表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/2

一話 ホワイトベイラ

暇なのでちょくちょく書いてたら2時間位でかけました

いつこれくらいのペースだと……おかしい所があれば教えて下さい

最終訓練を終えてコクピットから出ると、監督が待っていた


「今から会いに行く、覚悟はできているな?」

その顔には、できれば合わせたくないという気持ちが窺い知れた


「はい、もう決めましたから」


「……そうか、いいか、お前だけが戦うんじゃないんだ、すべて背負い込むなよ」


「はい」


「ついて来い」




ある部屋の中、照明がその無機質な地面を照らす


「事情は聞いているだろう、君たちは人質だ、申し訳ない限りだが、今のところは返すことができない」

監督官のその言葉に罵声が飛ぶ


「ふざけんな!返せよ!」

「お前らなにしてるかわかってんのか!直ぐに警察が来て捕まるぜ!!」


いまだに理解してないかの声が溢れ、しまいには泣き出す声まであふれだす


「もういやァ!返してよぉ!お母さん!!」


その声に申し訳ないように監督官は語る


「だが、だが君たちは望まない限り安全な場所にいることができる、この世界を破壊する、トレートに勝つまでは、守り通すと誓おう」


「じゃあなんで、なんでこんなところに俺らはいんだよ!!」


監督官に飛ぶ罵声


「二人の君たちの友人が、戦うことを決めてくれた、もっとも素質のある二人だ、彼らがいなければ、君たちは戦場に居た」


「誰だよ、それ!」


「二人とも、出てきてくれ」


その声に促されて、僕たちは彼らの前に姿を晒す


「最も適正が高かった、檜原数馬、そして町田忠生だ」


その姿に、彼らがざわつく

かたや、クラスの人気者

方やクラスの嫌われ者

そうなるのもしかたがないか、と諦める


「彼らが戦うことで、君たちは戦いを望む物以外安全な場所を確立できる」


「無論、一部の者が戦いをのぞめば、適正によってはだが訓練を行い、戦場に出ることもできる」


「なら俺行く!」

そこに声を上げる少年の声


「俺だったらロボット好きだし檜原より強いぜ!」

赤坂芝、おなじクラスのやつだ、

入学当初は、同じロボット好きとして盛り上がったものだ


「……檜原数馬は、訓練中に遭遇したトレート1体をフレーム用高周波ナイフで倒している、君にもそれ以上のことができると?」


赤坂が俺を見つめる、それは嫉妬の目であり、羨望の眼差しだった


「いや……それはわかんないけどよ、どうせ偶然だろ?」


赤坂の言葉に、監督官がイラつく


「なるほど、初戦でまともな武装もない状態で腕に取り付かれ、その左手を自ら切り落とし、もう一本でトドメをさしたことが偶然か、すばらしい運命だな」


「知らねぇよ!いいから俺にも乗らせろよ!」

赤坂の怒号に、呆れたように彼は赤坂の要求を受け入れた


「はぁ……わかった、赤坂芝をB適正パイロットとして受領、明日から訓練に入る」


「よっしゃあ!」

そういって、赤坂はこっちを見る


負けない、という目だった


そして、彼の本当の心が垣間見えた気がした


「他に希望者はいないな? 別に今決めなくてもいい、君たちには個別の部屋があてがわれる、そこにある電話から電話帳にある私への番号で伝えてくれれば、いつでも受領しよう」


ただし、と彼は続ける

「適性がDの人間は少数だがいる、君たちにはすまないがオペレーターしかできない、直接戦うことはできないからな、それは覚えておいてくれ」


「質問があります!」


黒髪の少女が立つ


「なんだ、言ってみろ」


「私の適性はいくらなんですか」


ふむ、と監督官はファイルをめくる


「三鷹牟礼(ムレ)…適正A、ただし機体の重装甲に耐えられない可能性あり、とあるが……?」


「私はここに来る前には生徒会長をしていました!みんなの責任は私が持つべきです!私も行かせてください!」


その声に、監督官は笑う


「言うなぁ、お嬢ちゃん 言っておくが、お前たちの『監督官』は私だ、それに檜原を差別していたようなことを許容している奴に責任はもたせられない」


その言葉に三鷹は動揺する


「そ、それは……ですが私はやっていません!」


「ふざけるな!!」

その声に、空気が震えた

「っ……!」


「お前は自分がやってないから構わないという気か! 檜原はお前たちの命を賭けてるんだ! 自らを虐めていた奴らを、町田が守りたいと知っているから、彼は守ると言ったんだ! その覚悟がわかるか! 恐怖がわかるのか!」


