エピローグ
「夕ちゃん、随分しっかりと弓持てるようになったね」
「夕ってば、寝る前に筋トレしてるんだよ」
「茜!」
「隠さなくてもいいじゃん。ねえ、未来お姉ちゃん、私も見て見て。前より良くなったと思わない?」
「うん。様になってるよ」
「未来お姉ちゃん、茜を甘やかさないで下さい」
「夕ちゃんは厳しいなあ。でも二人ともどんどん上手くなってるよ。将来が楽しみだ。
もうそろそろ4時だから、今日はこの辺で終わろうか」
「「はーい」」
3人が着替えを終えて弓道場の外に出ると、壁にもたれて待っていた時雨が声をかける。
「お疲れ様!」
「お姉ちゃん、見てくれた?茜、上手になったと思わない?」
「茜も夕もすごいよ。上手になったね。
未来お姉ちゃんにきちんとお礼言った?」
「未来お姉ちゃん、ありがとう!」
「ありがとうございます」
「どういたしまして。二人とも頑張ってくれて嬉しいよ」
時雨が未来の側に寄っていく。
「未来、今日も夕と茜の練習見てくれてありがとう。
自分の練習だってあるのに、ごめんね」
「平気だよ。教えるってすごいね。基礎のおさらいになるから、むしろ私の方が教えられてるみたいで、すごく調子いいんだ」
「そう言ってくれると嬉しい」
未来は、時雨にしか向けない優しく甘い顔で付け加えた。
「時雨が練習を見に来てくれるしね」
時雨は、そっと未来の手に自分の手を重ねて、心からの笑顔を向ける。
「未来のそういう優しいところ、大好き」
未来は、時雨の手をキュッと掴んで抱き寄せた。
「もう前みたいに『笑って』なんて言わないよ。
笑っても、拗ねても、怒っても、どんな時雨だって可愛いし、好きだからさ」
「うん。私もどんな未来でも好きだよ」
「だからさ、今時雨にお願いするとしたら『ずっと側にいて』かな」
未来は時雨をしっかり抱きしめ返して、「絶対に離れないよ」と誓った。
二人が抱き合ってるのを目ざとく見つけた茜が、駆け寄って未来にしがみつく。
「あー、ずるーい。未来お姉ちゃん、私も私もー」
夕も、遠慮がちにではあるけれど、しっかりと未来のシャツを掴んで、恥ずかしそうに呟いた。
「、、、私も」
愛らしい双子に、ついつい甘くなる未来は、一旦腕を解いて時雨を離すと、双子も一緒にすっぽり包み込んで、ギュッと抱きしめた。
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