港町サルフ
港町サルフ。
ガルテ王国最大の港町にして、海を通る船団の補給地点として繁栄してきた港町。多くの商会の本部支部が在り、その恩恵に預からんと自然と人が集う。さらに、サルフ周辺はモンスターが多く生息する地域が多い事から、冒険者達の拠点としての一面も持ち合わせている。
冒険者とは、モンスターを狩る事でその素材などを売る事で生計を立てる者達だ。冒険者と言っても、皆が皆モンスターと戦う訳ではなく、護衛を専門とする冒険者、モンスターとは戦わず、希少な植物を探し求める冒険者、中にはどこかの雇われとなって働く冒険者、様々な者達が今日もその日の食事と酒、娯楽の為に武器を手に取り成功者達の後に続かんと生活している。
「紫電」の名を持つ冒険者がいる。名をアリュエ。
敵の攻撃の届かぬ絶妙な間合いを見極め、長剣の一撃を叩き込むサルフでもそれなりに有名な冒険者だ。
彼女はその腕を見込まれ、金貨40枚という破格の給金でロージス商会専属の冒険者となった。
彼女が専属となって以来、積み荷を盗賊やモンスターに奪われる可能性が半分以下となった事で、彼女はロージス商会から絶対の信頼を寄せられている。
高潔ではあるが高慢ではない。その人柄を慕う者は多く、庶民や同業者との繫がりも多い。そんな絵に描いたような理想の女性。
数日前から交易ルート付近に現れるようになったハードラースベアの討伐に一人で向かっていたのだが、今日彼女は帰還した。
サルフの住民達は彼女が無事であった事を喜び、馬で帰ってきた彼女に挨拶をし……そして驚く。
なにせ、彼女はハードラースベアの素材と一緒に、意外な土産を持って帰ってきたのだから。
「へぇ、ここが港町サルフ。」
「中々良い所だろう?」
「ええ、騒々しくて活気に満ちてるわね。」
大きな馬の背の上、アリュエの後ろに横向きに腰掛けるミツキは初めて乗る馬に内心感動しつつ、町並みを観察していた。
成る程、確かに巨大な街だ。宿場を出てから一日程かけてここに来たのだが、本当にアリュエを見つける事が出来てよかった。恐らく川を下っていれば海にはたどり着けたかもしれないが、ここにたどり着くのは難しかっただろう。
馬は騒々しい人の波をかき分けるように進んでいるが、ここを徒歩で通るのは難しいだろう。
街道には多くの屋台や出店があり、客寄せの声が幾つも重なり合い、人の多さも相まって大きな喧噪を形成していた。少し遠くを見てみれば、青い海が広がっており、幾つもの帆船が停泊、着港、出港している。
その光景はまさに中世ファンタジー。
「しかし……なにか視線を感じるわね。」
「ははは、それは君の美貌とその服だろうさ。ここらでは見ない格好だからね。」
「それ、口説き文句?」
中身が男なので、微妙に惚れそうである。しかし残念なのは自分に百合属性が無い事だろうか。とはいえ男と付き合う気も無し、独り身でいいのだ。
などと大義名分を作っているが、自分の情熱の結晶である深月を誰かとくっつけたくないだけである。
「今から依頼達成を報告しに組合に行くのだが、いいかね?」
「ええ、私は構わないわ。」
特に使命もない風来坊だ。目標はあるが、ぶっちゃけ連絡手段があるのでそこまで切羽詰まっている訳でもない。それに今は向こうが自分の現在地を割り出すのを待っている現状だ。
「ああそうだ、今のうちに聞いておこう。」
「なにを?」
「いや何、ハードラースベアを瞬殺する強者が何故今まで名前すら知られてなかったのか、をね。」
「それは簡単な話よ、私が小さい村から一度も外に出た事が無かったからよ。最も、友人を捜すって目標が無かったら出る事も無かったかもね。」
既に自分の過去の設定は考えてある。どんな質問を投げられてもミツキは確実に答えられるだろう。
「そうか……その強さの秘訣を聞いてもいいかな?」
