始まり
半妖鬼という言葉が出てきます。半妖鬼とは鬼と妖怪のハーフです。
二人の間にはいるべきなのか…。考えている時、ふと眠気が襲う。
「紅娜」
美しい顔立ちをした青年が私の顔を除き込む。何となく聖に似ている。
「結ばれないのかな…。鬼と半妖鬼。紅娜の場合、人間も混ざってるよね。ううん、覚醒していないから人間かな」
聖擬きは一人でポツリと呟く。
「紅娜の御両親はきっと認めてくれるよね。お母さんは半妖鬼でお父さんは人間だから…。認めてくれるよね?」
何を話しているのか分からない。
「…い、翠」
体を揺さぶられて目を覚ました。
ぼやけた視界に聖とボスが映る。
「翠、大丈夫?吾が輩、急に翠が倒れるから驚いたよ〜」
「すみません…。もう大丈夫です」
よっこらしょ、と起き上がった。
「あの、決着は?」
ボスは聖を睨んだ。
「翠が倒れたから決着は無しだ。俺が勝つのは分かっていることだが。それに、店内で暴れるのは良くないからな」
聖は首を傾げた。
「お店?」
「骨董品屋です。刀とか色々…。」
聖は「なるほど」と頷き店内を見渡す。
「翠、あの刀は何だ?見たことあるのだが」
入口付近にある刀を指差して聖は訊いた。
「椿丸という刀です。昔、鬼が使っていたという刀で椿が彫られています」
「その刀、吾が輩に譲ってもらえないか?」
人物紹介1
翠
…骨董品屋を営む祖父がいる。何かの理由で両親は祖父に勘当され祖父に育ててもらっている。ここでは書いていませんが祖母は他界しています。また、容姿端麗、成績優秀、運動音痴の美人。高校二年生の設定。
ボス
…端麗な顔立ち。まだ若く、十代。鬼椿総長西園寺寿という名を持つ。甘党。テンションが高いグラサンという部下がいる
聖
…容姿秀麗の鬼。一人称は吾が輩。妖鬼椿総長赤鬼ノ聖という名前がある。赤い袴を履く。
翠の祖父
…ボスにじーさんと呼ばれている。妻に先立たれた。歳のわりに元気で、町内会のリーダー的存在。