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祝福の水とロシェ

祝福の水を汲み終わったので、バケツなどの道具や料理のときに出たゴミなどを片付けていく。


この休憩ポイントを使う者は「使う前よりきれいに掃除する」がマナーなのだそうだ。




「鉄のスケルトンって強いのか?」


革鎧の具合をチェックしながら話を切り出す。


「この部屋の先のアイアン・スケルトンですか?強いですね。鉄なので炎や氷の魔法がほとんど効かないです。もちろん硬くて防御力もあります。でも、ソウシロウさんの「風の戦斧」ならミエ級で問題ないと思います。それに、私も一対一でなら少し時間はかかりますが勝てるレベルの相手ですね」


「倒せば鉄が得られるのか?」


「そうですね。倒したあとの残骸の鉄はかなり質のいいものだと聞いています。全部運ぶのは大変ですけど、結構お金になるので回収したい素材ですね」


質のいい鉄なのか。


「ああ、「銃」を作るための素材ですね?」


考えているとササリアが気がついたように言った。


「そうだな。付き合って貰っていいか?」


「はい。もちろんです」


ササリアは笑顔で答えた。




気合を入れ直して挑んだアイアン・スケルトン2体。


1体目はミエ級の「風の戦斧」1発で真っ二つなった。そして、2体目もササリアに張り付かれる前に真っ二つにした。


・・・


相手の数が少なくて、こちらの弱点を突かれなければこんなものなのかもしれない。




中型犬程の鼠、大型犬程の蜘蛛、小型犬程の角の生えた兎に普通のスケルトン。帰路でも何組かの魔物と遭遇したがササリアと二人で問題なく片付けていく。


地下1階と2階とを繋ぐ通路にはまだ大ムカデの死骸が残っていた。


風の魔法に耐性のある外骨格は価値があるらしいので大きくてきれいなものから10枚程を剥いで絨毯に乗せた。


ササリアは外骨格を剥いでる間、こちらを見ようとしなかった。




「やっとお日様の光か」


坂になった通路を登り、地下から地上へと出た。


伸びをする。やっと本当に緊張を解いても大丈夫な場所に出られた感じがした。


辺りは夕方に近い時間帯だろうか?3つの太陽はかなり低い位置にあるようだ。


「お疲れ様でした。その様子ですと無事に祝福の水を得られたみたいですね」


声をかけられた。教会のローブを着た、ややふくよかな、人の良さそうな老婆が立っていた。


「ロシェ様!来られてたんですね」


ササリアが声を上げた。


ロシェ様?どっかで聞いたことがある名な気がする。


「ササリア、怪我はなかったですか?」


「はい、大きな怪我もなく祝福の水を沢山手に入れることができました」


「そうですか。よかったです」


老婆は一度ササリアを軽く抱きしめた。そして、こちら、総士郎の方を向いた。


「あなたが両断の魔法使い、ソウシロウさんですね。ササリアがお世話になっています」


老婆はそう言って頭を下げる。


両断の魔法使い?どうやら、風の戦斧でいろいろ真っ二つにしている総士郎のことを指しているらしい。

二つ名とか言うヤツだろうか?あまり嬉しくはない。


「ササリアさんに世話になっているのは私の方です。いつも感謝しています」


総士郎は相手の素性がわからないので少し警戒して、社交辞令的な挨拶を交わした。


「こ、こちらは教会の牧師長の一人でもあるロシェ様です。私の上司に当たる方で信用できる方でもあります」


その様子を見てササリアが慌てて老婆の紹介をした。


ササリアは「信用できる方」をやや強調していた。警戒する必要はないかもしれない。


「それにしてもなぜ、ロシェ様がおられるのですか?私は祝福の水の受け取りはリキア先輩に頼んだのですが」


「最近、ササリアが凄い魔法使いとなにやら楽しそうにしてると聞いてね、様子を見に来たのですよ。なかなか良さそうな男性じゃないですか。やっとササリアにも春が来たのかしらね」


老婆は楽しそうに笑った。


「ソ、ソウシロウさんはそういうのじゃないです。私を頼って教会に来てくれたので、教会の牧師として頑張って道を示そうとしてあげてるだけです!」


「そうですか?でも、素敵な男性なら早めに行動をしないと他の人に取られてしまいますよ?」


「わ、私はロシェ様のように女神様に一生を捧げると決めているんです!恋愛よりも今は一人前の牧師と認められて、自分でミサを開けるようになるのが夢なんです!」


「でも、いつも言っている通り、女神様と一人の男性は同時に愛することができるのですよ。それに私だって若い頃は恋の1つや2つはしたものです。その結果、未婚で終わってしまったのですから、アドバイスですよ、アドバイス」


老婆、ロシェはササリアを手玉にとって楽しそうにしている。


「置いてけぼりにしてごめんなさいね。歳をとると若い子をからかうくらいしか楽しみがなくて」


ロシェは総士郎の方を向いて柔らかい口調で言った。




「それにしても、リン級の風の戦斧だけではなくこれ程の重量を運べる浮く絨毯、それに、大ムカデを倒せる、風の属性以外の魔法、ついでに灯りの魔法もですか。やはり、私が来てよかったかもしれませんね」


急に真剣な表情になったロシェは絨毯に乗せられた荷物と、総士郎の持つ、まだ「くっつく灯り」が残っている、メイスに視線を向けて言った。


「ササリア。リキアは信用できる娘ですが、これだけの荷物を運ぶには彼女の部下も使うことになります。全員、教会の者でしょうが、どうやっても止められない人の噂と言うものもあります。教会の者だからと言って信用し過ぎるのはいけませんよ」


「あ、え、えと」


急なロシェの言葉にササリアは何も返せない。


「とりあえず、今回は教会が魔法使いの傭兵を手配したことにして誤魔化します。他に何か魔法を使いましたか?」


ロシェは総士郎に向かってたずねた。


「樽の中の祝福の水が「杯1杯の水」でかなり濃縮してある」


一瞬、迷ったが正直に答えた。


「水・氷の属性も高いレベルで使えるのですか?そして、その魔力の総量。凄まじいですね」


「そうだな。でも、いろいろ油断していたようだ」


ロシェの言葉に総士郎は答える。


「わかりました。なんとか誤魔化せるようにやってみましょう。これで、緑の砂糖の不足は一気に解消できるはずです。これは「教会として」ソウシロウさんに恩を受けたことにもなります。できる限りのことをしてソウシロウさんに迷惑がかからないようにすることを誓いましょう」


「わかった。感謝する」


「とりあえず、今日は荷物を絨毯から降ろしたら自分達の荷物だけ持って帰路に付いてください。魔物の素材などは後日届けさせますので」


「わかった」


その言葉に総士郎とササリアは絨毯から荷物を降ろす作業に取り掛かる。


「それと明日にでも教会の本部に来てくださいね。ささやかですけどお礼をさせていただきますので」

そう言ってロシェは人微笑んだ。



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