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セスタのベーゴマと大ムカデの外骨格

「セスター!いるかー!?」


翌日、総士郎はセスタの工房へ来ていた。


右手には大きな麻袋、大ムカデの外骨格を持っていた。


セスタの所に顔を出すついでに買い取りに出すつもりだ。


「おう!ソウシロウ!どうした?」


工房には汗だくのセスタがいた。


汗に濡れた少し濃いめの肌色が健康的な感じだが少し艶っぽい。


「職人街に用事があってな。そのついでに顔を出した」


「おー、オレもソウシロウにベーゴマの出来を見てもらいたかったからな。歓迎するぞ」


「そうか。ベーゴマの売れ行きはどうだ?」


「一昨日は20個しか用意できなかったからな。全部売れたけど手応えはまだよくわかんねーな」


「そうか」


「でも、明後日の市までには500個は用意できるからな。そこからが本番だな」


そう言ったセスタは作った5種類のベーゴマを見せてくれた。


3つの太陽、三日月、鷹のようなトリ、剣、ネコ、がデザインされたベーゴマだった。


「なかなかよくできてるじゃないか。特にこのトリはいいな」


「けっこう苦戦したからな。小さい模様になるし見栄えを考えるとなかなか難しいな」


そこから少しセスタとベーゴマのデザインについて話をした。


5種の中で少し浮いているネコのデザインはセスタの趣味のようだった。




「あ、忘れてた。コレは土産な。セスタは使わないかもしれないがロウダンは使うだろ」


そう言ってリュックサックから銀色の頭蓋骨を取り出した。


アイアン・スケルトンの頭蓋骨だ。


「な、なんだ、それ」


いきなり出てきた頭蓋骨にセスタは若干引いている。


「ちょっと前に西の地下迷宮に行ってな。そこで取ってきたものだ」


総士郎はテーブルに置いた頭蓋骨の頭をポンと叩いた。


「地下迷宮産の鉄か?それはすげーな。見てもいいか?」


「ああ、いいぞ。でも、重いから気をつけろよ」


セスタは珍しいもののように手に取った頭蓋骨をひっくり返したりして見ていた。


「かなり上質の鉄みたいだけどいいのか?この量なら銀貨2枚にはなるぞ」


「ああ、少し頼みたいこともあってな。実は大ムカデの外骨格があるんだが高く買い取ってくれる場所を探しててな、知っていたら紹介して欲しいんだ」


総士郎は持ってきていた大きな麻袋を指差した。


「ああ、なるほどな。そーゆーことなら親父に聞いた方が早いな」


そう言うとセスタは部屋の奥にある階段に向かう。


「親父ー!ソウシロウが用があるって!降りてきてくれ!」


大きな声で2階に向かって呼びかけた。


しばらくて、ロウダンがあくびをしながら降りてくる。


「んー、なんだ?俺は今日は休みだぞー」


「親父にとっていい話だ。前にいい鉄が欲しいって言ってただろ」


降りてきたロウダンにセスタが言う。


「休みのところ悪いなロウダン。少し相談にのって欲しいんだ」


と、ロウダンに相談すると、


「傷も無いし質もかなり良さそうだな。これならユントの爺さんが高く買ってくれるんじゃないか」


と、言った。


「ユントって、あの少し変わった爺さんか?」


「ああ、少し変わってるな。で、作ってるもんも変わってて、魔物なんかの素材でできた装備品を作ってる」


セスタの問にロウダンは答える。


「最近は魔物の素材が不足していて困ってるつーか、市場に出てくる素材を買い漁ってる感じなはずだ。喜んで買ってくれると思うぞ」


そう言いながらロウダンは銀色の頭蓋骨をバスケットボールのように中指の先で回している。


単純に凄いし、絵面としてもおもしろいが鉄の頭蓋骨は10キロ程の重さがあるんだが、、、


「わかった。ユント爺さんのところだな。案内するゼ」


セスタはそう言うとテーブルから立った。


「仕事はいいのか?」


