* 迷 路 * 1
以前、こちらのサイトにて連載しておりました小説ですが、構成に変更がございましたため、新たに冒頭より連載を開始させていただきます。
あれは、5月のG.W.明け。
世間では、長期の休暇気分も抜け、日常の生活を取り戻している時期。
同じ職場の先輩たちふたりと“癒し旅行”を予定した。
道路も観光地も空いているシーズンオフの旅行。
進学塾へ勤めていたことから、基本は日・祝日が休みではあるものの、ある程度は休みの申請は自由がきいた。
「ストレスたまっちゃったから、混雑避けてさ、G.W.明けたら3人で旅行いかない?」と言い出したのは、先輩の事務職の鈴木さん。
「行く行く!」と大乗り気の先輩は教務課の主任、森田さん。
そして、そのふたりの先輩に可愛がってもらっていた私は英語の講師。
それぞれ働いている場所が違ったので、運よく同じ日に休みがとれた。
“運がよく”というのは、今となるとビミョーではあるけれど……。
「じゃ、私が手配しておくからね~♪」
旅行の計画を言い出した先輩の、その言葉と満面の笑みが、何故か未だに鮮明に記憶に残っている。
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いよいよ、旅行当日。
普段から「車の運転はまかせて!」と言っていた鈴木先輩の車で温泉旅館へ向かった私たち。
シーズンオフの平日とはいえ、出勤時間の渋滞などを避けるために、朝の6時に塾の本校がある最寄りの駅で待ち合わせをしていた。
そこから少し車を走らせ、関越自動車道に乗ったのは、朝の6時半。
目的地近くのインターまでは、休憩なしで、およそ40分。
インターを降りてから、予約した旅館までは、旅行会社から送られてきた資料からすると、20分。
待ち合わせの駅から目的までは、概算で、1時間30分。
ちょっとした渋滞にはまったとしても、SAで休憩をとったとしても、どう多くみても、8時30分くらいには、現地へ着いてしまうことになっていた。
なので、心配といえば、「着いてからどうしようか」ということだった。
チェックインの時間には余裕がありすぎるし、現地で遊ぶといっても、まだお店なども開店してない時間なのだから。
「ま、どうにかなるでしょ」
鈴木先輩のいつもの大ざっぱなキャラから出たその言葉に一同納得。
「息抜き旅行だしね。余裕あるくらいがいいでしょ」と、いつも沈着冷静な森田先輩。
「お菓子、持ってこなかった!」と突然叫んだ、天然キャラの私。
車の中は、私のその一言で、一瞬、沈黙になったものの、「相変わらずだね~」と爆笑している先輩たちがいて、女3人の楽しい旅行の始まりだった。
……のはず。




