彼女と電話
スマホを手に取り、俺は電話を掛けようとして緊張する。
画面に表示されているのは彼女の名前。通話が繋がって、俺の心臓が一瞬跳ね上がった。
「もしもし?」
と、少し緊張しながら声を掛けると、彼女の明るく少し甘い声が耳に届いた。
「ああ! 〇〇くんだ! 久しぶりだね! 元気してた?」
「うん、元気だよ。最近忙しいんだってね? 迷惑じゃなかった?」
俺は少し気を使って言った。
「ううん、忙しいのは本当だけど。でもね、〇〇くんからの電話、凄く楽しみにしてるんだよ! こう、忙しいからこそ元気が出ると言うか。説明するの難しいんだけど、こうして電話するの久しぶりだからすごく嬉しくて!」
彼女の言葉に、思わず顔が熱くなる。アイドルとして人気が出てきて最近忙しくなってる彼女が、そんなふうに言ってくれるなんて夢のようだ。
「ほんとに? 嬉しいな、俺も君の声が聞けて嬉しいよ」
「あー、もう、〇〇くんったら! そんなこと言われたら、照れちゃうじゃん!」
彼女の笑い声が電話越しに響いて、俺もつい笑顔になった。
「でもさ、〇〇くんってほんとにすごいよね。ちゃんと私の事気遣ってくれるし、いつも優しいし。私、〇〇くんの声を聞くたびに、すごく尊敬してるんだよ!」
彼女の言葉に、胸がドキッとした。なんて素直に褒めてくれるんだろう。普段はアイドルとして輝いてる彼女が、こんなふうに俺に気持ちを伝えてくれることが、なんだか信じられない。
「そんなことないよ。俺なんか、君と比べたらまだまだだよ」
「うーん、でもね、〇〇くんはちゃんと自分の道を見つけてるし、私、そういうところも大好きなんだよね」
俺はちょっと照れくさくなって、肩をすくめた。
「君はほんとに俺のこと褒めてくれるけど、俺には君みたいに輝けるところはないよ」
「そんなことないって! 〇〇くんだって、私が頑張ってる姿を見て、いつも応援してくれるでしょ? それがどれだけありがたいか、私、よく分かってるよ。だから、これからもずっと応援してほしいな」
その言葉に、胸があったかくなる。彼女が俺を応援してくれるのはもちろん、俺も彼女のことをずっと応援していきたい。
「もちろんだよ。君がどんなに遠くへ行っても、俺はずっと応援するからな」
「ありがとう、〇〇くん。私、頑張るから、これからもよろしくね!」
彼女の声には力強さが込められていて、その一言で俺の心は完全に持っていかれてしまった。
「うん、絶対に応援するよ。君がもっと輝けるように、俺ももっとお金を稼ぐから」
電話を切る頃には、心地よい幸福感に包まれていた。彼女の言葉が頭の中でぐるぐる回り、これからもずっとお互いに支え合っていけるような気がした。