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ベーゴマ販売と新しい依頼

翌日は教会本部で調べものをしたりして過ごした。




そのさらに翌日は早朝から海畑での仕事に出かける。


「おはようございます」


「ああ、ソウシロウ君、おはよう。今日はカニが1匹とクジラが1匹だね。討伐後、昼前までに仕事をしてくれればいいよ」


総士郎の挨拶にカインが今日の仕事の説明をしてくれた。


今月(この7日間)はカインが海畑の担当のようだ。


「そうか。あと、この前のタコのクチバシって残ってるか?買いたいって人がいるんだが」


「タコのクチバシ?ああ、口の部分の硬いところか。解体の担当者に聞いてみないとわからないけど残ってるんじゃないかな?後で確認してみるよ」


「よろしく頼む」


総士郎はそう言うと海畑に上がっているクジラの方へ歩いていった。




クジラを早々に真っ二つにし、カニの討伐を待つ。


カニは1匹だったので討伐に集まった30人程の戦士に周りを取り囲まれて1時間かからずに倒された。


それを真っ二つにして仕事を終える。


「そろそろ、この待ち時間の潰し方も考えないとかなぁ」


仕事を始めて10日程だがカニや海竜は討伐を待つ必要があり、その待ち時間の間、暇を持て余していた。


本でもあればいいのだろうが本は大変貴重なため教会からも貸し出しの許可は得られなかった。


そんなことを考えながら陸に戻るとカインが話しかけてきた。


「朝に言ってた。タコのクチバシだけど残ってたよ。巨大タコの討伐もしてくれたし今回はタダで譲るよ」


「いいのか?俺の買い取り先は金貨2枚出すんだが」


「今回は報酬も少なかったからね。その補填だと思ってくれ」


そう言うとカインはタコのクチバシを渡してくれた。


「わかった。ありがたく貰っておくな」


タコのクチバシは上顎と下顎分の2枚あり、2つを組み合わせると直径1メートル弱の半球形に近い黒い殻のような物体だった。


口の先の部分は厚くて硬いが根本の部分は薄く、曲げに対して柔軟性があるようだ。少し面白い素材だ。


タコのクチバシをリュックサックから取り出した大きな麻袋にしまう。


「んじゃ、また明日よろしくな。お疲れさま」


そして、そう言って総士郎は警備隊の詰め所をあとにした。


セスタのところへ向かう。


ベーゴマは売れているだろうか?


売れていると話を進めやすくていいのだが。




セスタの店に行くとセスタが少し困った顔をしていた。それに店の前には客もいない。


「どうした?ベーゴマは売れてないのか?」


総士郎はセスタに声をかけた。


「おう、ソウシロウか。それがな、今日は200個持って来てたんだが開店してすぐに全部売れちまったんだ。店の前も混雑し過ぎて隣の店にも迷惑かけちまった。それに、売り切れで買えないと知ると泣き出す子供もいてな。少し疲れた」


なんと、セスタのベーゴマは大人気過ぎてですぐに売り切れてしまったようだ。


「みんな、孤児院だか学校だかでベーゴマで遊んでるのを見て買いに来たらしい」


総士郎の孤児院でのベーゴマ布教活動は思ったより効果があったみたいだ。


そして、それを想定していなかったセスタは少々トラブルを起こしてしまったようだ。


「あー、嬉しい悲鳴ってヤツだな」


「そうだな。でも、市がない3日間で500個しか作れてないしな。明日はまだいいけど明後日はベーゴマが100個しかない状態で店を開けることになりそうだしどうしようかと思ってな」


