大神と狼=誤字
「とりあえずあんたの事、神様と呼ぶわ」
と俺は言った。
神様はうなづいた。
「それで俺どうなるん?なんか聞いてた死後の世界と違うんやけど」
と俺は尋ねた。
「まぁな。死後の世界って言っても、色々ルートあるからな」
と神様は答えた。
「どんなんがあるん?」
と俺は尋ねた。
「そやな。異世界転職相談所経由。これはトラックで跳ねられる系やな」
と神様は言った。
「そうなんや。俺のは?」
と俺は尋ねた。
「あぁこれな。ほんまは賽の河原行きやねんけど、たまにな。ズレてこっちくる奴がおるねん。そういうタイプや」
と神様は言った。
「じゃあレアなんやな」
と俺は尋ねた。
神様はうなづく。
なんかテンションが上がってきた。
「お前なんかうれしそうやな。死んだのに」
と神様は不思議そうな顔をした。
「そうや。この日を待っとってん。無双でチートで楽しもうと思とってん」
と俺は答えた。
「むそうでちーと? なんやようわからんけど、どんなんや?」
と神様は尋ねた。
「ドラゴンを一発で倒すみたいな奴や」
と俺は答えた。
「……まぁええか。むそう、ちーとやな。ようわからんけど。わかった。なんかあったら、俺を呼べ。助けたるから」
と神様は言った。
「わかりました。高望みはしません。頑張ります」
と俺は頭を下げた。
「お前の頑張りが俺のポイントになるからな。励めよ」
と神様は答えた。
すっと意識が遠くなる。
これが転生するってことか……
なんか想像と違うけど、まぁいいか。
……
(ぽつ)
顔に水滴がかかり、俺は目覚めた。
ここはどこだ。
さっきとは違う場所だ。
洞窟の中?
なんでこんなところにおんねん。
意味わからんやろ。
(ごん)
何かのぶつかる音がする。
(ぱらぱらぱら)
壁面が少し崩れる。
明るい方向を見ると、大きなムカデのようなものが、こちらに攻撃を加えている。
なにあれ?怖っ。
デカすぎへん。
あれ?
俺転生したの。
神さま、イキナリ洞窟って雑すぎへん。
俺は手を見る。
指先の空いた茶色の革のグローブが見える。
グレーの薄汚れたシャツに、茶色の大きめのパンツ。
そして茶色の革のブーツ。
あれ?俺の身体違うやん。
俺一人でなぜこんな所におんねん。
(いた……)
急に頭が割れそうに痛くなる。
何者かの記憶が頭に流れ込んでくる。
俺の名はミック。誰やねん。
年齢は18歳くらい。くらいってなんやねん。
孤児ー親の顔は知らない。そりゃ年齢が18歳くらいでも仕方がない。
冒険者の荷物持ちの仕事をしている。 なんや運送屋みたいなもんか?
冒険者パーティについてきたら、
パーティ全員、あの化け物にやられて、
俺だけが生き延びて、ここに逃げ込んでいる。
おいおい、イキナリ詰んでるやん。
俺はそっと、隙間から覗き込む。
そこには血まみれのパーティメンバーがいた。
化け物は、メンバーを食い始めている。
うわ。エゲつないな。ここ絶対モザイク入れんとあかん奴やな。
いや……、謎の光でもええかもな。
ちょっとまて、そんなツッコミを入れている場合やない。
助けないとという感情の前に、逃げないとという感情が動く。
ちょっとまて、冷静に考えろ。
俺。
あっ。こういうの前に見たことあるわ。
急に理不尽な展開に巻き込まれて、覚醒してレベルアップして、無双になる展開。
これや。
絶対これやわ。
うわ。俺ついてきたわ。
しかし、これどうやんねん。
ムリゲーやろ。
あかん。
呼吸を整えよ。
(ヒッ・ヒッ・フー、ヒッ・ヒッ・フー、ヒッ・ヒッ・フー)
なんでラマーズ法してんねん。
あかん。
テンパってるわ。
そうや、そうや。
ステータスみたらええんや。
どうみるねん。
うーんと
「ステータスオープン」
(ぽよん)
おっ開いた開いた。
なになに。
名前:ミック
年齢:18歳くらい
職業:荷物持ち
レベル:5
体力:まぁまぁ
知力:あんまり
攻撃力:あんまり
防御力:あんまり
魔力:あんまり
力:あんまり
魅力:あんまり
素早さ:あんまり
器用さ:あんまり
運:あんまり
経験値:あんまり
HP:あんまり
MP:あんまり
所持金:10G
アイテム:荷物袋、薬草、パン、水、
魔法:-
----
ちょっと待ってくれ。なにこの雑な表示。
あんまりってなんやねん。
所持金10Gって多いの少ないのどっち?
なんか、荷物袋ってこれか。
中身は薬草とパンと水とナイフ?
えっナイフあるけど、ステータス画面にはナイフって書かれてないやん。
他にも、手帳みたいなのと、なんか棒があるわ。
えっどういう事。
袋あるわ。なかにお金がある。30枚あるな。真ん中にGっぽいのが書かれてあるから。
これGやったら、30Gやん。
なにこの表示が適当なん。
ちょっと待てよ。
あれこのステータス画面。
自分で入力できるようになってるやん。
そうか。ここに持ち物の名前とか、お金の量を書くんやな。
なるほど。便利便利って……。
そんなことあるかい。
雑過ぎやろ。
なんなんこの設定。
そうか。
じゃあ所持金を1,000,000Gってしてみよ。
「おぉーすげー1,000,000Gじゃんか」
って、なにこのSNSの盛り過ぎインフルエンサーみたいな展開。
悲しすぎるわ。30Gに戻しとこ。
しかし、どうするねん。
思い出そう。
どうやって覚醒したか。
なんか特殊な能力に目覚めた奴いたよな。
そうや特殊なスキルや。
そうやスキル。
ステータス画面を見る。
スキル載ってないな。
なんやろ。
そうや。これや
「スキル発動……」
なんの反応もないな。
そうやそうや。冒険者ギルドで、色々教わるねん。
って、冒険者ギルドないやろ。
そうや。俺はミックや。
なんかミックの記憶ないかな。
思い出そ。
あかん。なんも出てけーへん。
親戚のオッサンのズラの映像しか出てけーへん。
そうや。そうや。神様が困った時には頼めと言ってたわ。
よし……、お願いしよ。
「神様。ピンチです。助けてください」