「強さの秘訣?そうね………作業、かしら?」
「作業?」
「どんな攻撃が来ても最適な回答を、考えるまでもなくただ当然の行動として……眩しいから瞼を閉じるように当たり前の動作としてただひたすら繰り返し続ける事かしらね?」
あとは目当てのアイテムを手に入れるという物欲の情熱だろう。
「ううむ……分かったようで分からないような。」
「ふふふ、若人よ存分に悩みなさい、ってね。」
そういえば、この身体の年齢は幾つなのだろうかとふと疑問に思うミツキ。中身は20歳童貞だが、外側は違うだろう(処女なのは間違いないが)。
レベル=年齢ならとんだ見た目詐欺になるし(アヤカシ的には正しいのか?)、この異世界に来た時間ならば生後三日ほどになってしまう。
「ううむ……」
「ミツキ、到着した。」
「あらそ………すごく、大きいです……」
見た目的にはJKかJDくらいだが、煙草とか吸ってるし20歳くらいと言った方が良いだろうか、などと思考の海に沈んでいたミツキを引き戻したのは、巨大な建造物だった。
城……ではない、巨大な何かの亡骸を骨組みとして使っているのか、木と石煉瓦の外観だがその姿は生物的だ。入り口にはでかでかと看板が立てかけてあり、そこには「冒険者組合【サルフェール】」と書かれていた。
「なにせ、この街の由来になったモンスターの骨をそのまま柱に使っているからな。」
「サルフって名前の?」
「ああ、伝承と骨が残るのみだが、それは巨大なモンスターだったそうだ。」
「へぇー……」
全体は分からないが、鯨だろうか。東京ドームよりは小さいかもしれないが、そう錯覚するくらいには巨大な建造物であった。
馬屋に馬をつなげた後、ミツキとアリュエはサルフの口……もとい入り口から組合の中へと入って行く。
「これは……凄いわねぇ……」
「一応この街の名物に数えられているからね。」
組合内部は、巨大な酒場となっていた。酒を供するだけではなく、結構本格的な食事も振る舞われているようで、今は午前故にそれほど人が多い訳ではなかったが、ところどころで食事をしたり、日が昇っているうちから酔いつぶれている風景があった。
そんな「いかにも」な光景に、目を輝かせるミツキ。その様子を微笑ましげに見つつも、アリュエは依頼を取り扱うカウンターへと歩いて行く。
「やぁ。」
「アリュエさん!お帰りなさい、依頼は達成されたんですか?!」
「ああそれなんだが……私はハードラースベアを倒す事が出来なくてね。」
「え、それじゃあ……」
「いや、危ない所を彼女に救ってもらってね。ミツキ!いいかい?」
受付嬢と言葉を交わしていたアリュエがミツキを呼ぶ。冒険者の一人が美味そうに食べていた海老と蟹とクワガタが悪魔合体したような生物を興味深げに見ていたミツキは、その声に顔を上げ、受付の前へと向かう。
「何かしら?」
「討伐の証拠としてモンスターの素材を見せなくてはならないんだ、それを広げてはくれまいか?」
「いいわよ。」
ミツキは一度中に入れてあった牙と爪を机に並べた後、勢い良く毛皮を広げる。力持ちの妖気も手伝ってか、到底一人では広げられない大きさの毛皮が風を起こしながら大きく広がる。
旗のように棚引く巨大な漆黒の毛皮に、組合内の目が集まる。
「こ、これはまた凄い……っ!」
「通常個体の二倍はあったからね……特大の大物だ。剣が通らなかった時は死を覚悟したよ。」
「そ、それほどのを彼女が……?」
「ああ、しかも瞬殺だ。」
「それは………」
「彼女自身旅人だというし、ここに留めるのは難しいかもしれないが……」
「……分かりました。後でそれとなく誘ってみましょう。」
「ねえー!もういーい?」
ばっさばっさと毛皮を振り続けるミツキ。もういいとの命令を受けたので、毛皮を振るのをやめて雑に折り畳む。
