トーナメント
少年編
昼食を食べ終わったシオンとサラは訓練場へと向かった。
訓練場に着くと大方の生徒は集合しており、すでに準備運動をしている者もいた。 シオンは訓練が始まるまでの間、みんなを観察することにした。
最初に目に入ったのは、風でボールを浮かせている少女だった。
見ていると、1分もたたずに風はなくなり、ボールは落ちた。
「あー、やっぱり持続しないなー。もっと成長しないとあいつに笑われちゃうじゃない!」
あいつとは誰なのかそんな疑問を持つところだが、シオンにはそんなことより目の前で起きた出来事に感動していた。
「(あれが魔法か!すげー!)」
シオンは他にも魔法を使ってる人がいないか観察してみた。
そうすると、女の子たちに囲まれた男がいたので見てみると
「今回の訓練では、トーナメント戦をやるみたいだよ。僕の事応援してくれるよね?」
「うん、するするー!」
「ギルくんならサラにも勝てるんじゃない?」
「どうかなー、サラの家は名門中の名門だし、僕とは才能が大違いだ」
「ギルくんの家も名門でしょー」
「あの子リーダーだからって調子のってるし、いい加減やっつけちゃってよー」
「困ったなー」
ギルはそう言いつつも、満更でもなさそうだった。
それを見てシオンは、
「(アイツは嫌いだ)」
と、率直に思った。
「(それにしても、トーナメントか。魔法は使えないが、コルド村では獣相手に鍛えてきたからな、ここにいるやつらはまだ実戦なんてしたことないんじゃないか?そうだったら俺にも勝てる可能性全然あるよな、もし1番になっちゃったりしたらどうするよ!)」
と、浮かれていると
「ウオォォォッッ!!!どいつが相手だろうがブッ飛ばす!!!」
大の大人でも瞬殺されるのではないか思うような凄まじい体格のおっさn...いや、生徒が見えた。
それを見たシオンは、
「(2番でも充分だよな、うん。てかホントに俺と同じ年か?)」
と、不思議に感じながらも他の生徒を見渡していると時間になった。
「はーい、みんな集合してるかしら?訓練を始めます」
エリアも訓練場に現れ、そう言った。
「シオンくん、学園内はどうだった?」
「めちゃくちゃ広かったなー、後、サラと食堂のご飯食べたけどあそこの飯は最高だね」
「あそこのご飯美味しいわよねー。サラさんとも仲良くなったみたいで良かったわ。今度一緒に食べに行きましょ、もちろんサラさんもね」
エリアは笑顔でそう言った。
「は、はい」
サラの顔は引きつっていた。
「さて、今回の訓練では、新しくシオンくんも入ったことだし、みなさんの実力も確認するためにトーナメント戦を行います。クジで対戦相手を決めます、引いてください」
箱が用意され、その中に入ってるクジを生徒たちは次々に引いていく。
そしてシオンの番になりクジを引くと、「7」と書かれたクジだった。
「おぉ、7か良い数字じゃん。ラッキーセブン!」
エリアがクジを引いた生徒に番号を聞きトーナメント表に書き込んでいく。
「はーい、みんな引いたわね。トーナメント表に対戦相手がのってるので確認をお願いします。左から順番に行っていくのでよろしくねー」
そうすると、各自トーナメント表を確認しシオンも確認のためトーナメント表を見た。
「俺の対戦は3番目か」
「(対戦相手は誰ですかねー)」
見ると、シオンの対戦相手にはグレンと書かれていた。
「グレンか、どんなやつなんだ」
「グレンは俺だぁ〜」
「え」
シオンが声のする方を向くと、さっき見た筋肉お化けがいた。
「シオンっつったか、楽しみだぜぇ!せいぜい楽しませてくれよ?」
「あ、あぁ、よろしくな。俺の方こそ楽しみしてるよ」
そう言ってシオンは颯爽とその場から離れた。
シオンは歩きながら、
「ヤバイヤバイヤバイヤバイ!!!なんで一発目であいつなんだ!?」
シオンはかなり焦っていた。正直帰りたかったが、シオンが頭を抱えていると、
「では、1番目に対戦する人は準備してー」
エリアが対戦を促した。
焦っていたシオンだったが、自分の対戦のことは忘れてここの生徒の戦いの方で頭がいっぱいになっていた。
「(精霊師を目指すやつらがどんな戦い方をするのか楽しみだな)」
「では、1番目の対戦を始めます。両者準備はいいですか?」
「「はい!」」
「では、始め!!」
エリアの掛け声と同時に生徒たちは詠唱を始めるのだった。
3回目の投稿です。なかなか進まない( ̄^ ̄)