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祝福の泉と魔道具

「そうです!祝福の泉!この街の近くに祝福の泉があるはずです!そこへ行けばネットワークが使えます。そこなら真実がわかります」


ユアが何か思いついたのか、声に喜色をこめて言った。


「ネットワーク、ですか?」


「他の仲間に連絡が取れるっていうことだな」


首を傾げるササリアに総士郎が説明する。


「置いていかれたなら無駄じゃないかしら」


リナが言った。


「まだ置いていかれたとは決まっていません!そちらの情報が、嘘や誤りの可能性もあります」


「なによそれ?ササリアを疑うの?それを言うならあなたが巨人の民である証拠もないわよ」


ユアの必死の言葉にリナが食って掛かった。


「そ、そうかも、しれません。ですが、試練の塔の祝福の泉まで行けば巨人の民の記録や通信のログも見られます。私のシステムの損傷も回復できる可能性もあります。私が巨人の民であることも証明できるはずです」


ユアは必死の表情で訴えた。


「試練の塔?祝福の泉があるのは地下の迷宮だが、塔もあるのか?」


しかし、この街のすぐ西には祝福の泉という特殊な施設が存在する迷宮があるが、それは塔ではなく地下へと続く迷宮だ。


「この街のすぐ西に50階建ての塔が建っているはずですが、もしかしてないのですか?」


総士郎の疑問にユアは不安そうに答える。


「地下へ続く迷宮ならあるし、そこに祝福の泉と呼ばれる、水、紅茶、緑のエナジードリンクが出る施設はあるな」


「その迷宮は地下何階までありますか?」


ユアが問う。


地下何階まであるのだろう?総士郎は知らない。


「地下10階まであるそうです。そのうちの地下2階、地下5階、地下9階に祝福の泉があります」


すると、ササリアがそれに答えた。


「地上部分は資源として使ってしまったみたいですね、、、」


ユアは少しの間、考える素振りをする。


「その祝福の泉の部屋の扉は金属で、その入口には手をかざすパネルはありますよね?」


「はい、部屋の扉は金属ですし、それを開けるために手をかざす板があります」


「わかりました、それならなんとかなりそうです。その地下迷宮に行って事実を調べ、証拠を取ってきます」


ササリアの返答にユアは今すぐにでも出発しそうな勢いで言った。


「でも、地下迷宮には魔物が出るわ。一人で挑むのはどんなに強くても無謀ね」


その様子にリナが言う。


「そうでした。地下部分には魔物が出るのでした。今は私もセーフモードですし、エネルギー残量も心もとないです。それに装備もありません。突破できる可能性はほとんどないですね、、、」


その言葉にユアはベッドへと座り直ししばしの間、考え込む。


・・・


「協力を要請します。あなた方3人に祝福の泉までのガイドと護衛をお願いしたいです」


暫くの間、考え込んでいたユアは唐突に、こんな発言をした。




「協力って私達に地下迷宮に行くのに付き合えってこと?」


リナが呆れたように言う。


「そうです。見たところ3人ともかなり腕の立つ人物のようです。それにそちらの魔法使いがいれば私のエネルギーを回復することができます。地下9階の祝福の泉まで到達できる可能性は高いはずです」


ユアは自信満々に続ける。


「もちろんタダでとは言いません。何かしらの見返りを用意します」


「何かしらの見返り?」


リナはそう言いながら、胡散臭そうなものを見る目でユアを見ていた。


しかし、ユアは気にしてないように続ける。


「そうですね。赤の魔石を消費するだけで魔法の使えない人間にも魔法を発動できる道具とかどうでしょう?魔道具マギカと呼ばれる巨人の民にとっても価値のあるものです。対価としては十分だと思いますが」


