追 章 3 独り語り
この話も、独り語りです。ただ、誰の独り語りかは、読んでか見て下さい。
ヒントは、第一行目です。
第一章 1ページ参考
私は、大学生になっていた。
いつの間にか高校も卒業し、大学の入学試験もパスした。
そして何より、興味のあったパソコンも、ちゃんと使えるようになった。
これは私一人ではどうにもならなかったが、
高校一年の時の同級生に教えてもらって、検定にも合格出来た。
感謝も感謝。
だけど、一緒に卒業する事が出来ず、と、いうより退学していった。
それも一年生の二学期に。
その子は、有名なハッカーだった。
中学の時に逮捕される位レベルが高かった事が原因で、事件に巻き込まれたらしい。
それが原因で退学した。
寂しかった。
だけど、会いに行っても会えなかった。
理由を家の人は教えてくれなかった。
どうも、少年院に入ったとの噂が流れた。
噂ではなく、本当に入っていたらしいと聞いたのは、随分経ってからだった。
もう、その頃には、大学受験などを控えて、その子を気にかけている者はいなかった。
みんな余裕がなかったからだ。
みんな他人事、それも退学していった人の事情まで、手が回らなかった、それが事実だった。
そして、今、ある噂を聞いた。
去年の初夏に某国にホームステイに行った友達が、
某国の小さな花屋で、働くその子を見たというのだ。最初は信じなかった。
でも、花屋と聞いて、もしかしたらそうかもしれない。
そう思った。
私の通った高校は、ITに強く、といっても、当時でその子の技術の方が優れていた。
にもかかわらず、なんでこの学校に来たのか不思議で、理由を聞いた。
すると、こう答えた。
「インターネットとか、もっとちゃんとしくみを勉強したい。
私、花が大好きで、小さい頃に、母から色々教えてもらった。
……将来、花屋になりたいの。
それで、自分が花屋を開いた時に、
花に触れたくてもなかなか触れる環境にない人や、
日本で見られない、珍しい花とかを、
ネットを通じて提供出来るように出来たらいいなって思ってるんだ。
……だって、楽しいでしょ? 花が身近に感じられたら……」
そんな、はっきりと言える夢を持った彼女が、うらやましいって思った。
私もそんな夢が見られたら、勉強も楽しいだろうなって。
だから、花屋で働いているって聞いて、きっと彼女、友延利沙だと思ったんだ。
私は、彼女、利沙といる時、とても楽しかった。
だから、忘れない。
だってあんなに楽しい時間って、利沙といた時が一番だから。
あの時ほど、勉強が楽しいって思わなかったもの。
利沙のおかげで、勉強に対して積極的になれた。
だから、受験勉強も意外に苦痛ではなかった。
利沙に感謝。
利沙といると、いつも何かしてくれそうで、ドキドキしてた。
あんなに刺激的で、楽しい時があったとは、今では信じられない。
利沙は、いつも笑顔で、
「おはよう、香波。今日も楽しいといいね」
そう言って話しかけてきた。
もしかしたら、どこかの花屋で、
「いらっしゃいませ。どんなお花にしますか?」
そう言っているかもしれない。
……なんとなく。
もしかしたら、インターネットのどこかかも。
そう思うと、インターネットを覘くだけで、……ドキドキしてくるよね。
つい、そんな風に考える。
そして、また。
「おはよう。利沙」
そう言える気がする。
花が咲く 第一部 ~その時見た夢~ ―― 終 ――
ここまで読んで頂いてありがとうございました。これで第一部を終わります。
どうでしたか? 誰の独り語りかは、お分かりいただけたとは思います。が、皆さんの予想はいかがでした? 1ページ目のあの言葉を、利沙と思っていただいていたら、とても嬉しいです。
この話自体は、第三部へと続くのですが、今は第二部をお楽しみください。
この後もお会いで来ると幸いです。
ありがとうございました。これからもよろしくお願いします。