「さすがに明後日には少し落ち着くんじゃないか?」


「どうかなぁ。今日も10個くらい買っていく客がいたんだ。いいことなんだが買えない客のことを考えるとな」


「なるほどな」


総士郎はセスタと少し相談することにした。


「とりあえず数はロウダンに頼んで確保するのがいいんじゃないか?」


セスタの技術はたぶんロウダンに習ったものだろう。


そこから独自に磨いたものもあると思うが、元の技術を持つロウダンならベーゴマの作成の人手になってくれると思った。


「親父に頼み事かぁ」


セスタは少し渋い顔をする。


「少し無理言って市に店を出させてもらったりしてるからなぁ」


「でも、他に手はないだろ。少しでもいいから頼むのがいいんじゃないか?」


「はぁ、気は進まないがしょうがないか」


気が向かないようだが他に手もない。セスタはロウダンに増産の手伝いを頼むようだ。


「店が混むのは、、、明日は俺が手伝うよ。それに売り方も少し工夫しよう」


総士郎は明日はセスタの店を手伝うことにした。




翌日の朝早く、ササリアの教会が海畑に出られる日だが総士郎はササリアと別行動をしていた。


まず、警備隊の詰め所、カインのところに顔を出す。


「おはようございます。今日はどんな感じだ?」


「今日はカニが2匹上がってるね。後で、よろしく頼むよ」


「わかった。昼までには戻るから、少し他の用事に行ってくるな」


仕事の確認をするとセスタの店へと向かった。




まだ朝早いのにセスタの店にはもう10人程の人が集まっていた。


内訳は子供と大人が半々といったところだ。


「おはよう。セスタ。もう客が来てるのか」


「はよー、ソウシロウ。だな、まだオレも着いたばかりなんだがなぁ」


「客の整理は俺がやるからセスタは開店の準備をしてくれ」


「わかった」


総士郎は前日にセスタと打ち合わせしたとおりに客を2列に列べていく。


「2列で並んでください。お願いしまーす。ベーゴマの販売は一人2つまでとさせて頂いております。よろしくお願いしまーす!」


子供が多いお客さんを2列に並ぶように誘導し、人が通るスペースを空けて列を折り曲げる。


そして、市の通路の邪魔にならないようにお客を列べていった。


「一番後ろの方はこのフダを持ってください。後ろに人が並んだら後ろの人に渡していくようにお願いしまーす!」


列の一番後ろの人には「最後尾」と書かれた持ち手の付いた木の板を持ってもらう。


昨日の内に作っておいたものだ。


そうしている間にも人は増えていき20人以上がもう既に並んでいた。


「あそこの最後尾って書いてあるところに順番にならんでねー」


店の前に群がろうとする子供達を誘導していく。


「ベーゴマの販売は一人2つまでとなっておりまーす!ご了承くださーい!あちらの最後尾のところに2列で列んでくださーい!」


そうして、人を整列させているうちにも列は伸びていった。もう50人程が列んでいるようだ。


「ソウシロウ!準備出来たぞ!販売を始めるな!」


セスタが言い、販売を開始した。


「右の客、どうぞー。一人2つまでしか売れないからな。2つまで選んでくれ。太陽とトリな。で、銅貨8枚だな。毎度あり!次、左の人どうぞ〜」


セスタは2列に列んだ客を左右順番に対応していく。


総士郎はその間にも列に並ぶ人や店の前に群がろうとする子供の対応に追われた。


「ここは人が通るから間を空けてねー。あ!ここは最後尾じゃないからあっちの最後尾のところに列んででねー。ベーゴマは一人2つまで、1つ銅貨4枚での販売となっておりまーす!2列に順番に列んでくださーい!」


