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孤児院とジャイアントスイング

翌日、総士郎とササリアとリナは第12区画にある教会の孤児院に来ていた。


ササリアが一月(7日)に一度、働きに来ている孤児院で、ササリアとリナが小さい頃に育った場所でもあるらしい。


この孤児院では6歳から10歳までの子供、男の子が5人、女の子が6人暮していると説明された。


もっと幼い子供や10歳より上の子供の施設は別にあるということだ。




孤児院の施設の庭で総士郎、ササリア、リナの3人は子供たちの相手をしていた。


布教活動も兼ねて総士郎は子供達にベーゴマを教えていた。


「えい!」


「とお!」


布の張られたバケツに二人の男の子がベーゴマを投げ入れる。


カチッ!カチン!


ぶつかり合ったベーゴマの片方が布の上から弾き出される。


「勝ったー」


「あー、負けたー」


二人の男の子のうち一人がガッツポーズをする。


「おー凄いなー」


総士郎は勝った方の男の子に称賛を送った。


隣の布を張ったバケツではササリアが女の子にベーゴマを教えていた。


女の子の投げたベーゴマはあらぬ方向へ飛んでいく。


「紐を強く引きすぎですねー。もう少し優しくで大丈夫ですよー」


「わかった!」


ササリアは別の女の子の紐の巻き方を確認しながらアドバイスする。


「ぎゃー、リナーやめろー」


その近くではリナが男の子をジャイアントスイングしていた。


リナのツインドリルとゴスロリを「変なの!変なのー!」って言っていた男の子だ。


ツインドリルを引っ張ったのでリナが怒ったようだ。




「次はにーちゃんと対決だ!」


別の男の子が総士郎に勝負を挑んできた。


「おう、受けてたつ!」


総士郎は適度に勝ったり負けたりしながら男の子達の相手をしていく。


「おねーちゃん、回せたー」


「おー、すごいです!ちゃんと回ってますー」


ササリアも慣れた様子で女の子の相手をしている。


「リナねーちゃん僕もやってー」


「わたしもー」


そして、リナのところはなぜかジャイアントスイングの順番待ちができていた。


リナは結局、孤児院の5人の男の子全員と3人の女の子を2周りジャイアントスイングした。




「いやー、リナ先生のは大人気ですなー」


ジャイアントスイングした女の子をできるだけ優しく降ろしたリナに声をかけた。


「そうね。ソウシロウもいかが?」


「冗談です。リナさん、お疲れ様です」


足元に狙いをつけるリナに総士郎は日和ひよった。


「もー、これだからここにはあまり来たくないのよね」


「でも、子供から嫌われてる訳ではないだろ?むしろ好かれている感じだ」


「ですねー。リナお姉ちゃん連れてきてーってよく子供たちにも言われますよ」


ササリアも話に加わった。


「でも、私の溢れ出る気品にそぐわないわ」


・・・


「なによ?」


「なんでもない」


「なんでもないでーす」


リナの視線に総士郎とササリアは目を逸らした。


そこで、男の子の一人が総士郎に話しかけてきた。


一番最初にジャイアントスイングを食らっていたヤンチャな感じの男の子だ。


「ねー、ベーゴマのにーちゃんはリナの彼氏?」


「あー、彼氏ではないなぁ。仕事の仲間、かな?」


「じゃー、ササリアねーちゃんの彼氏?」


「それも違うなぁ。ササリアとも仕事の仲間だな」


「ふーん。そーなんだ」


男の子は少し嬉しそうに言う。


「なに?私かササリアが気になるの?」


リナが男の子をからかうように声をかけた。


「ササリアねーちゃんはともかく、リナはねーよ」


「それ、どういう意味よ?」


「リナはどーもーだからな。よめのもらい手がないぞー」


「な!?ルートだって、女の子に意地悪ばっかりしてると結婚できないわよ!」


男の子、ルートと言うらしい、とリナはにらみ合う。


・・・


「えいっ!」


突然、ルートは勢いよくリナのスカートをめくった。



黒い三角形が見えた。白い太ももとのコントラストが眩しい。


「リナの黒パンツー!」


ルートはそう叫んで逃げていった。


・・・


リナの顔が、怒りか羞恥かわからないが、真っ赤になっていく。


「んにゃーー!こら!待ちなさーい!」


リナは顔を真っ赤にして、逃げていくルートを追いかけた。


ルートは一生懸命駆けていくがリナはものすごい速度でルートを追い詰めていく。


リナは薄く発光してる。


子供相手に「気」を使ってやがる、、、


「リナさーん、ちゃんと手加減しないとダメですよー」


ササリアもそんなリナに声をかけた。


そして、リナはついにルートを捕まえると、今度は肩に抱えあげ激しく回転した。


「んぎゃー、リーナーやめろーー!」


「リナねーちゃん僕もやってー」


「わたしもー」


また、リナのところに順番待ちの列ができていった。




「ルート君も元気になってよかったです」


その様子を見ながらササリアが言った。


「あの男の子、なにかあったのか?」


「以前は水化すいかの病であまり激しい運動はできませんでしたから」


「水化の病って、あんな男の子もかかるのか?」


「はい、水化の病は比較的幼い子供の方がかかりやすいですね。ここより年下の子供の施設にも何人か発症している子がいました」


総士郎は水化の病のことを脚気かっけのことだと思っていたがどうやら違うようだ。


脚気なら中年以降の男性がかかりやすい病気で、子供がかかることは稀だ。


もしかしたら、この世界特有の病気なのかもしれない。


「祝福の水、たくさん持ち帰れてよかったです」


「そうだな」


リナの肩の上で悲鳴のような歓声のような声をあげているルートを見る。


「ソウシロウさんには一度ここに来て欲しかったんです。本当にありがとうございました」


ササリアはそう言って微笑んでいた。



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