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可憐謌  作者: 豆腐。
4/6

男は綺麗な顔立ちをしていた。

「君、誰?」

男は首を傾げて訊ねた。

「翠」

「翠?素敵な名前だね。吾が輩は聖、よろしくね」

聖はにこりと微笑む。

「ところで、翠は吾が輩の家に何か用かい?」

は?

「あの、ここ私の家ですけど…」

聖は鳩が豆鉄砲を食らったような顔をした。

「いくら、美人でもそんな嘘言っちゃだめだよ」

あんたこそ嘘言っちゃだめだよ。

「本当に私の家なんですけど…。家を間違えていませんか?」

聖は首を横に振り、否定する。

「いいや、鬼椿横丁三丁目は間違いなく吾が輩の家の住所だ」

鬼椿横丁?

「それ、昔の地名ですけど…。確か、百年程前の…」

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