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我輩は紳士である(猫なのに、異世界召喚されたのだが)  作者: 星宮歌
第二章 反撃のサナフ教国

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第六十七話 美形の救い主

 おほんっ。私の名前はデイブ。決して、真ん中の文字を取ったり、消したり、隠したりして呼んではいけない。そんなことをすれば、私のハートにザックリと傷ができてしまう。何度でも言おう。私の名前はデイブです。デイブ。


 さてさて、そんな私はしがない行商人です。今は、妻と娘を連れ、砂漠越えの真っ最中。しかし、そんな時に現れたのは、『砂漠の覇者』と呼ばれ、恐れられているジャイアントスコーピオンでした。もはやお先真っ暗の絶望的な状況に、私、心臓がバックンバックンと破裂しそうな思いをしました。

 サンドホースと呼ばれる砂漠で活動する灰色の馬を繋いだ馬車を走らせ、私達は必死に逃げました。しかし、世の中は無情。サンドホースは、無茶な走りを続けたせいで倒れてしまいます。ついでに馬車も倒れて、私はボフンっと外に投げ出されてしまいました。



「ニーナ! ソフィア!」



 砂漠の覇者《ジャイアントスコーピオン》が迫る中、咄嗟に思ったのは、最愛の妻と娘を守らなければということ。私と同じように馬車から投げ出され、意識を失ったらしい妻と娘の名前を呼び、二人を庇うようにして私はその身を投げ出します。私のこのポヨンポヨンなお肉を食べて、満足してくれることを祈って、必死に砂漠の覇者《ジャイアントスコーピオン》の前に立ち塞がります。


 迫る砂漠の覇者《ジャイアントスコーピオン》に、私はこれまでかと、目を閉じました。


 ……しかし、私のその認識は、すぐに覆されることとなりました。視界が悪い中、私は、確かに、砂漠の覇者《ジャイアントスコーピオン》が頭から地面に埋もれる瞬間を見たのですから。



「タロ、そのままそこに居ろっ! 『紅蓮弾(ぐれんだん)』」


「では、私の番ですね。『大滝(おおだき)』」


「『影斬(えいざん)』」



 次々と何者かの声が聞こえ、突風が吹き、私はそこで太い足に力を入れて踏ん張ることに精一杯でした。そして、ようやく風が収まり、砂で覆われた視界が晴れてくると、信じられない光景がそこには広がっていました。



「ジャイアントスコーピオンが……あの、砂漠の覇者が……」



 細かく切断され、事切れた砂漠の覇者《ジャイアントスコーピオン》。その傍らには、ターバンを巻いた美しい男女が三人と、どこか体型に親近感を覚える紳士服を着た白猫。


 どうやら、私達は助けられたようでした。それも、信じられないくらいの強者によって。


 私は、ひとまず倒れた馬車を土魔法で持ち上げて元に戻し、妻と娘をその中に連れて行きます。サンドホースの様子も確認して、しばらく休めば問題なさそうだと分かれば、私がするべき大切なことはあと一つ。美形集団へのお礼を言うことです。



「あ、あのー?」



 美形集団は、どこか急いでジャイアントスコーピオンの肉を回収しており、少し話しかけづらかったが、思いきって無駄に大きなお腹から声を出す。



「ん?」


「にゃ?」


「はい?」


「?」



 猫まで返事をしたのには驚いたが、近くで見ればますますこの美形な方々が輝いて見える。



「助けていただき、ありがとうございましたっ」



 あまりの輝きに、直視できないとばかりに、私はお辞儀をしてお礼を告げる。



「「「誰?」」」

「にゃ?」



 しかし、返ってきたその思わぬ言葉に、私はそのまま硬直してしまうのだった。

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