「そんなことができるの?」


「はい、可能です。祝福の泉にさえ行くことができればですが」


リナの疑いの眼差しにもユアは自信があるように答えた。


「教会の持つ「鉄の冷却箱」のようなものでしょうか?魔石カーバンクルを消費して金属の箱の中に氷の魔法を発動させ、箱の中身を冷却できる「鉄の冷却箱」と呼ばれる特殊な道具が教会にありますね。その仕組みなどは不明で誰が作ったのかもわかっていないはずです」


ササリアによると教会にはそれに近い道具があると言う。


「それも我々、巨人の民が作ったものの可能性が高いですね」


ユアはそれを聞いて言った。


「本当かしら?何一つ信用できる証拠がないのだけれど」


リナは訝しげに言う。


「うーん」


総士郎は首を傾げる。


先程までの様子を見る限りユアが普通の人間ではないことはほぼ確実だろう。


「ネットワーク」という言葉を自然に使うところからすると総士郎の生きていた世界と同等の文明、もしかしたらその遥か先の文明の住人の可能性もある。


その文明なら魔法を魔石から直接生み出す道具も実用化されているかもしれない。


「その魔法の道具は冷却、氷の魔法しか使えないのか?」


総士郎は質問した。


「そんなことはありませんよ。あなたが祝福の泉まで付いてきてくだされば。あなたの使える魔法を込めることでその魔法の効果と同じ効果を発動する魔道具が作れるはずです」


「俺の使える魔法?」


「はい、私は普通の魔法は使えませんからあなたの使える魔法になりますね」


「それはリン級の魔法であってもいいのか?」

「リン級ですか?作れなくはないですけどそれに見合う、特大サイズの魔石が必要になりますよ?」


ユアは総士郎の質問にあまり考える素振りもなくスラスラと返答した。そういう意味ではユアの言動に嘘をついている素振りはない。


しかし、なるほど。消費する魔石の問題もあるらしい。


それでも提示されている情報が本当ならばかなりの価値がある代物のはずだ。


「この女の言うことを信用するの?」


悩む素振りを見せる総士郎にリナが言った。


「とりあえずは、な。起き上がる前に虹色に光ったのもあるし、少なくとも普通の人間じゃないのは確かだ」


「なら、地下迷宮に行くの?」


「それは別の問題だな。報酬が本当なら確かに魅力的だが、、、そもそも俺一人で決められる事じゃない」


そう、これは3人で決めることだ。総士郎の一存だけではどうにもならない。


しかし、


「えっと、私はソウシロウさんが行くなら一緒に行きますよ」


「私もソウシロウとササリアが行くなら付き合うけど」


ササリアとリナはそれが当たり前のように言った。


総士郎は驚く。


「それでいいのか?それに二人とも仕事もあるだろ?」


「仕事は地下迷宮に行くなら休めます。それに仕事よりソウシロウさんの方が大事ですから」


「そうね。それに地下4階より下に行くならムカデが出るはずだしササリアが心配だもの」


ササリアとリナは答える。


「本当にいいのか?」


「はい」


「ええ」


総士郎はもう一度聞くが二人の返答は変わらなかった。


その二人の答えに総士郎は少し嬉しくなった。


ならば、と、総士郎は少し考えて地下迷宮行きを承諾できるだけの条件をユアに提示したのだった。




その結果、


①ユアは今後10年間、総士郎達に対して敵対的な行動を取らないこと


②地下迷宮に行くのは準備を整え、明後日から。ユアの準備にかかる金銭は総士郎が負担すること


③ユアと総士郎達は目的の達成のために互いに協力すること


④地下迷宮の地下2階、5階、9階の各祝福の泉でユアの回収したい物があるため9階の祝福の泉を目指すこと(何かトラブルがあった場合は地上に引き返すことはできる)


⑤地下9階まで到達できた場合には魔道具を8個、地下5階までで2個、報酬として払うこと


の5つの条件が決められた。




ブックマーク、♥、コメントをおねがいします。

いや、ホント、マジでお願いしますm(_ _)m

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