表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異 空 間  作者: 本城沙衣
59/78

* 呪 縛 * 7


姿を見せたといえば、やはり昼間の卓球場の処での不倫らしきカップル。


これは、襲うというより、ただの自縛的な霊。


この世に念を残したまま逝った二人。


もし、旅館の関係者全員がこの世の者でないにしても、これも地縛霊か浮遊霊。


旅館の関係者という位置付けがはっきりしているので、地縛霊ということは確信があった。


あくまで、私の経験からの勘だけれど、悪意なき霊と判断することが出来た。


あの僧侶も同じ。


黙って私たちの前を通りすぎたということは、私たちに気付いていないか、あるいは“悪さ”をしようとした訳ではない。


もしかしたら、実在の僧侶かもしれないし……勘であっても何であっても、実在かそうでないか判断がつかないくらい、その存在自体が薄かった。



残るは、あの温泉で鈴木先輩と一緒にいた白髪の老婆。


あの老婆だけが、私たちを襲う感じだった。


先輩を連れ出そうとした私へ、「ツレテイクナ」と……追い掛けて来た。


そして、夕食の前、フロントへ内線を入れたはずの受話器からの「ソコニイロ」の声は、あの老婆が「ツレテイクナ」と言った声と同じだった。


この旅館に着いてからの様々なことが一気に頭の中に蘇り、臭いと音と声が、私の中で老婆と完全にリンクした瞬間だった。



あの老婆によっての支配!



ということは、数々の怪現象の背景に、あの老婆の取り巻きのような霊がいないことから考えても、相当な強い霊であることは、もやは否定する余地がなかった。


鈴木先輩が無事であったのも奇跡なくらい。


ただ、私たちが、この旅行を企画してから、あの老婆は私たちを待っていたということ。


この旅館から逃れる術は!?


私などが持っている非力では、到底、敵うものではない。


森田先輩にしても、除霊が出来るくらいの人でも、“やられた”くらい。



ここから出ることが出来ないの!




「香里ちゃん!」



森田先輩の大きな声がした。



「しっかりしなさい!」



様々な思いを巡らせ、呆然となっていたであろう私を叱咤するような声で我に返った。 



「すみません!でも、先輩!出ないと!」



我に返ったとは言っても、頭の中は支離滅裂状態の私。


口に出た言葉は、先輩たちがフロントへ行った目的そのもの。



「わかってるって」



呆れ顔の森田先輩。


少しだけ、笑みのような表情を浮かべていた。


呆れた笑み……だったけれど。




「これしかないか!」



突然、鈴木先輩の少し大きな声。



「なに?」



森田先輩と私の同時の言葉だった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