「それ……は」


三鷹はこっちを見て、恥ずかしそうに目を背ける


「守って……くれるなんて」


「……まあいい、以上で解散だ、部屋は外に出たら書いてあるはずだ、そこに行った後に電話で報告をくれ」


その声に、多くの生徒達が悪態をつきながら帰っていく


「……ふたりとも、すまないな」


「いえ……」


「大丈夫ですよ!要はトレートをやっつければいいんでしょ?」


元気そうに町田が答える


「まあな……現在適性がSの人間は君達を含めて5人いる、おそらくもう少しはいるだろうが……」


その言葉に町田が疑問に思ったのか、問いかける


「なんでもう少しいるなんて思うんですか?」


その質問に少し呆れたように監督官は語る


「対策軍といえど一枚岩ではない……こんな時だというのに、悲しいことだよ」


「それは僕達を呼ぶことも、でしょう?」


「……かもな」


近くの箱に腰掛け、すこし悲しそうに彼は語った


「多くの人間が死んだ、トレートに殺された、俺も目の前で家族や、恋人や、相棒まで失った」


「……」

僕はその言葉に、何も言えなかった


「目の前で小さな子供まで死んでいった時もあった、なにもできなかった」


「なんで俺だけ助かった、なぜ、そう思っていたら、エースなんて呼ばれるようになった」


「最初は、運がいいだけだったはずだ、だが戦場というものはだんだん運が悪いほうが生き延びていくようになる」


「悪運……ってやつですか」


「そうだな、悪運ばっかり強くて、誰かを見捨てて生きてきたのかもしれない」


「だから、俺の悪運が切れたっていい、俺が死んだっていい、それでもお前たちには生きて欲しい」


「トレイスさん…」


「……悪いな、こんな話して、さあ、演習場にいくぞ」


「…演習場?」

その言葉にふたりとも首を傾げる


「最強のパイロット……Sランクのトップが、お前たちを鍛えてくれる」








鋼鉄で出来たエアロックの扉が僕達の前に、まるで門のようにそびえ立つ


「ここが演習場ミーティングルームだ、中でもう待機しているはずだ、行くぞ」


プシュ、と空気の抜ける音と共に扉が開く


「ああ、来たみたいだな」


それは、金色の髪だった、肩まであるほどの長さに、凛とした 顔立ち


「女……?」


「女性……?」


すると、彼女は苛立つように答えた


「なんだ、戦績のあるものが女では不満か」


「い、いえそういうわけでは……」


僕がそう答えると、女性は考えこむように顎に手を当てる


「ふむ……やはり髪型とかも変えるべきか……?いやしかし……」


「あ、あの……?」


僕が声をかけると、ビクッと体を震わせ、こちらを見る


「あ、あぁ、私がこの基地に所属する、ランク1 ウェールズ・カーディフだ、よろしく頼む」


「この度こちらの世界に来た、檜原数馬と……ちょっと町田」


「あ、まっ町田忠生です!!」


「ヒノハラにマチダだな、よろしく頼む」


「よろしくお願いします」


「よっよろしくお願いします!」


町田……なんでそんなに照れてるんだ?


