↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
我輩は紳士である(猫なのに、異世界召喚されたのだが)  作者: 星宮歌
第二章 反撃のサナフ教国

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
76/264

第七十五話 欠片の持ち主

 我輩、少し前まで不思議に思っていたことがある。それは、どうやったら、欠片の持ち主を見極められるのかということ。そのことに関して、特に何も知らされていない我輩は、不思議でならなかった。


 初めてサリアーシャと会った時、それは良く分からなかった。しかし、次に会って、欠片を回収した時に、感じられたものがある。


 気配だ。気配が、他の者とは違うのだ。欠片を回収した途端、その気配は感じられなくなったが、独特なものであることに変わりはない。そして、他に気配の異なる者と、我輩はすでに出会っていた。


 仮面の魔族。やはり、最初に会った時には意識していなかったせいで良く分からなかったものの、二度目に出会った時、何となくサリアーシャと同じ気配をしていることに気づいていた。つまり、あの仮面の魔族も欠片の持ち主ということだ。


 そして現在、我輩の前に新たな欠片の持ち主が現れていた。言わずもがな、バルディス達を捜している時に出会った男の子である。



「にゃあ(これは、調べた方が良いのであろうな)」



 不幸の欠片と呼ぶべきそれを持っている気配を、目の前の子供が漂わせていることから、我輩、早急な解決が必要だと判断する。見た目は元気そうでも、何か大きなものを抱えているに違いないのだから。



「しー、静かに。騎士に見つかってしまうよ」


「にゃ? (騎士?)」



 静かにと言われて、声を落とした我輩は、男の子の言葉を聞き返す。しかし、もちろんただの人間に通じるわけもない。



「マウマウが多いのに、良く生き残れたなぁ。飼い猫だろうに」



 男の子はしゃがみこみ、我輩の頭を撫で撫でとしてくる。



 うむ、そこそこ。気持ちいいのだ。



 いつの間にか、我輩、喉を鳴らしていた。しかし、我輩、すぐに(五分くらい後)役目を思い出してハッとする。こんなところで癒されている場合ではないのだっ。



「にゃー? (とりあえず、着いていっても良いだろうか?)」


「ん、あぁ、随分長居してしまったな。気をつけて帰るんだぞ。猫」


「にゃにゃ(まぁ、通じないのは分かっているから、勝手に着いていくのだ)」



 せめて、この男の子がどこに住んでいるのかくらいは知っておきたいところ。経験上、怒られるとしたら男の子が我輩を家の中にまで連れていってしまった場合のみなので、我輩、立ち去ろうとする男の子の後ろを分りやすく歩く。

 ようは、家の中に入りさえしなければいいのだ。


 数歩も歩かないうちに、男の子はさっと我輩の方を振り向く。そして、着いてきているのが分かったのだろう。『お前は家に帰らなきゃダメだ』と言って、また歩き出す。……ここは、粘り時なのだ。


 何度も何度も振り向いて困った顔をする男の子を見て、我輩、ちょびっと申し訳ない気持ちになりながら、それでも着いていく。すると、最終的に、何かの茶色い看板を掲げている建物に、男の子は入っていった。


 もちろん、我輩にはさっさとここから去るように告げてから。



「にゃにゃあ(この場所は覚えておかねばならないな)」



 土地勘はなくとも、道を覚えるくらいのことは……多分、きっと、できる。万が一、忘れたとしても、この建物の看板を覚えておけば大丈夫なはずだ。



「にゃあにゃーっ(それでは、バルディス達を捜すのだっ)」



 たっぷり十分ほどそこに立ち尽くして場所を覚える努力をした後、我輩は動き出す。



「にゃー(どこなのだー)」



 心細さで泣きそうになりながら。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。