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参
「本当の目的?」
「いずれ知るさ」
ボスはお茶を一口飲んで、目を瞑った。
「翠、この店には誰が住んでいる?」
「住まいは別ですが、私とおじいちゃんが…」
ボスは目を開けてまゆをひそめた。
「親は?」
「いません。理由は分かりませんが、おじいちゃんに勘当されたと聞いています」
ボスは「だからだな」と呟いた。
「歳のわりに妙に大人びていたから、ちょっと気になった」
ボスはそう言って、またお茶を一口飲んだ。
「ごめんな」
ボスは小さく、ポツリと呟いた。
「気にしないでください」
同じように私も小さく呟くように言った。
「翠さんと兄貴、いい感じじゃないですか〜。皆、翠さんと兄貴に乾杯!」
グラサンに合わせて、野太い野郎共の声が店内に響く。
お酒がはいり気分が良くなったのだろう。かなり、うるさい。
「うるさいわ、ぼけっ!」
ボスは真っ赤になり、怒鳴った。あんたのほうが、うるさいわ。
「だめだ、酒がはいってる。翠、一端おいとまさせてもらうわ」
ボスは「ごちそうさん」
と言って、部下達と店を出た。
もう、二度と来ないでね♪
食べ散らかした店内に袴姿の男が一人立っていた。