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ねえ、笑ってよ  作者: Yuriharu
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第13章 気づいた気持ち(時雨サイド)


「しまった」、と思った時にはもう遅かった。


宗方さんが練習を終えて射場から姿を消して、周りにいた女の子達はあっという間に帰って行く。

私は、あの試合の時の「カッコいい人」と宗方さんが同じ人だったことの衝撃もあって、すぐに体が動かなかった。


試合で見た時よりもカッコよくて、美しかった。


今日は袴姿でなくてジャージだし、普通に考えれば試合の時の方が見映えはいいと思う。

でも、宗方さんだと意識して見たせいか、学校での彼女とのギャップが大き過ぎるせいで、胸のドキドキが治らない。


確かにあの試合の後も、見惚れたし胸も高鳴ったけど、アイドルに憧れるような、そんな気持ちだった。

学校が窮屈な事を除けば、可もなく不可もなくな毎日を送る中で、弓道姿の彼女は久々に目を奪われた出来事だったから、心が反応して当然なんだけど。


それが『笑って』と言ってきた、あの宗方さんとなると、心は一層乱されて、自分の気持ちの強さに戸惑ってしまう。


こんな状態で会ったら、気づかれてしまう。

でも。


どうしても聞きたくて、伝えたくて、建物の入り口に回って、彼女が出てくるのを待ってしまった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「どうでした?楽しんでもらえましたか?」


壁にもたれてしばらく待っていると、先ほど観覧場所を教えてくれた人が声をかけてきた。


「ええ、とても」


その人の後ろに宗方さんが見えて、意を決して声をかけると、相当驚いたようで固まってしまった。


無理もないか。

私だって学校外、しかも弓道場でクラスメイトと遭遇なんて想像するのも難しいものね。


でも、一緒にいた古谷さんと名乗った彼女のお陰で空気が解れて、宗方さんと二人きりになっても自然に会話が出来た。


まさかあの試合の時に、観覧席にいた私に気づいていたとは。

『笑って』って言ったのは、妹達に笑っている私の姿を見たからだったんだ。


自分のことを棚に上げて、学校との私と「全然違う」なんて言われたから、思わずムキになってしまって、口を滑らせてしまった。


『弓道をやってる宗方さんは、凛として、美しくて、すごいカッコよくて!』


、、、恥ずかし過ぎる。

本人に向かって、こんなこと言うなんて。


どんな反応されるか怖くて俯いてしまって、無言の時間が過ぎた。

あまりに長かったから、そろそろと彼女を見上げると、恥ずかしそうに顔を真っ赤に染めてモジモジしている。


可愛いい!


あまりにも予想を超えた可愛い過ぎる反応に、胸がキュンとなるのを感じた。


好き。


気持ちを素直に認めたら、もう止められない。

カッコよくて、美しくて、可愛くて。


彼女をもっと知りたい。

もっと近づきたい。


「、、、この後、時間あるかな?」


宗方さんは、コクっと頷いてくれた。






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