「私は報酬や報告などで席を外すが……悪いが、暫くここで待っていてはくれまいか?無論、食事代くらいは出すさ。」
「やった。あと、ここって換金とか出来たりする?」
「ああ、その毛皮を換金するのか?」
「それもあるけど……」
ミツキは、懐から例の小判を三枚取り出し毛皮の上に乗せる。
「どうせならこれも換金してほしくって。」
「これは?」
「アリュエが言ってた通りなら……古代技術由来の金貨、かしら」
「なにっ!!?」
アリュエだけでなく、受付嬢すらもカウンターから乗り出し小判を凝視する。その食いつきっぷりに思わずのけぞるミツキ。
「こ、これ自体に不思議パワーはないわよ?ただの金、ゴールド。オッケー?」
「……いやミツキ、これが本当に古代技術由来だとしたら、相当な値段で取引されるぞ……?」
これは、下手を打つとぼろが出てしまうかもしれない。そう危惧したミツキは慌てて保険をかけていく。
「と、といっても例のアレと同じ場所から出てきたものだからそうかなー?ってだけで実際は違うかもしれないからね?」
「そうか……だが、仮にただの金だったとしても価値は高いだろう。」
「分かりました。ではこの金貨三枚とハードラースベアの毛皮、牙、爪を鑑定させて頂きます。」
「お願いね。」
毛皮などを渡し、ミツキは貰った食事代の銅貨を握りしめて何を食べるか物色することにしたのだった。
……………………
………………
…………
……
「なんだろう……カニカマになりたい蟹のようなこの食感……」
エビカニオオクワガタを見つけたミツキは早速それを頼んで実食していたのだが、なんともいえない食感に選んだ事を後悔していた。不味くはないのだが、高級食材だと食べてみたら素人でも分かる安物だったかのような微妙な気分に苛まれる。
「ハズレだったなぁ……あっちのピザの親戚みたいなやつの方がよかったかも」
真っ赤に茹で上がったエビカニオオクワガタの大顎を弄っていると、なにやら組合内がざわめき始める。
「………見ろよ、竜の鐘の奴らだ。」
「………確か昨日ギガンテスの討伐に行ったんじゃないのか?」
「……あの表情、失敗したとは思えねぇ。速すぎるだろ……」
「……流石はSランクチームだな。」
小声で交わされる会話を傍受する限り、所謂トップランカー的なチームのようだ。その個性的な面々を見て、ミツキはすでに懐かしさすら感じるオンラインゲームをしていた時を思い出す。
最速組とどちらが先にイベントボスを倒すかで競争した事や、アヤカシ戦記オンラインではアヤカシ達がレベルアップする為の被害者となるNPCヒューマンの中でも高レベルな騎士団ヒューマンを纏めて化かして鬼レベリングをしたり………まさかこんな事になるとは思ってもいなかったが。
最も、非現実的なゲームをやっている以上、少しくらいはこういうファンタジーに憧れていたのだ。実際に「それっぽい名前」「それっぽい反応」「それっぽい連中」の三拍子が揃うと興奮もするものだ。
料理と一緒についてきたやたら酸っぱい柑橘果実にエビカニオオクワガタの大顎を突き刺しながら、件のドアベルだったかのメンバーを観察する。
先頭を行く二人。一方は胸にSのロゴが入った新聞記者じゃないのか、と言いたいくらいのナイスガイ。鎧の上からでも分かる逆三角形ボディに嫌みを感じさせない笑み。背筋は常にピンと伸びており、背負っているのは槍斧だろうか。余計な装飾の無いそれは無骨ながら良いものを使っていると(ゲーマー的にはレア度が高そうに)見える。
