第百六十七話 セイクリアの町(三)
「なーお? なー(何用だ? 小僧)」
「にゃあ(うむ、情報がほしいのだ)」
我輩、現在ボスと対面中なのだ。ボスは、緑と黄色と赤の三種類の毛を持つミケという名前の同胞で、どこか懐かしい色合いのような気がするのだ。そう、あのチカチカ点滅したり、色を緑から赤に、もしくは緑から黄色とか、黄色から赤とかに変わるやつなのだ。
それの名前を思い出せない我輩は、とにかくそんなものがあったと思いながら、単刀直入に用件を告げる。
「なー。なーお(情報か。ならば、俺を倒せたら何でも集めてやろう)」
痩身のミケは、ギラギラとした目で我輩を挑発する。ただ、そうなると……我輩、手加減を頑張らなければならなさそうだ。紳士として、手加減をするというのはどうかとも思うが、我輩、手加減しなければ殺してしまう。
「なー? なぉ? (どうした? かかって来ないのか?)」
「にゃー。にゃあ(ちょっと待ってほしいのた。どれくらい手加減すべきか考え中なのだ)」
そうして我輩、つい思っていることをそのまま口にしてしまい……あっと思った時にはもう、ミケは毛を逆立ててお冠状態だった。
「ふしゃー? ふしゃーっ(手加減だと? 舐めるなよ小僧っ)」
当然、ミケは我輩に向かって走ってくるわけで……。
「ふしゃーっ(このっ)」
ヒョイ。
「ふしゃーっ(そいっ)」
ヒョイ。
「ふしゃーっ(避けるなっ)」
ヒョイ。
「ふ、ふしゃーっ(よ、避けるなよぉっ)」
ヒョイ。
我輩、全ての攻撃を避けながら、考え込む。どこまでの力なら、酷い怪我をさせずにすむだろうかと。若干涙目になっているミケに気づかないまま。
「ふしゃーっ(今度こそっ)」
「にゃ? (むっ?)」
我輩、いつの間にか壁際に追いやられていたらしく、このままでは攻撃が直撃するというところであった。そのため、我輩、咄嗟にジャンプする。……それなりの力を込めて。
「にゃ? ふにゃあぁぁぁあっ(むっ? しまったぁぁぁあっ)」
我輩が力を込めることはすなわち、それだけのジャンプ力を発揮するということ。前は助走をつけてのジャンプであったため、前の時の方が高さはあったが、それでも今回も充分に高い。一瞬だけ、屋根の高さを飛び越えて、我輩、自由落下を始める。
「ふにゃあぁぁぁあっ!! (軽量化ぁぁぁあっ!!)」
「なっ? (ぬっ?)」
そして、落下した先は……。
「みぎゃっ(ふぎゅっ)」
「にゃっ!? にゃーっ(ミケっ!? わー、すまないのだーっ)」
我輩、どうやらミケの上に落下してしまったらしい。ミケは我輩の下で、完全に伸びてしまったのだった。




