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タコと魔力酔い

翌朝、仕事に向かうと海畑の様子がおかしかった。


なぜか門の前から人がごったがえしていて警備隊の詰め所に向かうのも大変な有様だった。


「おはようございます。なにかあったのか?」


人の多い中リカードを探し出して問う。


その隣にはリナとカインもいた。


「ソウシロウ待ってたぞ。海獣が出たんだ。そのせいで海畑へ立ち入れなくてな。こんな有様になってる」


リカードが答えた。


「海獣?」


「海の魔物よ。巨大なタコが海畑に出たのよ。あれね」


リナの指差す方を見ると巨大な赤い茶色いシミのような物が海畑に張り付いていた。


よく見るとシミは動いていて、その中央は盛り上がっており頭らしきものになっている。


足の端から端までは30メートル程、真ん中の頭らしいの部分の高さは2メートルはありそうな巨大なタコが陸より1キロ程先でうねうねと動いていた。


よく目を凝らして見るとその頭の部分には小さな赤い魔石、カーバンクルが輝いている。


「今はあそこでおとなしくしているが魔獣だ。いつ、人に向かって攻撃を仕掛けて来るかわからん。早々に対処したい」


「でも、まともにやり合うとこっちにも死人が出るわ。そこで、ソウシロウの力を借りたいの」


リカードに続けてリナが言う。


「どうすればいいんだ?」


「ある程度近づけばあちらから突っ込んでくるはずよ。近接される前に頭部を真っ二つにしてくれればいいわ。海獣なら風の戦斧には弱いはずよ」


「わかった」




リカードとカインの隊は陸の端で控え、海畑に入れずに集まってしまった一般人の守りを固めている。


巨大タコの討伐にはリナの隊が当たることになった。


「これより海獣掃討作戦を開始するわ!作戦は伝えたとおり、あちらが突っ込んで来たらソウシロウの魔法でできる限り遠距離から頭を潰す!私達の仕事はソウシロウを守ることと万が一の場合の予備兵力よ!でも、油断はできないわ!準備と覚悟を怠るな!!」


「オー!!」


200人程の兵士を前にリナが演説し兵士達を鼓舞した。




兵士達はソウシロウとリナが先頭になり巨大タコへと向かって前進する。


巨大なタコと兵士達の距離が100メートル程になったところで、巨大タコがこちらに向って突っ込んで来た。


頭の部分よりも足を先行させてこちらへと向かって来る。


タコは思ったよりも速い速度で突っ込んで来た。


「ナートトナ ミ、ラン、ロキ、ルー、ルー、リン」


ザンッ


頭の部分が射程外のうちに風の戦斧を横向けに射出した。


広がっている足の部分をなぎ払う。


「ぎーー!」


タコが叫ぶ。


なぎ払った足の分、頭に近づきやすくなる。


「もう一発!ナートトナ ミ、ラン、ロキ、ルー、ルー、リン!」


頭の部分を風の戦斧の射程に確実にとらえて唱える。


ザンッ


タコの頭の部分が縦に真っ二つになった。


「やったわ」


リナが言う。


あ、バカ!フラグ立てんな!タコは生命力高いんだから!


総士郎はとっさにもう一度魔法を放った。


「ナートトナ ミ、ラン、ロキ、ルー、ルー、リン!」


ザンッ


縦に真っ二つにしたタコの頭の根本部分を横方向にも真っ二つにする。頭と胴が完全に切り離された。


・・・


「ふう」


総士郎は巨大タコの前進が止まったことをよく確認して息をついた。


「なんで今、もう一回魔法を使ったの?」


「タコは生命力が高いからな。念の為だ」


横に並んで聞いてきたリナに答えた。


「へー、そうなの?ソウシロウって変なことには詳しいわよね」


そう言いながらリナは足元に転がっていた切断されたタコの足を蹴った。


ニュル、ニュルニュルニュル


切断された足がその刺激に反応してリナの右足に巻き付いた。


「動いた!?それに吸盤もくっついてきてる!?」


タコの足を外そうと屈んだリナにタコの足はさらに巻き付いていく。


「ちょっと!なによこれ!」


リナは右足から胴までタコの触手に巻きつかれる。


ニュルニュルニュル〜


「ヌ、ヌルヌルしてて上手く掴めないわ!しかも力がけっこう強い!吸盤も!」


タコの足は切断されても1時間くらいは刺激に反応して動くし、その足に配置された吸盤も吸い付く。


だから「生命力が高い」って言ったのに、、、。


リナが立てたフラグは、やったか?フラグではなく、触手フラグだったようだ。


「気持ち悪いわ!誰か助けて!ちょっ!にゃーーーー!」


リナの変な悲鳴が辺りに木霊した。




「ヌルヌルがとれなくて気持ち悪いわ。それに吸盤に吸い付かれた場所がヒリヒリする」


その後、他の兵士に助け出されたリナは体中にタコの粘液が付き、右の太腿と右のほっぺたには吸盤の丸い跡が付いていた。


「なんで助けてくれなかったのよ」


陸に戻ったリナは不満そうに言った。


「魔力切れだ。それに風の戦斧を使うのは危ないだろ」


総士郎はあぐらをかいたまま答える。


総士郎はリン級の風の戦斧を3発使ったため魔力切れ、魔力酔いに苦しんでいた。


「うー、気持ち悪りぃ。魔力酔いって結構キツイな」


立っているのもキツく地面に座り込んでいるのだ。


「さすがにソウシロウでもリン級3発はキツそうね。通常の仕事では2発までにした方がいいかしら」


「ああ、特別に何かない場合はそれで頼む」


「でも、立って歩けるくらいでしょ。無理すればもう1発はいけるんじゃない?その後は丸一日酷い魔力酔いに苦しめられると思うけど」


「これ以上の不快感は勘弁して欲しいなぁ」


総士郎は本気で呟いた。


「それにしてもリン級の風の戦斧は凄いね。警備隊がアレと正面からやりあうなら死者10人、けが人100人は覚悟して挑まないといけないからね」


最初の挨拶以降、それまで話したことの無かったカインが話しかけてきた。


ちなみにリカードは海畑での安全確認、一般人の誘導などの通常の仕事に戻っている。


「そうね。最大だとそれくらいの被害にはなるわね。中隊1つがしばらく使えなくなるわ」


リナがカインの意見に同意した。


「そんなになるのか?」


「戦士だと端から切り崩していくしかないからね。あまり相性のいい相手とは言えない。ソウシロウ君がいなければ今日の海畑と市は中止、城塞の中に引きこもって、巨大タコをできるだけ刺激しないってのが正解になるね」


「そうね。明日から3日間は海畑はないしね。でも、そうやって放置した海獣が20日間くらい海畑に居座ったって話もあるから倒せるなら倒したいところね」


総士郎の問にカインとリナが答えた。


「で、報酬なんだけど取り決めでは戦闘参加と魔法3回で銀貨24枚だけど、今日の場合はさっき言ったようなことも考慮して約4倍の金貨4枚を支給しようと思うんだけどそれでいいかな?」


「おおう、奮発するな」


「とんでもない、これでも少なすぎて申し訳ない程だよ。でも、警備隊にも予算があるからね。このくらいが精一杯なんだ」


「そうか。じゃあ、それで頼む」


その後、カインから金貨4枚を受け取った。


「できれば、僕もソウシロウ君には警備隊に入って欲しいね。事情があるようだが手が空いたらぜひお願いしたい」


報酬を受け取るときにカインにも警備隊に勧誘されてしまった。



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