その隣を歩いているのは、なにやら魔法使い然とした女性。流石にミツキがイメージする黒ローブに尖り帽子、とまではいかないが、要所要所を守るプレートの他は、殆どが布製だ。肩は革製のケープで覆われ、動きやすさと防御力の均衡が丁度真ん中の膝丈のスカート。髪の毛を後ろで一本に纏め、それを首筋から前へと垂らしている。そして、持っている杖が素晴らしい。塗装ではない元から白い木を基幹に、先端には青い宝石が木彫りの竜の目の位置に嵌め込まれている。明らかに打撃には向いていない杖、格好からミツキは彼女を魔法使いと断定する。
つまり、この世界には魔法が存在するという事だ。
他の面子もそれなりに個性的だが、そんなことよりも魔法を自分も使う事が出来るのかのほうが気になるミツキ。
(やっぱり魔法と言えば炎とか雷よね。狐系アヤカシは狐火を使えたけど狸は腹太鼓なのよね……見た目的にあんま使いたくないんだよね……)
ただひたすら腹をべちべち叩き続けるエフェクトは、なんというか遊んでいる風にしか見えないのだ。
心のどこかで絡まれたりしないかなー、と期待していたミツキだったが、彼らはこちらを気にする風もなくカウンターへと向かって行った。
内心舌打ちしつつ、普通に考えればいきなり絡むのは非常識であるし当然か、と思い直しエビカニオオクワガタをいじくる作業に戻る。
「これ、前に歩くのかしら。横歩きなのかしら。」
そんなことを考えていると、組合内の空気が張りつめる。こっち来る!?と期待を込めて顔を上げると、ドアベル達は……アリュエに話しかけていた。
「………くそう。」
見事に肩すかしを食らった訳だが、知り合いであるアリュエは言わば身内、身内が絡まれているなら介入しても問題あるまい。いやむしろ友情を感じるならば今すぐ介入するべきである。
決して自分からイベントを起こしたい訳ではない。訳ではない。
「私の意志は変わらないぞヘレーネ。」
「貴女の力はソロに向いていません。それは貴女自身が一番分かっているのでは?」
「私とて不利な相手に突っ込む蛮勇は持ち合わせていない。仕事は選ぶさ。」
「なにも今すぐ商会と手を切れ、と言っている訳ではないのです。我々竜の鐘に加入して頂けるならばロージス商会の依頼を優先的に……」
「はいはいはいお話の途中すいませんねー。」
「ミツキ!」
話を聞く限り、アリュエをチームの一員に勧誘しているようだ。そして、アリュエはそれを受けるつもりは無い。そこまで分かればミツキのやることは決まっている。
「悪いけど私の方が先に予約を取ってるの。勧誘はまたの機会にお願いできるかしら?」
チームの一人、見るからに粗暴そうな男を押しのけ、アリュエと魔法使い然とした女性……ヘレーネの間に割って入る。
「貴女は?部外者が首を突っ込んで良い話ではないのですが。」
明らかな拒絶だが、この程度の煽りに屈していては野良プレイヤーはやっていけない。パーティーに入った瞬間「狸に用はない氏ね」と五回連続で追い出された事もあるミツキのメンタリティはこの程度では揺るがない。
「ふふふ、部外者は貴女よ。彼女には私の財産の換金をお願いしていたの。貴女達がどれくらい前から誘っていたのかは知らないけど、この場においては私が先。」
「む………」
正論に口を噤むヘレーネ。その隙に、ミツキはアリュエにだけ見えるようにウィンクをする。
「それにアリュエ、貴女さっき私に会わせたい人がいるって言ってたでしょ?待たせちゃ悪いし早く行きましょうよ。」
「………そうだな。すまないが私はこの後所用があるので失礼させてもらう。」
アリュエが察してくれた事に内心安堵しつつ、ミツキはアリュエの背を押しその場から去る……が、
「おう待てや獣畜生。」
「んー?」
肩を掴む手を振り払い、さりげなくアリュエを遠ざけてからミツキは己に触れる不埒者へと振り向く。
それは、最初に押しのけた男だった。所謂クローと呼ばれる金属製の鉤爪を腰に吊るしており、先ほどから笑顔で固まっているスーパーマン程ではないがよく鍛えられている。速度重視の戦士だろうか。
