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暗黒龍アモミネグレストーン

俺たちは、逆の方向に歩き出した。

たぶんこっちやと思うという、曖昧な言葉を信じて。

この世界にはスマホがない。GPSもない。車も全然走ってない。

走っていると言えば婆さんだけ……。


なに?なぜ婆さんが走っている……。


「なぁケノ。婆さんが走ってるんだけど」

と俺は言った。


「何言ってんねん。婆さんも走るやろが」

とケノは答えた。


「いや……、普通に走るんやったらわかるんやけど、めっちゃ速いねん」

と俺は言った。


「あぁあれな、はしり婆さん族という、人族の一種や」

とケノは答えた。


「はしり婆さん族?なにその雑なネーミング」

と俺は言った。


「そんなん知るか。そういう名前で呼ばれとるんやから、しゃあないやろ」

とケノは答えた。


「そういえば、ケノって武器とかあるの?」

と俺は尋ねた。


「あるで、こいつや」

とケノは槍のようなモノを見せた。


「なんや。このシルバーの槍みたいなやつは」

と俺は尋ねた。


「これな。ものすごい金持ちの商人が使っていたつまようじやねん」

とケノは言った。


「つまようじか。ほんまや。下のほうになんかようわからん線が入っとるわ」

と俺は答えた。


「そやろ。しかもな。ミスチリ性やで」

とケノはニヤニヤした。


「なんや。ミスチリ性って、ミスリルちゃうんかい。中華料理みたいな間違いすんなや」

と俺は言った。


「ほんまか。ミスリル言うんか。これなメッチャ堅い金属でな。その商人がアホやねん。丈夫なミスチリ性やったら、つまようじ買わんでいいやろってな。

作らしたんやけど、固すぎてな。歯がおれてん。

なにすんねんって、つまようじを投げつけたらな。

外に飛び出して、歩いとった俺の目の前に突き刺さってん。死ぬか思たわ。

それからな。焼肉食いにいってん」

とケノは言った。


「焼肉って脱線しすぎやろ」

と俺は言った。


「まぁそんなわけで、俺はそこで、このお宝を手に入れて。

俺の持ってる武器は勇者とかクラスの装備やねん。すごいやろ」

とケノは鼻をならした。


「まぁでもいいわな。俺武器とかもってへんもんな。あれでもナイフがあったかな」

と俺は考え込む。


「まぁ、街に行ったら武器でも買ったらええわ」

とケノは答えた。


「そうやな。なんかカッコいい武器がええわ。たこ焼きピックみたいな」

と俺は言った。


「なんか人がこっちに走ってくるで」

とケノは言った。


「ほんまや。あれもはしり婆さん族か?」

と俺は尋ねた。


「いや。あれはオッサンや」

とケノは言った。


沢山人が走ってくるから何があったのか、

聞いてみよ。


「なぁオッチャン、何かええことでもあったんか?イベントか」

と俺は尋ねた。


「ドラゴンです。暗黒龍アモミネグレスト(ぐふ)が街を襲っていて、あなたも早く逃げなさい」

とオッチャンはそう言い、逃げ去った。


「なんか噛んどったな。ドラゴンやて、とりあえず倒しに行こか」

と俺は言った。


暗黒龍アモミなにがしってなんや?


「お前あれ見えるか?」

とケノは尋ねた。


俺は目を細める。


「俺あんまり遠く見られへんねん。ピントフリーズなんとからしいわ」

と俺は答えた。


「あと5分くらい歩いたら見えるわ」

とケノは言った。


街に近づくにつれ、すれ違う人は増える。

皆大荷物を持って、慌てて走っている。

小さい子供が目の前でコケる。


「コケ方が、まだ素人やな」

と俺は言った。


「ほんまや。ズコっていかんとな」

とケノは笑った。


俺らはずんずん、街に向かっていく。

遠くで、騎士たちがドラゴンに弓を放っているが、まったく届いていない。


(きゅいーん)

大きなうなり声で、木が揺れた。


「ドラゴンってきゅいーんって泣くんやな。がぉーとかや思てた」

と俺は言った。


「意外とカワイイ鳴き声やな。それでお前戦うとかいうてたけど、なんか策あんの?」

とケノは尋ねた。


「大丈夫や。俺には神様がついてる。

ーーー神様助けてください」

と俺は叫んだ。


(――――電波の届かない所か、電源が入っていない為つながりまふぇん)


「ちょっと待った!なんやねん。最後のふぇんって」

と俺は叫んだ。


「ツッコむところがちゃうやろ。なんで電波やねんやろ。というか詰んでへんか。

逃げたほうがええやろ。

めっちゃ悪そうな色してんで」

とケノは言った。


「正直詰んどるわ。どないしよ」

と俺は叫んだ。


考えろ。考えろ。考えろ。

乗り越えられへん試練は与えへんはずや。

なんか道具。

スキルとかないんかな。

ステータス見よ。

なんや

魔法:ハル※※ドン

ってあるやん。


「どうすんねん。あのドラゴン火吹きそうやぞ。火なんか吹かれたら、街なんか一瞬で灰やぞ。まぁ俺らもやけどな」

とケノは笑った。


「あのな。魔法:ハル~ってあんねんけど、これ使ってみよか。どう思う?」

と俺は言った。


「ハル~って、最高にヤバそうな名前やんけ。絶対に使ったらあかんぞ」

とケノは叫んだ。


「そうな。ハル※※ドン」

と俺は言った。


その瞬間、突然空に真っ暗な雲が集まりだした。


「あかん。やめろ!」

とケノは叫んだ。


身体の制御が効かない。

言葉が勝手に口から出てくる。

「シイタケモドスゥハルサメカットニラカットブタコマカット

ソウガイタメブタコマイタメゼンブイタメハルマキカワニグヲイレ

マクアブライレテアゲル」


(やめろー。いうてるやろ。このあほたれが……)

(なんかー。やばそうやぞー。このぼけが……)

(ストップボタンとかないんかい。また転生するんちゃうか……)

ケノの叫び声が聞こえる。


上空に小麦色の柱状の物体が浮かぶ。

なんやあれは?


「ハルマキドーン」


激しい振動が辺りを飲み込んだ。

小麦色の柱状の物体は、ドラゴンを直撃し、一瞬でドラゴンを消し去った。


黒い雲はほどなく消え去った。

周りには茫然自失としている騎士たちがいた。


「やった。やったぞ。ケノ」

と俺は叫んだ。


「そうか……、やったな。もうここでお別れや相棒」

とケノは力なく言った。


「なんや、なに言うとるんや」

と俺は自分の胸を叩く。


「さっきのでエネルギーを使い果たしたみたいや。先行くで」

とケノは言った。


「ちょっと待ってくれ。相棒やろ。一人にせんといてくれ」

と俺は膝から崩れ落ちる。


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