「よし、挨拶は済んだな、それでは演習に入る、弾丸はペイントダミー弾、ブレードは高硬度ナイフだ、またこのナイフは切断する力はあまりない、だから安心して使ってくれ」


「それではヒトマルサンマルに模擬戦を開始する、それまでは武装の選択なりリラックスなりやってくれ、また出撃準備も行っておくんだな」

監督官のその言葉に、僕たちは個室に入り、パイロットスーツに着替えた


「なぁ、数馬」

モニターに表示される武装、そのスペックを見ていると、突然声をかけられた


「作戦はどうするんだよ」

当然の疑問か、と僕は思う

「小手先のことが通じる相手じゃないと思うけどな、向こうは最強、こっちは一人敵を倒したことがあるだけ、あとはS適正、お互いやりたいようにやるしかないとおもうよ」


「ふーん……」


「まあ、いざというときにはフォローし合えばいいさ」


その言葉に町田は納得したのかそれからは何も言わなかった


『時間だ、機体に乗り込め』


「行こう!」


「ああ!」






『接続を開始しろ』


「っ……やっぱり痛いな…」


『いって!なんだこれ!?』


無線での声が聞こえ、まあしょうがないな、とも思った


『いてて……接続はできたけどっ……と』


「行ける?」


『ああ、大丈夫だ!』


「よし、行こう!」


「TFM-44 ナグル=ファル行きます!」


『同じくナグル=ファル出撃する!』


模擬戦用の大きなフィールド、そこに整備室からカタパルトで一気に飛び出す


ズシン、と地面に降り立つ感覚とともに、目の前に白の天使が降り立つ


「あれは……」


『すげぇ……綺麗だ…』


『私の機体、ホワイトベイラだ、準備はいいな?』


「は、はい!」


『おらあああああ!』


その言葉とともに突如先行する町田


『ほう……作戦など意味が無いと判断したか……褒めてやろう!!』


その言葉とともに、白い機体が左手に携えるライフルから、弾丸が発射される


「なにやってるんだ!」


僕も負けじとブーストをかけながらアサルトライフルをバラ撒く


『よっしゃもらったぁ!』


うまく弾丸を避け、ホワイトベイラまで辿り着いた町田が、腰のラックから高硬度ナイフを取り出し、一気に斬りつけようとする


「コレで……」


違う!


「町田!下がれ!!!」


『はぁ!?なん……チッ…援護しろよ!』


「射線が遮られて……撃てない!」


おそらく彼女は最初からこの状況を狙っていた、僕が援護すると見越して、彼女、町田、僕の形になるように常に陣形をとっている


「町田!一旦後退しろ!」


『くそっ……手を抜きやがって!!』


後退する町田に自分のライフルを投げ渡し、機体の腰に装備されたサブマシンガンを両手に持つ


「アンタの相手は……僕だ!」


『ふっ……面白い!』


ホワイトベイラが高速で移動する中、機体性能から僕は動けないでいた


(落ち着け……彼女の行動パターンを……動き方を見るんだ……)

高速でブーストを吹かし、反転、こちらの機体の後ろへ高速移動、常に後ろを取るように……


「町田!タイミングを合わせてくれ!」


『あ、ああ!』


『もらったぞ!』


「そっちが!!」


相手が町田と僕を両手のライフルで狙い、僕の後ろに張り付いた瞬間……


「その腕、もらったぁ!」


『当たれぇぇぇ!!』


町田が撃ったペイント弾が飛ぶなか、高硬度ナイフが空振る


「くそっ…!」


しかし、ホワイトベイラの左のライフルを弾きあげることに成功した僕はそのままライフルを奪い、後退しながら弾丸をバラ撒く


『やるな……だが!』


その言葉と共に、ホワイトベイラが急速上昇する


「撃てぇぇぇ!!」


『当たれ、当たれよ!!』


お互いが高速で動くが、地上をホバーで飛ぶ僕らと、宇宙を自由に掛けるホワイトベイラでは、明らかに分が悪かった


『一機……もらった!』


『やべっ!弾が……!』


町田の機体が銃を投げ捨てると、右足に装備されたハンドガンを握る


「町田!避けろぉぉ!」


『えっ……うそだろ』


その言葉とともに、町田の機体の右手が引きちぎれる


『ああああああああああああああああ!!!』


『メインシステム切断!モニター再接続!』


『パイロットバイタル安定!』


何が起きたのか、ただ町田の機体のその右手が切れて、飛んでいった


『どうした?もう終わりか?』


「どうしたら…」


こちらも弾薬はほぼ無い、どうすれば……


『こないなら……こちらから行くぞ!!』


「一か八か……やる!!」


こちらへ高速で向かってくるホワイトベイラ、僕も同じ様にホバー移動する


「ここで撃ち切る!!」


両手のサブマシンガンをバラ撒く、それを回避するように、ホワイトベイラは若干右に逸れる


「このまま……」


このまま避けてくれよ……


だんだんズレが大きくなってくるが……まだ……まだだ……


『当たらんぞ! そんなものは!』



今だ!!

「リミッター解除!」

その瞬間、爆発的に上がる推力


「ぐぅぅっ!!」


『貴様まさか! …させない!』


こちらの思惑に気付いたのか、進路を戻す機体


だけどもう……お互い交差してる!