「てめぇ、その女は俺た」
プシッ、とミツキの細い指で歪められた柑橘果実から飛び出した果汁が男の目に見事命中する。いきなりのことで唖然とする男の目に、爽やかな刺激が迸る。
「んぐぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!?!?」
「悪いけどナンパはお断りしてるの、ごめんなさいね。」
「こんの……っ!!」
激高した男がこちらに手を伸ばす。その手はミツキの首を掴む軌道だ。
ミツキはそれを避けると、足を払って男の体勢を崩させる。力持ちの妖気の影響か、驚く程簡単に体勢を崩した男の頭を掴んで耳元に口を寄せる。
「あんまり調子乗ってると………去勢するわよ?」
「っっっ!」
男から抵抗の意志が無くなったのを確認すると、ミツキは男の顔から手を離す。そして、ツカツカとアリュエに近づくと……
「…………」
「のわっ!」
「戦略的逃走!!!」
アリュエをお姫様抱っこで抱え上げ、全速力で組合から逃走した。
(や、やべえええええええええ!!追ってきてないよね!!追ってきてないよね!!?)
冷静にアリュエに絡む連中に対処した……と、見せかけミツキの内心は焦燥恐怖その他諸々でビビりまくりであった。
巨大な熊の威嚇には耐えれても、人間一人のガン付けには耐えられないというのもおかしい話だが、現実離れしすぎていると逆に耐えられるものなのだ。むしろ、モンスターどころか猛獣など動物園でしか見た事の無いミツキにとってはむしろ人間が睨みつけてくる方が怖いものがあった。
「……ツキ、ミツキ!!」
「……え、あ、何?」
「そろそろ降ろしてくれ……」
「あ、ごめんなさい。」
抱えていたアリュエを降ろし、もう一度後ろを振り返り追手がいない事を確認して一息つく。
「しかし君は……なんというか、女性とは思えない怪力だな。」
「それは喜んでいいのかしら?」
どちらかというと、それは服による恩恵である。つまり、服を脱いでしまえばただ頑丈な少女になるわけだ。それでも十分戦えるのかもしれないが。
「で、どうするの?とりあえず逃げてきたけど……」
「彼らも悪人ではないのだがしつこくてな……」
確かに何人か根性がねじ曲がってそうではあったが悪人という感じではなかった。本当にアリュエに勧誘を繰り返しては断られているのだろう。
「……ふむ、ミツキ。」
「なに?」
「どちらにせよ馬を預けたままだから一度戻らなくてはいけないのだが……都合が空いているなら私の雇い主に会わないか?」
「貴女の?なんで?」
「………普通、商会と繫がりが持てるのを疑問に思ったりはしないんだがな……まぁ、恩人を主に紹介したいんだ。」
苦笑いするアリュエ。とはいえ、これから何をするにも情報が必要なので流通に詳しいその商会とやらならば色々な情報を仕入れる事が出来るかもしれない。
「……分かった。どうせ暇な風来坊だしついて行くわ。」
「そうか、では一旦戻ろう。……と、その前にこれを。」
組合に戻る足を止めたアリュエは、腰に吊るしていた何かが詰め込まれた袋をミツキに渡す。
「金貨1枚、銀貨13枚、銅貨48枚。あの金貨だが……価値は高いが古代技術のものではなかったそうだ。」
当たり前だ。あれは古代技術ではなく、どちらかといえば現代技術なのだから。
ミツキは受け取った袋を念じる事でアイテム欄へと送り、一度メニューを開いてちゃんと【貨幣入り袋】として表示されている事に満足げに一度頷き………アリュエが口を開いてこちらを見ていることで自分がヘマをした事に気づいた。
「トリックよ。」
「ミツキ。」
「手品よ。」
アリュエはにこやかにミツキの肩をがっしりと掴むと……
「話を聞かせてもらおうか。」
しかし にげられない !
感想等お待ちしております