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折られるフラグ

数分して騎士が一人の少女を連れ、戻ってきた。

「お待たせしました。こちら領主のアーネスト様にございます」


俺とケノは頭を下げる。

知らん奴やけど。


「この度は危ない所、助けていただき、ありがとうございました」

と騎士は言った。


「助けた……、

ケノお前なにかやったのか?」

と俺は尋ねた。


「あれちゃうか。クサヤのニオイが臭いから近づかへんかった騎士ちゃうか」

とケノは答えた。


「そうです。とても臭かったので、無礼とは思いながら、近づけませんでした」

と騎士は頭をかいた。


「まぁ臭いもんな。それで何なん?」

と俺は尋ねた。


「ご領主様が、あのマジックアイテムを御所望にございます」

と騎士は言った。


「マジックアイテムってなんや」

と俺は言った。


「炎の魔人が巨大化したマジックアイテムです」

と騎士は答えた。


「なんでやらんとあかんねん」

と俺は言った。


「ご領主様は、欲しいものをやるとおっしゃっておいでです」

と騎士は答えた。


「嫌やわ。あれはな。神様から頂いたものやねん」

と俺は言った。


騎士は領主に呼ばれる。


「領主様は、ここに空欄の小切手があるから、好きな額を書けと申されています」

と騎士は言った。


「おいおい。映画とかでよくある展開やんけ。めちゃくちゃ美味しいで」

とケノは突く。


「よくわかりませんが、美味しい展開です」

と騎士はうなづいた。


俺の野生の勘がノーと言っている。

あかんコイツは罠や。


俺は5年前の事を思い出していた。

常連の社長が不渡り手形を掴まされて蒸発した日の事を。

消える前の日。

一家3人でたこ焼きを食いに来てて。

でも280円しかないから半分だけ売ってくれへんか言うから。

俺が3人分のたこ焼きをプレゼントした事を。

それを泣きながら、美味しいなって食っていた姿を……


「嬢ちゃん。

あんまりアホや思って、舐めたらあかんで。

よう考えてみ、

小切手にな。俺がとんでもない額書いたとするやろ。

例えば国家予算3年分とか。

ほんならな。嬢ちゃん支払いできへんやろ。

そうしたらどうなる?

不渡り出したことになんねんで。

ほんならな。銀行からの信用なくなるやろ。

仮に銀行に100Gしか入ってへんで、それ言うたとしても、

他の人からしたら、それは詐欺にも見えんねん。

領主がそんな事するわけないやろ。

お前な。たこ焼き屋だからといってな。

不渡りとかしっとんじゃ。

自営業者なめんなボケーーー」

と俺は言った。


領主は涙目になっている。

騎士は剣の手をかける。


「あんな小さい子に、そんなん言うたらあかんやろ。夢壊したんなや」

とケノは言った。


「アホ抜かせ。

俺が悪党でな。

引き受けて、とんでもない金額書いたらどないすんねん。

この子の人生も、隣の騎士の人生も崩壊すんねんぞ。

まだ小さい子やろ」

と俺は叫んだ。


領主は相変わらず、泣きそうになり、モジモジしている。


「……申し訳ございません。領主様は御年23歳になられます」

と騎士は言った。


空気が凍り付く。

見た目は子供……、

やんけ。


「ケノ……、お前の仲間か?」

と俺は言った。


「ジャンルが違いすぎるわ」

とケノは突っ込んだ。


騎士は笑いをこらえている。


「すみません。領主様はずっと前からこの設定をしたかったみたいなんです。

小切手も実際にOKされそうだったら、執事が止めに入る算段でした」

と騎士は言い、執事と共に頭を下げた。


「なんや。それやったら、付き合ってやったのに。早よ言うてや。本気か思たわ」

と俺は笑った。


「それであのマジックアイテムはお譲りいただけませんか」

と騎士は尋ねた。


「だからムリやねんて。貰いものやからな」

と俺は答えた。


領主はモジモジしながら、まだ泣きそうな顔をしてる。


「まぁそう言うたるなや。事情だけでも聞いたれや」

とケノは言った。


「カクカクシカジカで……」

と騎士は経緯を説明した。


ようは、

最近炎の巨人が弱くなって、守りが手薄になるから、強化できるアイテムが欲しいという事らしい。


「そうか……、

ようはあれや。カクカクシカジカというのは、説明が長ったらしくなるけど、巻きで進めたい時に使う言葉やねんな」

と俺は言った。


「あぁそういう事なんか」

とケノはうなづいた。


「そっちじゃないやろ」

と騎士は突っ込んだ。


「あんたも突っ込むんやな」

と俺は笑った。


「まぁ騎士だけに特攻もしますからね。突っ込みは得意ですよ」

と騎士は笑った。


領主は少しイライラしたのか、騎士を蹴った。


「あぁすみません。領主が黒柘榴の鞭と交換でどうだとおっしゃっています」

と騎士は言った。


黒柘榴の鞭(別名:女王の鞭)

全体に柘榴ザクロと彫刻がほどこされた黒檀の柄。

中が空洞になっており、その空洞にネズミの彫刻が入っている。

歴代の女王が人を支配する為に使ったとされる。


「これものすごい鞭やで、なんか聞くところによると、能力のある者が、この鞭使ったら、人を支配できるみたいや」

とケノは言った。


「ほんなら、この鞭を使って、俺を支配したらええやん」

と俺は答えた。


「領主様には適性がなかったんですよ」

と騎士は小声で言った。


領主は恥ずかしそうにしている。


「ほらわらしべ長者とかあるやろ。あれ形式で行ったらええんちゃう?」

とケノは言った。


俺は葛藤した。

しゃあない。聞いてみよ。


「神様助けてください。神様から頂いた香水を、黒柘榴の鞭(別名:女王の鞭)と交換して欲しいと言われてるのです」

と俺は叫んだ。


空気が突然冷たくなった。

騎士が一瞬身構える。


すると空間から、突然紙が降ってきた。


ーーーーーーーーーーー

~キャバクラ美人園~

会計


めっちゃ良い話やん。

替えたらいいやん。

       by神様


ーーーーーーーーーーー


「うわ。神様から許可きたで」

と俺は言った。


「しかしどこから許可出してんねん。キャバクラ美人園って」

とケノは笑う。


「では、交換頂けますな」

と騎士は尋ねた。


「しゃあないな。神様がめっちゃ良い話やん言うてんねんから」

と俺は笑った。


……


「黒柘榴の鞭をキッカケに、世界を揺るがす事件に巻き込まれようなどと、ミックはこの時、まだ知るよしもなかった」

と領主は低い声で言った。


「何、次回の予告っぽい事いってんねん」

と俺は突っ込んだ。


「すみません。それも領主様がやりたかった奴なんですよ」

と騎士は頭を下げた。


遠くでネコの鳴き声がした。


(かたかたかたと黒柘榴の鞭はかすかに揺れた)




END


ここまで読んでいただき、ありがとうございました。


この作品は完結していますが、

反響があれば続編を書く可能性があります。

ブックマークしておくと、もし更新された場合に追いやすくなります。


■坂本クリア作品

異世界・現代・コメディなど様々な物語を書いています。

次に読む作品はこちらから探せます。


坂本クリアの小説まとめ|全作リンク集

https://mypage.syosetu.com/mypageblog/view/userid/2898515/blogkey/3591538/


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