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愚かな姉妹  作者: 京泉
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兄と姉妹


ラックノーツ家はダール王国の北側に万年雪を抱える山脈と広大な高地を領地に持つ伯爵家。


ラックノーツには三人の子供がいて、一番上から18才の長男のローワン、17才の長女のライリー、16才の次女のレーナと続く。


ローワンは癖のある柔らかな金色の髪の美青年。彼は伯爵家の跡取りとして期待され、その期待に応えるように誰に対しても公平な青年に育った。


ライリーは月のような金色の髪に癖が入った豪華な美人。ライリーの性格を知らない者は大抵彼女に傲慢さや高飛車等々の印象をもつがその外見にそぐわず卑屈で人嫌い。


レーナは太陽のようなオレンジに近い金色の髪。

春の日差しのように可憐で天真爛漫なレーナは誰もが庇護欲をそそられるがその外見にそぐわずとても我儘だ。


お土産一つ取ってもこの兄と姉妹は其々の性格が良く出る。


ローワンがお土産だと姉妹に買ってくる品物は必ず同じ物。どちらかが飛び抜けて良い訳もなく、クッキーやキャンディーならば同じ種類で同じ個数。人形ならば同じ髪色に同じ瞳で同じドレス。

ローワンは姉妹に格差を付けず公平だった。


お土産を手にしたライリーは全てが同じだと言うのが少し気に入らない。

自分は長女でレーナより上なのだと。それなのに兄はいつも同じ数、同じ人形をお土産にする。

ライリーの好みを頼んでも「公平にするには同じ物が良いだろう?」と、ローワンが聞き入れてくれた事は無い。ライリーは髪飾りやネックレス、レースのリボンが欲しかった。それなのにレーナに合わせた子供じみた菓子や人形。ライリーは兄は自分よりレーナを可愛がっているのだと拗ねる。


同じくお土産を手にしたレーナは頬を膨らませる。

自分は末っ子だ。兄は姉より自分を優遇すべきだと。同じお菓子をお土産にするのならレーナに個数を多くするものではないか、同じ人形ならばドレスの色を変えるべきだ。それなのに兄は同じ物に拘りレーナの好みを聞き入れてはくれない。レーナはレーナだけを優遇して欲しい。兄がレーナを優遇せずライリーと同じに扱う事を不満に思う。


ライリーはレーナよりも、レーナはライリーよりも。互いが兄からの特別を欲しがったが兄は姉妹には必ず公平だった。

公平な兄、人嫌いな長女、我儘な次女。三人は仲が良いと言えば仲が良く、仲が悪いと言えば仲が悪い。


そんなラックノーツ家に二つの縁談が持ち込まれた。

それはローワンの爵位継承が近付いた春の日だった。



これは「人の物がより良く見える」姉妹のお話。

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