向こうがこちらを向かってくる時点でこちらも爆発的に推力を上げれば、どうあがいても衝突する、だがルート案内してやってそこへ飛び込めば……


「借りるぞ……町田!」


切り捨てられた右手からこぼれ落ちたハンドガンを握り、撃つ


『やるな……しかし!』


「そう簡単に……避けるなんて!」


バケモノか……そう思いながら移動する先に狙い撃つが、弾が当たる寸前でブーストを切り返される


「近付かれてる……このままじゃ……」


ガチッという音とともに、モニターに映るAMMO EMPTYの文字


それを見て高速で向かってくるホワイトベイラにハンドガンを投げつけると、肩に装備してあったスモールブレードを抜く


「でええええやああああ!!」


お互いが接近武装のなか、高速化された思考が敵を見つめる


腕を大きく上げ、袈裟斬りで来る相手に、下向きの剣で対応する


そして……打ち合った


ガキン、という鈍い音とともに機体が震える


「ぐぅぅぅっ……」


『いくらリミッター解除をしていても、所詮は素人の乗った量産機……私には勝てん!』


「ぐああああっ!!!」


機体の痛みを僕も感じる


「機体出力が……違いすぎるっ!!」


『コレで終わりだ!』


突如、スラスターを全開で押し込まれる


バキン!という音がし、敵のロングブレードを防いでいたスモールブレードが折れる


「まず……い!!!」


こちらもブーストを吹かし、横へと移動しようと……


『もらったぞ!』


突如、腹部に衝撃


「がっ……」


突如、モニターが色を消した


負けるのか……?


ここで?


僕は……守るって………



「はぁ……はぁ……サブエンジンは……?」


コクピットを見回す、どこかに…ないのか?


コンソールレバーをいじり回すと、モニターに再起動開始と現れる



『ザッ…‥ザーッ……ヒノハラ機、再起動!』

その雑音とともに、痛みが戻ってくる

「あああああああああああああああ!!!」


痛いなら、やらなくてもいいのに、そう思いながら機体を立て直す


『まだやる気か……』


『面白い……こい!』


ホワイトベイラがロングブレードを持って待ち構える、腰のHFB-44を抜き、町田の機体に装備されたロングブレードを取る


「でええええやあああああああああぁぁ!!」


スラスター全開でブーストをかける


「ぐっ……あああああああ!!!」


右手のロングブレードで斬りかかる…それをまた防がれる


だがこっちには……


「シーナが……あるんだよォォォ!!!」

左手のナイフを突きつけようとスラスターを全開にする

『……やるな…だが!』


突如、ブレードを離し、後退する敵機


「うわっ……まず…」


それにバランスを崩してしまい、ホワイトベイラに目線を向けた瞬間……


『私の勝ちだな』


目の前には(機体)の首にナイフを突き立てようと構える、ホワイトベイラの姿があった


「……参りました」


その言葉で、模擬戦が終了した









「にしてもあの人つよかったなぁ……」

そう呟きながら廊下を歩いていると、委員長の三鷹さんと遭遇する


「あっ……檜原くん」


「……三鷹さん、どうしたの、こんなところで」


「私……模擬戦の動画を見せてもらってたの」


「……そっか、弱かったよね、僕」

「そんなことない!!」

僕の言葉に強く反応する彼女に、つい困惑する


「み、三鷹さん……?」


「あっ……ごめん、でも檜原くんの動き、突然変わったり……はたから見てもその場でよく考えて動いてたと思うよ……」


「そっか……ありがとう」


「う、ううん……私…」


三鷹さんの言葉を切って、僕は聞きたかったことを口に出す


「三鷹さん、未莉ってどこにいるのかな……」


「あっ…未莉さん…あのね……未莉さん以外が、その……こっちに来てるみたいで……」

何、それは


「えっ?このクラス全員じゃ、ないの?」

僕の疑問に答えづらそうに三鷹さんが答える


「うん……どうしてかしらないけど、未莉さんだけ、こっちに来てないらしいの……」


「そ…っか、うん、ありがとう」


「ううん、気にしないで、ごめんね何も出来なくて」


なんで謝るんだろ

「いいよ、全然三鷹さんの責任じゃないでしょ」


「私がいいたいのは……そういうのじゃないよ」


「…?ごめん、よくわかんないけど……これから用事があるから、ごめんね」


これから食事に誘われているんだから、いかないわけにはいかないだろう


「あっ……うん、じゃあまたね」


「……うん」


はぁ、と溜息を付く


「それにしても、変わりすぎでしょ」


前まで、しゃべりもしなかったくせにさ


「あほらし……時間大丈夫かな……」


時計を確認する


よし、大丈夫だ


「ゆっくりでいいかな」


時間はたっぷりある、食堂に行くのはもう少し後にしよう、そう思いながら地図を頼りに歩いて行った

ナグル=ファル(北欧神話ノートの最初の夫であるナグルファルから、最初の機体なので)

ホワイトベイラ→ロキの口論に登場するアールヴ ベイラから

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