刺青と伝承
よろしくお願いします。
あれはあたしがまだ5歳の時のこと。
特にやることも無く暇だったあたしは、図書室で本を読んでいた。
そこで見つけた1冊の本があたしの人生を変えたんだ
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その本は伝説や民話の本が集められた棚にありました。
「まちよいのぶき?」
何でしょう?少し難しそうだけど、
とっても気になります。
早速椅子に座って本を開きます。
~待宵の武器~
昔から、武器商人達の間で語り継がれている言い伝えがある。
この世には、生まれながらにして使い手が決まっている武器がある、と。
そういう武器には必ず、その武器を象徴する紋様が彫られている。
そして、武器の使い手まも、体のどこかに武器と同じ紋様を持つ。
武器が使い手と出逢えるかは分からない。
使い手が誰なのか、知っているのは武器自身と、武器と使い手を繋ぐ者のみ。
出逢えないかも知れない者を待ち続ける武器と、その使い手の関係はいつしか恋人に例えられ、
武器を「待宵」
使い手を「待ち人」
武器と使い手を繋ぐ者は「仲人」
と呼ばれるようになったー
「紋様…」
私は右の掌を見つめました。
そこには、まるで刺青のようなあざがあります。お父様曰く、このあざは生まれつきあったそうです。
「私は、待ち人…?」
すると突然、何の前触れもなく私の中に大量の記憶の波が押し寄せてきました。
「…っ!なにっ…!これ…!」
普通の人では有り得ない、何百年という膨大な人生の記憶が一気に流れ込みます。
その流れに飲み込まれて、私は意識を失いました。
主人公は貴族の英才教育を受けているため、
前世の記憶が蘇る前からかなり大人びています。