は知らなかったようだ。


「これ程簡単な仕組みで100メートルの射程にあの威力。革命が起こりますね」


「それ程簡単な仕組みでもないんだけどな」


総士郎がいた元の世界、地球では火薬が発明されたのは6世紀か7世紀、ヨーロッパに伝わったのが13世紀あたりとされている。


そして、初期の火縄銃、マッチロック式と呼ばれる銃が普及し始めたのは15世紀だ。


さらに総士郎の作った銃はライフリングとドングリ型の弾丸、それに火薬にも粒状の加工(コーニング)が採用されている。


それらの仕組みにより「威力だけ」なら地球の小銃ライフルとそこまで大きな差はない銃が出来上がっていた。


しかし、本来それらの発明や改良には、多くの時間と人々の労力が必要なはずである。


それを総士郎は地球から持ってきた知識でショートカット(チート)したのだ。


「しかし、魔族、龍族ドラゴンニュート獣人ビーストの力を人族が上回るのは確実です。もしかしたら巨人の民の力も上回るかもしれません」


「龍族に獣人?そんなのがいるのか?」


総士郎はユアの言葉に反応した。


「その割には変なことを知らなかったりするのですね」


ユアはジト目で総士郎を見ていた。


総士郎は目をそらす。


「まぁいいです。でも、これであなたが人族の勇者というのは確実です。なぜ、それを隠しているのかはわかりませんが」


ユアは総士郎にだけ聞こえるように言う。


「大丈夫です。約束通り今後10年間は敵対的な行動は取りません。巨人の民の仲間にもこのことは伏せておきます。10年という短い間だけですが」


そう言ってユアは離れていった。




「ソウシロウ、親父の許可が取れたぞ」


ユアと入れ替わりでセスタが総士郎の元にやってきた。


「銃を使えることを見せたからな。少し渋ってたが説得できた」


セスタが昨日した提案は「ロウダンに自分が銃を使える事を見せること」だった。


それを元にロウダンを説得するつもりだったらしい。


そして、それは上手くいったようだ。


総士郎も今日の昼に警備隊の中隊長達に銃のデモンストレーションをしようと思っていたので、その砲手としてセスタには手伝ってもらい、ロウダンもその場に呼ぶことにしたのだ。


そのために午前のうちにセスタには銃の練習兼試し撃ちを幾度となくしてもらった。


その結果、セスタの射撃の腕は100メートルで問題なく的に当たるようになり、火薬も先日のものより威力が出る試作品の火薬が選び出されていた。


「そうか、なら明日出発だからな。必要なものを準備してくれ。わからないことがあったらササリアかリナに聞くといい」


「わかった。ありがとな」


そう言うとセスタはササリアとリナの方へと戻っていった。



ブックマーク、♥、コメントをおねがいします。

いや、ホント、マジでお願いしますm(_ _)m

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