総士郎は声を張り上げる。


そのかいがあって列は通りの邪魔にならない形で形成できているし、販売もスムーズに行われている。


「ソウシロウ!残り50個になった!」


「わかった」


セスタの合図に総士郎は頷いた。


列は短くなっていて今は20人程が列んでいる。


「ここまでで販売終了です!売り切れとなります!すでに列んでいる人で販売終了でーす!」


総士郎は自分で列の最後尾に列び、新たに人が列ばないようにする。


列に新たに人が増えなくなると、列はすぐに短くなり、あっという間に無くなってしまった。


「ベーゴマは本日分の販売は終了でーす!ありがとうございましたー!」


「あ、ありがとうございましたー!」


総士郎とセスタは通りの方に一礼して「ベーゴマ売り切れ」と書かれた木の立て札を店の前に立てた。


「スゴイな。昨日は店の前に人が溢れて、どれから対応していいかもわからなくて大変だったのに」


「ちゃんと列に列ばせて順番に対応した方がやりやすいし最終的には早いからな。後はお客の方も慣れてくればもっとスムーズにいくようになるはずだ」


「へー。ソウシロウは慣れてる感じがするな。人気のある店の店員とかやってたのか?」


「店とかはやったことないな。けど、昔に友人に誘われて一度だけこういう列整理のスタッ、、、仕事をしたことがあってな。その経験が役に立ったな」


総士郎は生前の地球で参加した10万の人でごった返すオタクのイベントを思い出していた。あれに比べれば100人にも満たない列の一本など楽勝ザコである。


続けてセスタとベーゴマの確保についても話をする。


「親父に頼み込んで、しばらく手伝ってもらえることになった。今も工房で作ってくれてるはずだ」


「それはよかったな」


「オレも昼には店を閉めてベーゴマを作るし、これで明日と明後日の200個はなんとかなりそうだな」


「明後日の市まではとりあえず乗り切れるか。明日、明後日の様子を見て来月(次の7日)のことはまた相談かな?」


「そうだな。よろしく頼むな」


そうしてセスタとの打ち合わせを終え、警備隊の詰め所、カインのところに戻った。


ちょうど、カニの討伐が終わったところらしくカニ2匹を真っ二つにして仕事を終えた。




それから一月(7日)が経った。


セスタの店のベーゴマの売上もさすがに落ち着き、朝方に10人程の短い列ができるだけとなっていた。


総士郎の列整理ももう必要なさそうだ。


「ベーゴマの販売もやっと落ち着いてきたか」


「そうだな。でも一日を通せば100個は売れてるゼ。それに少しだけど招福の置物の方の売上が上がったのが嬉しいな」


総士郎にセスタが答えた。


「客も落ち着いて店を見られるようになって、置物の方にも目が行くようになったんじゃないか?前にも言ったけど出来はいいしな」


「ならいいけどな」


セスタは少し照れたように答えた。


「んじゃ、そろそろ次の仕事を頼みたいんだがいいか?」


「次の仕事?」


セスタはリュックサックから何枚かの羊皮紙を取り出す総士郎に疑問系で答えた。


「ああ、新しい仕事を頼みたいんだ。まず、砂と粘土で棒状の型を作って欲しい。それと、こういう感じの木の板を使って砂と粘土の外枠を作って、後から穴を空けて、、、」


「中が空洞の鉄の棒を作るのか?でも、ここはどうするんだ?支えがないと空洞を作れないぞ?」


「それはこことここに小さな鉄の塊を置いてだな、、、」


「なるほど、そうなるのか。で、穴の径が、、、棒全体の太さは、、、で、長さがこれか。うーん、、、大きいし、きれいには仕上がらないかもしれないぞ?」


説明を聞いたセスタは少し難しい顔をする。


総士郎の描いた製図と説明からすぐに構造を理解したらしい。なかなか優秀だ。


「そこは作ってみてから考える部分もあるな。とりあえず、第1号の試作品としてこんな感じで作りたい」


「わかった。とりあえず作ってみるな」


「それと鉄を流し込む時は俺のいるときにして欲しい。砂型の確認とかもしておきたいからな」


「それなら4日後、次の「昼の二日」に工房に来てくれ。型は準備しておく」


「そうだな。それで頼む」


予想以上にベーゴマが売れ、セスタが忙しくなり過ぎたせいで滞っていた銃身の砂型の作成依頼がようやく行えた。


これで試作品の銃の材料は揃う。


しかし、その前に少し考えないといけないこともあった。



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