「そろそろ休憩しようと思ってたし、ソウシロウの頼みだからな」


セスタは総士郎に答えるとユントという人物のところまで案内してくれた。




「ほう、コレはいいものだな。それがこの量か。全身分の鎧が2つは作れるな。盾を作るのにも良さそうだ」


白い眉、白い髭、頭はツルツルの爺さん、ユントは関心したように言う。


セスタに案内されたユントの工房は職人街の西の端にあった。


「お主が大ムカデを倒したのか?」


「いや、倒したのは別の魔法使いだ。俺は素材の買い取り先を探して分け前をもらうことになってる」


話しながら工房内を見渡した。


半分に切られた亀の甲羅、それでも幅2メートル近い大きさ、と同じく2メートル程の幅の白い皮膜が壁際に飾られている。


被膜はワイバーンのものだろうか?


セスタも目を丸くしてそれらを見ていた。


「全部で金貨5枚で買取ろう。どうじゃ?」


金貨5枚か。銀貨なら110枚だが、、、


「もう一声欲しいな。魔物の素材は不足してるんだろ?」


ユントに少し探りを入れてみる。


直近で金に困ってる訳ではないが、出してきた値段に一発で承諾するのもなんとなく抵抗があった。


「むぅ、なら金貨5枚と銀貨10枚でどうじゃ?」


ユントは白い顎髭を撫でつけながら言った。


やはり、金貨5枚は低めの値段だったのだろう。いきなり1割近くも値がつり上がった。


「そうだな。それで頼む」


いきなり1割上がったことを考えると、金貨6枚くらいまでは少し粘れば出しそうな気はするがそこそこのところで満足する。


「そのかわり、じゃないが、いい短剣と胴鎧か胸当てなんかはないか?軽い素材のものが欲しいんだが」


「ヌシが使うのか?」


「ああ、風の戦斧の使い手でな。大ムカデには役に立たなかったが地下迷宮にはこれからも潜る機会がありそうだからな」


「ソウシロウは今、話題の両断の魔法使いなんだぜ」


セスタがなぜか得意げに総士郎の二つ名を紹介する。


「ほう。噂になっとるリン級の風の戦斧の使い手か」


ユントは確かめるように総士郎を見ている。


「ふむ、なら一昨日倒した巨大タコのクチバシは手に入らんか?入手できれば金貨2枚で買い取るぞ」


ユントは新たな買い取りの交渉を持ちかけてきた。


「それは漁を仕切ってる警備隊の中隊長にあたり聞いてみないとわからないな。入手できれば持って来るよ」


「そうか。手に入ったらぜひ買い取らせてくれ。で、短剣と胸当てか。金属の武器は作ってないからの。今は渡せるいいものはないな。胸当て、ならそれこそ、この大ムカデで作るのが一級品になるがどうかの?」


けっこう良さそうな話だが、素材が大ムカデなのでササリアが一緒に地下迷宮に潜ってくれなくなるなるだろう。それはまずい。


「ムカデは苦手な仲間がいてな。それ以外で頼む」


「ならワイバーンの革かのう?ワイバーンの革の鎧なら在庫がある。いい取り引きもできたし、金貨3枚にまけとくぞ」


ワイバーンの革か。


どういうものがわからないがいいものらしい。


大ムカデで欲張り過ぎなかったことで幾らかの割り引きもしてくれるようだ。


「先に実物ものを見てからだな。試着してみて気に入ったら、それでいいぞ」


「若いのにしっかりしとるのぅ。わかった、取ってくるから試着してみてくれ」


ユントは奥の部屋へ鎧を取りに行った。


実はあなたより10以上は年寄りなんだけどな。とは言わなかった。




その後、ワイバーンの革鎧を試着し、気に入ったので取り引きすることにした。


ワイバーンの革鎧と大ムカデの外骨格との差額、金貨2枚と銀貨10枚を受け取る。


総士郎のサイズに合わせた細かい直しなどもしてくれる、ということで一月(7日)後を目処に取りに来ることになった。


セスタは金貨3枚の鎧を買うことに驚いていた。



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