27.貴族は大変だ
ナコ視点に戻ります。
「そうだったんだ……大変だったね」
ひとしきり話を聞いた私はリティアを労う。私は他人同士が喧嘩しているとか、説教を受けているとか、そういう場にいるのがすごく苦手な人間なのでその会議に出ていたらストレスMAXだったに違いない。
「すみません、出来る限りナコさんに迷惑がかからないようにしたかったのですが……」
「いやいや、本当に気にしないで。私の代わりにリティアが大変になるのも心苦しいしさ」
申し訳なさそうなリティアをそう慰めるも彼女の表情は暗いまま変わらない。どうにも責任感が強すぎるようで精神的に疲れないか心配だ。
「別に私も手伝う分には全然大丈夫だよ。この国が平和じゃないとあの山に戻っても落ち着かないしさ」
「ナコさん……ありがとうございます。お手伝い頂けると私も心強いのです。ただ、そのためにはナコさんも今回の調査についての話し合いに出て頂かないといけなくて」
「まぁ、そりゃそうだよね。何をするかとか決めないといけないし」
「他の貴族の方にも会ってもらうことになるとは思うのですが、もし気分を害されるようなことがあったらハッキリ言って構いませんから」
「そんな嫌な人達がいるの……?」
リティアから打ち合わせに参加する方々について情報をもらうが、ありがちな利害関係などのせいで雰囲気が悪くなることもよくあることらしい。(もちろん貴族全員がそういうわけではないが)
まあ、それでも一応社会人として色々とやってきた経験もあるし、とりあえずいるぐらいなら何とかなるだろう。
「大丈夫。あまりにも酷かったら逃げるからさ」
冗談を交えて笑って言うと少しだけ気が楽になったのかリティアの表情も少し明るくなる。
「ここまで頼ることになってしまいすみません。会議については明日の午前中になりますので今日はゆっくりお休みください」
「リティアのこれからの予定は?」
「私ですか? 今日は特に今後の予定はありませんが……」
「それなら夕食まで一緒に過ごそうよ。ミリナちゃんも寝ちゃったしこのままだと退屈だからさ。おままごとだと私がお母さんでリティアがお父さんだし、仲良くしないと」
「えっ? あぁ、さっきの言葉はそういう意味だったんですね……」
リティアは私の提案に了承し、隣に腰を下ろして子供役のミリナちゃんを撫でる。ほぼ真横に彼女がいると不思議とふわっとした安心感と言うか、癒し効果のようなものを感じた。
「どうかしましたか?」
性格もそうだが見た目も完璧な美少女である。恐らく天から二物も三物も与えられた系なのだろう。恐らく私が癒しを受けているのはそういう面が重なっているせいに違いない。
「リティアがミリナちゃんぐらいの時は何をして遊んでいたの?」
「そうですね……殆ど同じだと思いますよ。お人形とかおもちゃとか、あとはお母様や使用人と庭で遊んでいました」
「何か今の様子からだと想像できないなぁ」
「ミリナが生まれてから少し変わった気がします。出来ればこの子にはずっと元気で幸せに過ごして欲しいですから」
そうしてミリナちゃんのことを思う彼女の姿はまさに姉の鑑である。だからこそ瘴気問題などについてはどうしても放っておけないのだろうと納得するところもあった。
「でも、だからってリティアが無理したら駄目だよ。そしたら……今回の瘴気騒ぎが収まったらお疲れ様会ってことで私の家に遊びに来なよ。泊まりでさ!」
「泊まりですか……?」
「そうそう。一日ぐらい仕事も責任も全部放り出して自由に過ごすわけ。たくさん遊んでたくさん食べて夜は隣で布団を並べて寝るまで話すとか」
あくまでも願望であるがそうして自由に過ごそうと提案するとリティアの瞳は僅かに楽しそうな揺れを見せた。どうせなら私の前では年相応の振る舞いをして欲しいと思う。
そんな気持ちが通じたかリティアはさっきまでとは違う彼女自身の笑顔を見せて答えてくれた。
「……それは、なんだか楽しそうですね。無事終わったらぜひお邪魔させてください」
「うん!」
やっとクスクス笑ってくれて嬉しくなった私は、こうなったらさっさとこの騒動を終わらせてリティアを家に招かねばならん! と決意を改める。
そんな新たに出来た目標を胸にしばらく二人で話を続けた。まだ戻ってきていない兄の話とか、昔の思い出とか、そうして話をしているうちに夜になる。ミリナちゃんも起きて今日の朝食と同じく姉妹と母と4人での夕食を取った。
「お父様はまだ色々と会議があるようで……」
王様も大変である。私の世界でいうところの政治家や社長とはまた役割が違うとは思うが多忙なのは一緒のようだ。
とても美味しい夕食を満足いくまで食べてから解散となり少し休息を取った後、先日と同じくアレイラさん含むメイド隊に連れられて入浴となる。実はリティアを誘ってみたのだが顔を真っ赤にして断られてしまった。
「そ、その……流石に恥ずかしすぎるのでごめんなさい!」
まあ嫌っているわけではなさそうだし少し恥ずかしい年頃なのだろうと納得する。対するミリナちゃんは一緒に入ると言ってくれたが、残念ながら姉と一緒に入るらしく連れていかれてしまった。
案の定、メイド隊の皆さんに入浴の始めから終わりまでたっぷりとお世話され、ポカポカになると次に襲い掛かってくるのは睡魔である。
明日もまたきっと大変な一日になりそうな予感はするが、リティアのためにも頑張ろうとベッドの中で一人意気込む。
(さっと解決してリティアと神社でパジャマパーティでもしよう! ご飯とかお菓子もこっちのを振舞って……それで夜も寝落ちするまで……)
そんな空想の最後に浮かんだのは、泊りを提案した時に見せてくれた少しだけ子供に戻ったリティアの楽しそうな笑顔だった。
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